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日本ユニセフ協会
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南スーダン
幼い命を救った栄養治療食
紛争と政情不安がもたらす前例のない栄養危機

【2017年8月31日  ジュバ(南スーダン)発】

南スーダンでは、何年も続く紛争と不安定な情勢により、子どもたちの間で重度の栄養不良の危機が広がっています。現在、100万人以上の子どもたちが栄養不良に陥り、27万6,000人が重度の急性栄養不良によって命を脅かされる状況に置かれています。ユニセフはパートナーとともに、子どもたちの栄養治療ケアを実施しています。

恐怖と不安に満ちた2週間

栄養治療食「プランピー・ナッツ」を食べている、南スーダンの子ども。

©UNICEF South Sudan/2017/Pibor

栄養治療食「プランピー・ナッツ」を食べている、南スーダンの子ども。

アルビーノ・ラクさんは、恐怖と不安に満ちた2週間を過ごしました。この間、妻が重度の下痢によって亡くなり、2歳に満たない息子のジェームズくんは、重度の栄養不良によって命を落としかけました。

ジェームズくんは母親によって、ジュバにあるAl Sabah小児医院に連れられてきました。この病院は、国内で唯一の子どものための病院です。ジェームズくんが入院してわずか数日後に、母親が亡くなりました。

妻を亡くして途方に暮れていたラクさんは、悲しみとともに、息子も同じように回復しないのではないかと言う恐怖を感じていました。病院に連れてきた時のジェームズくんの体重はわずか8キログラムしかありませんでした。衰弱していたジェームズくんは、目を開けることさえできなかったのです。

「本当に辛い日々でした。私は非常に孤独を感じました。訪ねてくる親類もいない中、私は息子にずっと付き添いました」とラクさんは語ります。

幼い命を救った栄養治療食

南スーダンで栄養治療に用いられている、栄養治療食「プランピー・ナッツ」。豊富な栄養素と必要なカロリーが含まれている。

© UNICEF/UN034409/Rich

南スーダンで栄養治療に用いられている、栄養治療食「プランピー・ナッツ」。豊富な栄養素と必要なカロリーが含まれている。

それから2週間、ラクさんは、息子が少しずつ回復していく様子を見守ってきました。ジェームズくんは、当初は与えられても飲むことができなかった栄養治療用のミルクを、飲めるまでに回復しました。その後、ピーナッツバターに似たペースト状の栄養治療食「プランピー・ナッツ」を食べられるようになりました。

重度栄養不良の子どもの治療のために特別に開発されたプランピー・ナッツは、高いカロリーと豊富な栄養素が含まれています。常温保存が可能で、袋の口を開けてそのまま食べることができるので、調理や配膳の必要がなく、菌に汚染されるリスクを減らすことができます。プランピー・ナッツは、子どもの重度の栄養不良状態を治療するための必要不可欠な手段であるとともに、家庭に持ち帰って与えることで治療を続けることができるため、入院日数を減らす役割も果たしています。

前例のない栄養危機

南スーダンでは、推定100万人以上の子どもたちが栄養不良に陥っています。そのうちの30万人近くは重度の急性栄養不良によって、命が脅かされています。南スーダンはいま、前例のないほどの栄養危機に直面しているのです。

「重度の急性栄養不良の子どもは、十分な栄養を与えられた子どもと比較して、命を落とす確率が5倍から20倍にもなります」とユニセフ・南スーダン事務所の栄養チーフ、ヴァンダナ・アガワルは言います。重度の急性栄養不良は、子どもの死の直接的な原因となり得るほか、下痢や肺炎などの子どもが罹りやすい病気による死亡率を劇的に増加させる、間接的な死因にもなり得ます。

重度の急性栄養不良の治療を受けている子ども一人につき、健康児並みの体重に戻すための6~8週間の治療には、およそ136袋のプランピー・ナッツが必要です。

Al Sabah小児病院では、ジェームズくんの状態が快方に向かっています。もうすぐ退院できることに、ラクさんが感謝の言葉を口にしています。

「病院のみなさんに大変感謝しています。一時は希望を失いかけていましたが、多くのサポートのおかげでもうすぐ家に戻ることができそうです」


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