メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2017年 >

世界の子どもたち

アフガニスタン
はじめて通う学校
学習を越えた大切な場所

【2017年4月20日  ラグマーン(アフガニスタン)発】

アフガニスタン東部のガンベリ砂漠に位置する学校で、ザイナブちゃん(10歳)が、教室の床に座り、読み書きを勉強しています。

はじめての学校

ユニセフが支援する学校に通う、帰還民のザイナブちゃん(10歳・アフガニスタンの東部ラグマーン州で)

©UNICEF Afghanistan/2017/Froutan

ユニセフが支援する学校に通う、帰還民のザイナブちゃん(10歳・アフガニスタンの東部ラグマーン州で)

テント教室は、風が吹くと揺れ、隅では埃が舞い上がります。教室の中は50人の女の子が一緒に学んでいて、とても混み合っていますが、ザイナブちゃんは授業の一瞬たりとも聞き逃したくありません。「授業に参加し、学ぶのが大好きです。ここでは友達と一緒だし、友達と楽しい時間を過ごせるのはここだけです」と、青いスカーフを頭に巻き、まっすぐな瞳をしたザイナブちゃんが語ります。

ザイナブちゃんは、昨年アフガニスタンに戻った何十万もの帰還民のひとりです。帰還民の人々のほとんどは、アフガニスタン人でありながら、これまで一度も故郷のアフガニスタンを訪れたことがありませんでした。パキスタンで生まれ育ち、教育へのアクセスも限られていました。

「パキスタンでは、他の子どもたちは学校に行っていて、私も一緒に行きたかった。でも私たちは難民で、家庭も余裕はありません。だから、学校に通うことはできなかったの」とザイナブちゃんは、過去を振り返ります。帰還民の子どもたちの教育ニーズに対応するため、ユニセフは、ラグマーン州のガンベリ砂漠で暮らす帰還民の家族の子どもたちのため、アフガニスタン政府をサポートし、12の教室を設置しました。現在、およそ600人の子どもたちが、コミュニティを基盤とした教育プログラムに参加し、教室に通っています。教室の数が限られているため、授業は、子どもたちを2つのグループに分けて時間交代制で行われており、一つの教室ごとに一人の先生が担当します。

コミュニティが支える教育

授業が終わって帰路につく子どもたち。パキスタンから帰還したアフガニスタンの人々が暮らすガンベリ帰還民居住地域の家族のもとへ歩いて戻る。

©UNICEF Afghanistan/2017/Froutan

授業が終わってテント教室から出てくる子どもたち。

ガンベリ居住地域では、7カ月前にパキスタンから帰還した、約1,000世帯の家族が暮らしています。この家族たちが、コミュニティの長老たちを通じて、子どもたちが学ぶ空間を切望する声を上げたのです。

ザイナブちゃんの父、ハサン・カーンさん(48歳)には、11人の子どもがいます。「息子や娘たちが教育を受け続けられるように、後押しします。私は人生のほとんどをパキスタンで暮らし、学校に行くことができませんでしたから。

私の子どもたちから教育を奪うなら、それが誰であれ、原因が何であれ、許しません」とハサンさんは言います。アフガニスタンに帰還したとき、ハサンさんが暮らすコミュニティでは、仲間の中で教育を受けた人々を探し、その人々が幼い子どもたちに勉強を教えるようにしました。

学習を越えた大切な場所

授業中、前に出て、数を数える3人の女の子たち(アフガニスタン・東部ラグマーン州)

©UNICEF Afghanistan/2017/Froutan

授業中、前に出て、数を数える3人の女の子たち(アフガニスタン・東部ラグマーン州)

教師の一人、アユブ・カーンさん自身も帰還民です。ガンベリで暮らす家族の多くとともに、困難な旅路を経て、帰還しました。

教室は、避難を続ける子どもたちにとって、単なる学習の場所であるだけでなく、それ以上の意味を持つと、アユブさんは確信しています。「学校は、新しい考え方やしくみを、子どもたちの生活にもたらします。学校に通うようになった子どもたちを見ていると、その変化が分かります」

乾いた砂漠に囲まれ、水やトイレなどの衛生施設へのアクセスが限られ、娯楽もほとんどない中、教室は子どもたちの生活の中心になっています。

現在、ガンベリにおけるコミュニティを基盤とした教育プログラムは、7~10歳の子どもたちだけが対象になっています。けれどもこの居住地域には、10~15歳の子どもが100人以上も暮らしていて、彼らもまた、教育を必要としています。

「姉や兄は、この学校に来ることができません。年が上だから。私も教育を受け続けたいです。ここで止めたくありません」ザイナブちゃんは心配そうに言います。

ユニセフは、アフガニスタンの教育省と協力し、居住地域で暮らす年上の子どもたちのための教室数を増やすことを検討しています。そして、コミュニティを基盤とした学校の設置を地域全体に拡大し、帰還民、特に女の子たちに、教育の機会を提供していこうと活動しています。

「コミュニティを基盤にした学校」

授業が終わって帰路につく子どもたち。パキスタンから帰還したアフガニスタンの人々が暮らすガンベリ帰還民居住地域の家族のもとへ歩いて戻る。

©UNICEF Afghanistan/2017/Froutan

帰路につく子どもたち。パキスタンから帰還したアフガニスタンの人々が暮らすガンベリ帰還民居住地域の家族のもとへ歩いて戻る。

質の高い教育を子どもたちに提供することは、国の発展においても必要不可欠です。しかし、アフガニスタンでは、初等教育学齢期の子どもの半数近くが学校に通えていません。特に女の子は、行動の制限、文化的背景、女性教師の不足、学校環境が十分に整っていないこと等から、教育のアクセスがさらに限られます。また、学校が家から遠く離れた場所にあることも多く、歩いて通学するには安全面の問題もあります。ユニセフはアフガニスタン政府と共に、紛争の影響を受ける地域において、コミュニティとの協力の下、コミュニティを基盤とした学校の設置を支援しています。

コミュニティを基盤とした学校は、紛争の影響を受けている地域や、遠隔地で支援が届きにくい地域で暮らす子どもたちにも、教育を提供することができます。コミュニティによる協力の下、学校に通っていない子どもの特定や、教育を受けたコミュニティ内の住民への教師研修の提供、モスクや公民館などコミュニティが運営する建物を教室にするなどが行われます。最も不利な立場に置かれた子どもたち、とくに女の子たちが、学齢期に学校へ入学する、ということを可能にしています。


トップページへ先頭に戻る