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日本ユニセフ協会
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シリア・東グータ
新たな年、2週間で子ども30人以上犠牲に 「子どもに対する戦争、恥ずべき」
ユニセフ・シリア事務所代表声明

【2018年1月14日  アンマン(ヨルダン)/ダマスカス(シリア)発】

包囲された状態が続くダマスカス郊外の東グータ地区で続く攻撃により子どもが犠牲になっていることについて、ユニセフ(国連児童基金)シリア事務所代表フラン・エクイザ(Fran Equiza)が、以下の声明を発表しました。

* * *

2週間で子ども30人以上犠牲に

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© UNICEF/2018/Amer Almohibany

破壊された建物の上に立つ13歳のビラル君。(東グータ)

新たな年を迎え、ほとんどの親が子どもたちの未来への希望に包まれているとき、シリアの母親や父親は、失った子どもたちを思い、悲嘆に暮れています。

東グータでは激化する暴力の影響で、年初から僅か14日の間に、30人以上の子どもが犠牲になるという衝撃的な事態が起きています。東グータは2013年から包囲下にあり、およそ20万人の子どもが取り残されていると見られています。シリア北東部のイドリブでは、この数週間の激しい暴力の影響で、多くの子どもと女性が死傷し、推定10万人の民間人が避難を余儀なくされたと伝えられます。

紛争開始から7年近くが経過し、世界が見ている前で、子どもたちに対する戦争が続いていることは、恥ずべきことです。シリアおよび近隣諸国に逃れた何百万人もの子どもたちは、シリア国内のいくつかの地域でいまも弱まることのない暴力によって、深刻な影響を受け苦しんでいます。

ユニセフが東グータから得た情報によると、人々は身の危険を感じ地下に避難しています。ある住居ビルへの凄まじい攻撃では、子どもと女性を含む民間人80人が負傷したと伝えられます。医療関係者は、瓦礫に埋もれた生存者を救い出すために奮闘しました。

東グータでは、この数日間に医療施設2カ所が攻撃され、暴力の影響を受けてほとんどの保健センターが閉鎖されています。家族が医療ケアや支援を受けられる唯一の手段が緊急移動診療のみという地域もあります。イドリブでは、Ma’arrat An Nu’manにある産科・小児科病院が3度攻撃を受けて閉鎖に追い込まれ、少なくとも患者1人と医療スタッフ2人が犠牲になりました。

シリアの学校では今中間試験が実施されていますが、東グータとその周辺の学校は閉鎖されていると報告されています。

子どもたちに対する戦争を終わらせるために

1年ぶりに学校に通えるようになった、11歳のワヒダちゃん。(2017年11月8日撮影)

© UNICEF/UN0145435/Charbonneau

1年ぶりに学校に通えるようになった、11歳のワヒダちゃん。(2017年11月8日撮影)

昨年末には、緊急に治療を必要とする子どもたちのうち17人の医療搬送が実現したことで、一縷の望みが見えたものの、東グータとその周辺における暴力の激化により、緊急医療搬送を静かに待ちながら苦しみ続けている子どもたち120人の望みは失望に変わりました。

私たちは、シリア全土の人道支援を必要としている子どもたちに、緊急に、そして制限なく支援を届ける必要があります。あらゆる紛争当事者が、人道支援従事者が子どもたちに命を守る支援を届けることを直ちに許可することで、それは可能になります。

ユニセフはシリア全土のすべての子どもたちの生存と心の健康に必要不可欠な人道支援を引き続き提供していきます。包囲された地域や支援が届けにくい地域の最も弱い立場にある子どもたちのために、私たちはより良い支援活動を行っていかなければいけません。

シリアの子どもたちに対する戦争を終わらせるために、世界が協働するのに必要なものは何でしょうか?一体いつになったら紛争当事者たちは、シリアの子どもたちを殺すことで、シリアの未来をも殺していると気づくのでしょうか?

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