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日本ユニセフ協会
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ロヒンギャ難民危機/バングラデシュ
難民の子どもを襲う栄養不良、貧血、疾病 栄養調査が示唆する公共保健危機

【2017年12月22日  ジュネーブ/コックスバザール(バングラデシュ)/ニューヨーク発】

ミャンマーからバングラデシュのコックスバザールに逃れてきたロヒンギャ難民の子どもたちは、急性栄養不良や、貧血症、感染症などの病気に苦しんでいると、ユニセフ(国連児童基金)は本日発表しました。

栄養調査が示唆する公共保健危機

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© UNICEF/UN0151415/Brown

重度の急性栄養不良と診断され、栄養治療食を食べる子ども。 (2017年12月4日撮影)

難民キャンプと仮設居住区で10月22日から11月27日までの間に3度実施された保健・栄養調査によると、5歳未満児の最大25%の子どもたちが急性栄養不良に苦しんでおり、世界保健機関(WHO)が定めた緊急事態を示す「栄養不良率15%」をはるかに超えていることがわかりました。調査対象の子どもの半数近くが貧血症に、最大40%が下痢症に、最大60%が急性呼吸器感染症にかかっています。

「これでコックスバザールのロヒンギャの子どもたちの栄養状況の全体像が見えてきました。残念ながら、私たちが最も恐れていたことが確認される結果でした」とユニセフ・バングラデシュ事務所代表 エドゥアルド・ベイグベデルは述べました。「故郷から逃れる中で、すでに想像を超える苦しみに耐えてきた難民の子どもたちは、今度は保健危機に晒されているのです」

今回の調査の対象地域はKutupalongとNayaparaの難民キャンプおよびUkhiaとTeknafの非公式仮設居住区で、サンプル数は新しく到着した難民の子どもおよびすでに難民として登録された子ども合わせて1,700人以上です。調査結果には以下のことが含まれます。

 

  • Kutupalongの子ども4人に1人が急性栄養不良、半数近くが貧血症、40%が下痢症、半数以上が急性呼吸器感染症に罹っている。
  • Nayapara難民キャンプに新たに到着した子どものうち、16%が栄養不良、50%近くが貧血症、40%が下痢症、2人に1人が急性呼吸器感染症に罹っている。
  • 非公式な仮設居住区では、子どもの5人に1人が栄養不良、ほぼ2人に1人が貧血症、5人に2人が下痢症、5人に3人が急性呼吸器感染症に罹っている。
  • 栄養危機が最も深刻なのは、Kutupalongの難民キャンプと仮設居住区で、最も高い急性栄養不良率と最も多くの新たなロヒンギャ難民を抱える。重度の急性栄養不良率が最も高いのはKutupalongの7.5%、次いで仮設居住区の3%、そしてNayapara難民キャンプの1.3%。
  • 子どもたちの適切な成長と発達に必要最低限の食事を摂取できている子どもは16%未満で、生後6カ月未満の新生児のうち30%は完全母乳で育てられていない。

 

「栄養不良、下痢症、そして感染症が合併することで、子どもたちはさらに衰弱します」とベイグベデルは言いました。「現地で活動している人道支援団体は、急性栄養不良の子どもたちへの治療支援を拡大していますが、子どもたちが適切な食事、きれいな水と保健ケアを確実に受けられるようにするためには、その努力をさらに拡大する必要があります」

栄養不良の検査を受ける子ども。(2017年12月4日撮影)

© UNICEF/UN0151423/Brown

栄養不良の検査を受ける子ども。(2017年12月4日撮影)

ユニセフはパートナー団体と協力して、難民の子どもたちの状況改善のために活動をおこなっています。これまでに、ユニセフとパートナー団体は、重度の栄養不良の子どもたち7,000人近くに治療を提供し、コレラワクチン約90万回分を提供し、はしかと風疹の予防接種を45万人近くの子どもたちに実施しました。また、難民キャンプと非公式居住区でのジフテリアの流行に対処するため、破傷風とジフテリアの2価ワクチンキャンペーンも開始しました。

 

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公益財団法人日本ユニセフ協会は、2018年1月11日(木)14時30分より、ユニセフハウス(東京・品川)にてロヒンギャ難民支援の現地報告会を開催します。詳しくは、こちらをご覧ください。

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