【2018年2月22日 ウランバートル(モンゴル)発】
ウランバートルの大気汚染レベルは、今後数年のうちに急速に削減されなければ、2025年には大気汚染が原因の病気に罹った子どもたちを治療するための財政上の経費は33%増加し、2025年以降は公共保健制度の経費が毎年48億モンゴル・トゥグルグ(MNT)増加することになると、モンゴル国立公共保健センター(Mongolian National Center for Public Health) とユニセフ(国連児童基金)が発表した新たな報告書が明らかにしました。
報告書『モンゴルの大気汚染危機:子どもたちの健康を守る行動求める(原題:Mongolia’s air pollution crisis: A call to action to protect children’s health)』は、大気汚染が子どもの健康に及ぼしている影響について警鐘を鳴らし、緊急に子どもたちの健康問題を予防・治療し、極端に高いレベルの有害な大気を削減するよう求めています。
モンゴルの子どもの半数が暮らすウランバートルの冬季の大気の汚染度は、世界最悪レベルです。2018年1月30日には、世界保健機関(WHO)が定めた微小粒子状物質(PM2.5)の国際的な安全基準値(24時間中間値:25μg/m3)の133倍を超えました。Baruun 4 zam観測地点での計測結果は、微小粒子状物質(PM2.5)が3,320μg/m3に達しました。
© UNICEF/UN0154526/Batbaatar |
ウランバートルでは、この10年間に、呼吸器系の疾患が急増しました。呼吸器感染症はほぼ3倍に、そしていまでは肺炎が5歳未満児の死亡原因の第2位となっています。汚染度が高いウランバートル中心部に暮らす子どもたちは、遠隔地に暮らす子どもたちと比較して、肺機能が40%低いことがわかりました。
健康上の問題に加えて、微小粒子状物質(PM2.5)を吸い込むことで、乳幼児の脳細胞を損ない認知的な発達を妨げ、生涯にわたる影響または後退を及ぼす可能性があることを最近の実証データは指摘しています。
「ウランバートルでは大気汚染は子どもの健康の危機となり、すべての子どもと妊婦がリスクに直面しています。リスクには死産、早産、低出生体重、肺炎、気管支炎、ぜんそく、脳の発達の阻害ならびに死が含まれます。このことは、モンゴルの人的資本にとって現実の脅威となっています」とユニセフ・モンゴル事務所代表アレックス・ヘイケンス(Alex Heikens)は述べました。
© UNICEF/UN0156426/Batbaatar |
「子どもたちの健康を守るための唯一の持続的な解決方法は大気汚染レベルを削減させることです。緊急に行動を起こさなければ、こうしている間にも何千人もの子どもたちが苦しみ続けます。私たちは、よりクリーンでより効率的なエネルギー、子どもたちが汚染に晒されることの一刻も早い削減、病気に罹った子どもたちへのより良い治療、そして大気汚染への脆弱性の改善に向けた子どもたちの健康全般への支援に対して、直ちに投資することが必要です」(ヘイケンス)
報告書は、大気汚染が子どもたちの健康に与える影響を軽減するために、次のことを提案しています。
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