【2015年12月14日 ベルリン(ドイツ)発】
今年、30万人以上の難民、移民の子どもたちがドイツに入国したことを受け、ドイツ政府とユニセフは14日、子どもたちの保護とケアを改善するための新しいパートナーシップを発表しました。
© UNICEF/UN04026/Gilbertson VII |
ドイツ社会のあらゆるレベルでの努力にもかかわらず、大規模な難民危機は同国の福祉システムを圧迫し、難民、移民の子どもたちが危険に晒される結果となっていることが、ドイツ当局とユニセフがおこなった共同調査で明らかになりました。
「子どもや若者、女性たちがどこに滞在していようと、暴行や強姦、嫌がらせといった性的暴力から彼らを守る手段を講じなければなりません」とドイツ家族・高齢者・女性・青少年大臣のマヌエラ・シェヴェーズィヒ氏は話しました。「しかし、より適切な保護を実現するためには、インフラや人員面の対策はもちろん、より多くの情報や、スタッフやボランティアへのトレーニングが必要です。そのため、ユニセフと協力して、難民のための施設にいる子ども、若者、女性たちをより良い形で保護するサービスを作り上げたいと考えているのです」
調査では、難民の子どもや女性は、特に難民の受け入れセンターや滞在施設にいるときに暴力、虐待、性的搾取の被害に遭いやすいことが分かりました。また、到着後の数か月間、こうした施設にいる子どもたちは、適切な教育、心理社会的支援、レクリエーション活動などの機会を十分に得られません。
「ユニセフとドイツ政府は、パートナーとして、どこの出身であれ最も弱い立場にある子どもたちを守るという共通の目的を持っています。難民の子どもたちは、紛争、迫害、そして恐ろしい旅路を生き抜いてきたのです。彼らは、ドイツという目的地にたどり着いたかもしれませんが、それは彼らにとって新しい旅の始まりです。私たちは、そうした子どもたちに寄り添わなければなりません」とユニセフの欧州難民・移民危機特別調整官のマリー・ピエール・ポワリエは話しました。
長く危険な旅を経てドイツにたどり着いた子どもたちは、比較的安全な場所で滞在しています。しかし、スポーツセンターや旧兵舎といった施設や一時的な避難シェルターなどでの生活は、決して万全ではありません。多くのスタッフやボランティアができる限りのことをしていますが、子どもの保護に関する基準や、遊んだり学んだり心理社会的なケアを受ける機会が十分にあるわけではありません。
ドイツ政府とユニセフは、子どもたちへのより良い支援を実現するための具体的な計画を策定しています。それには、以下の内容が含まれる予定です。
ユニセフは今も、シリア、イラク、アフガニスタンなどの国々で紛争の影響を受けた子どもたちや祖国から移動を続ける子どもたちに対し、水、衛生、保護、教育などの支援を続けています。
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