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日本ユニセフ協会
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西アフリカ・サヘル地域
例年より早い「飢餓の季節」の到来
子ども160万人が重度の急性栄養不良に ユニセフら、レジリエンス向上への投資要求

【2018年5月3日  ダカール(セネガル)発】

本日、国連3機関は、干ばつ、食料価格の高騰、および紛争により、西アフリカのサヘル地域(サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域)の一部で、今すぐ国際社会が行動を起こさなければ、何百万人もの人々が急性の飢餓と栄養不良に直面すると警鐘を鳴らしました。

例年より早い「飢餓の季節」の到来

栄養不良の赤ちゃん(ニジェール)。(2017年2月撮影)

© UNICEF/UN055334/Tremeau

栄養不良の赤ちゃん(ニジェール)。(2017年2月撮影)

ユニセフ(国連児童基金)、FAO(国連食糧農業機関)および国連WFP(世界食糧計画)は、2017年はモーリタニア南部、セネガルの北部、そしてマリ、ニジェール、ブルキナファソおよびチャドの一部の牧草地への雨量が少なく、家畜や農作物の収穫が被害を受け、人々の生計が脅かされ、例年より早く「飢餓の季節」が訪れると発表しました。

サヘル地域では、治安の悪化や武装紛争の激化により、基本的サービスが停止し、生計が成り立たなくなり、社会的結束が崩れ、何万人もの人々が家を追われる状況に追い込まれています。

過去4年間で最悪の “lean season”( 農作物の収穫量が減る時期)が予測される中、5百万人が食料や生活支援を必要とするだろう、3月に発表された最新の食料安全保障分析は伝えています。この分析は、例年では6月から9月の間に起きる食料備蓄の枯渇を、今年は多くの家族が4月に経験するとしています。

「人々は毎日の食事の数を減らし、子どもたちは学校に通わなくなったと聞いています」と国連WFP西部・中部アフリカ地域事務所代表のAbdou Diengは述べました。「これは、世界がこれ以上無視できない、迫り来る惨事の兆しです」

子ども160万人が重度の急性栄養不良に

ユニセフから支援された治療食を食べる重度の急性栄養不良に苦しむ女の子(マリ)。(2017年8月撮影)

© UNICEF/UN0126758/Dicko

ユニセフから支援された治療食を食べる重度の急性栄養不良に苦しむ女の子(マリ)。(2017年8月撮影)

影響を受けている6カ国では、今年、重度の急性栄養不良に陥る危険がある子どもの数は160万人以上で、2012年にサヘル地域で発生した大規模栄養危機より50%多い数字です。食料不足、幼い子どもや母親たちの家庭での不十分な食事、安全な水と衛生環境の不備、また武力紛争と人々の避難生活が、多くの子どもたちに栄養不良を引き起こします。

「同じ母親が毎年重度の急性栄養不良の子どもの治療のために診療所に戻ってくるのは悲惨的な状況です。その数は、今年さらに増えるでしょう」とユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエは述べました。「私たちが今、家族や地域、そして国家当局に対して、将来的にこのような事態の発生を防ぎ、また発生時に対応できる能力などのレジリエンス(災害等への対応力・回復力)の向上に投資したならば、この悪循環を断ち切ることが可能になります」

牧草地の減少に伴い、今年は例年より最大4カ月も早い移動が余儀なくされています。それにより家畜の集中や国境の出入国制限の厳格化、および遊牧民の移動を制限する不利な規制に繋がり、そもそも不安定な地域をさらに脆弱にしています。

「レジリエンスの構築は、FAOの最優先課題です、サヘル地域を安定させるのは、この “lean season” および将来にわたって、気候変動や紛争などの危機的状況に対応できるように遊牧民・農牧民を支援することです」とFAO西アフリカ・サヘル地域レジリエンス調整員Coumba Sowは述べました。

子どもの健康な成長のために

ユニセフ、FAOおよび国連WFPは、危機に対する緊急支援およびその影響を軽減するために、短期的な食料支援、家畜の保護、そして栄養不良に対する支援を提供する共同対応プログラムを展開しています。同時に、将来起きうる同様の緊急事態に対して、家族や、地域社会、そして国家システムが、より適切に回避および対応できるようにするためにも、地域の食料資源の入手、および使用できるための、また保健などの社会サービスを通じて子どもたちの健康な成長と発育を確保するための長期的な支援が大変重要です。

国連3機関は、サヘル地域での現状と悪化の恐れを軽減するために、ドナーを含むすべてのパートナー団体に緊急支援を要請します。国連WFPはlean season対策として、食料と栄養支援を350万人に提供するために合計2億8,400万米ドルを必要としています。ユニセフは年内に、重度の急性栄養不良に陥った98万9,000人の子どもたちに栄養治療食を提供し、水と衛生施設や教育サービスを提供するために2億6,400万米ドルを必要としています。FAOは、早期の移動を迫られ家畜が集中している地域の250万人の遊牧民・農牧民に対して、現状の悪化を防ぐ緊急支援に必要な4,500万米ドルを含む合計1億2,800万米ドルを必要としています。

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