【2017年3月21日 ベルリン発】
世界を取り巻く難民危機においてドイツは指導的役割を果たしています。ドイツ政府、行政や市民社会は、類いまれな決意と柔軟性を持って、難民が必要とする基本的な緊急物資を提供しました。しかし、この多大な努力にもかかわらず、難民の子どもや若者の多くは、困難な生活環境のもとで暮らしている、ユニセフ(国連児童基金)は報告しました。ユニセフが発表した報告書『据え置かれた子ども時代(Childhood on Hold)』(ドイツ語)は、子どもや若者の多くが何カ月もあるいは何年も、子どもたちにとって安全な適切な環境ではなく、また地域への統合を妨げるような難民受け入れ施設に据え置かれている状況について明らかにしています。
© UNICEF/UN05632/Gilbertson VII Photo |
難民受け入れ施設では、女の子たちや男の子たちは、多くの見ず知らずの他人とプライバシーのほとんどない、閉鎖された環境で暮らしています。非衛生的な状態も我慢しなければならないこともあります。多くの場合、彼らに静かに遊んだり学習したりするスペースはなく、適切な保護を受けていません。ドイツ連邦内でどこに居住地を割り当てらたかやどのくらいの期間一時受け入れ施設に滞在しているかによって、保育所や学校へのアクセスが制限されます。子どもの出身国やドイツでの永住権取得の法的確証の可能性が、難民の子どもたちの扱いに差異が表れるようになってきています。この状況は、ドイツユニセフ協会が、おとなの同伴のない難民の子どもたちのための連邦協会(the Bundesfachverband unbegleiteter minderjähriger Flüchtlinge e. V.)に依頼した調査の結果に表れています。
「難民の家族たちは、新しい場所に到着して、新しい人生を始めること以上の何も望んでいません。ドイツで彼らに、特に子どもたちに最も良いスタートを提供することは、彼らの将来への良い投資であり、私たちの社会への最も大切な投資の1つです」とドイツユニセフ協会専務理事のクリスチャン・シュナイダーは述べました。「家を失い、厳しい苦難を経験した子どもたちは、一刻も早く日常を取り戻す必要があります。彼らは、貴重な子ども時代をこれ以上失ってはならないのです。ですから、彼らが、集合型受け入れ施設での滞在期間を最小限にし、出来るだけ早く保育園や学校、職業訓練校などに通えるようにすることが重要なのです。子どもたちは、難民申請者や、移民や難民である前に、子どもなのです」
過去2年間に、約35万人の子どもと若者が、戦争や暴力から保護を求めて、あるいはより良い人生求めて、両親と共にドイツにやってきました。この調査報告書「据え置かれた子ども時代(Childhood on Hold)」が、難民の子どもの全てではありません。しかし、この調査は、難民受け入れ施設で両親と共に暮らす子どもや若者の日々の生活を知るための、幅広い、今まで得られなかった実態を明らかにしています。この調査では2016年にドイツ全土において、難民受け入れ施設で働く有給・無休の職員に対する無記名のオンラインによる定量調査を実施し、その結果は、難民家族へのインタビューによる定性調査で補完されています。
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<ドイツに滞在する難民の子どもについてのデータ>
*ドイツに新規に到着した数(2015年および2016年):117万人
*初めて難民申請した、おとなに同伴された難民の子ども・若者(2015年および2016年):34万8,430人
出典(すべて):Federal Office for Migration and Refugees (Bundesamt für Migration und Flüchtlinge = BAMF)
※本信の発表する報告書の要約(英訳)は、こちらからダウンロード頂けます。
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