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日本ユニセフ協会
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ユニセフ事務局長記者会見
世界の紛争地で無視される子どもの保護 多大な苦痛を強いられる子どもたち
紛争当時者に法の遵守と支援の許可求める

【2018年6月4日  ニューヨーク発】

6月4日、米国のユニセフ本部において、マリ訪問から帰国直後のユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアは、スウェーデン政府の国際連合常駐代表Olof Skoog氏とともに記者発表を行い、世界各地の紛争地の子どもたちの状況について報告しました。フォア事務局長の報告要旨は以下のとおりです。

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フォア事務局長がマリを訪問

マリの保健センターで、予防接種の様子を見守るヘンリエッタ・フォア事務局長。(2018年5月28日撮影)

© UNICEF/UN0212605/Keïta

マリの保健センターで、予防接種の様子を見守るヘンリエッタ・フォア事務局長。(2018年5月28日撮影)

私が訪問したマリでは、子どもたちは世界から注目されることもなく、静かに苦しんでいます。5歳未満児85万人以上が今年栄養不良に陥る危険があり、そのうち27万4,000人は重度の栄養不良で差し迫った死に直面しています。この数字は私たちの年初の推定数を34%上回っています。

小学校に通っていない子どもが100万人以上います。さらに100万人が中学校に通っていません。北部や中部では、少なくとも750校の小学校が治安上の問題で閉鎖されたままです。

マリは、新生児および妊産婦の死亡率が世界で最も高い10カ国の中のひとつです。新生児の28人に1人が生後1カ月以内に亡くなり、妊産婦の27人に1人が妊娠出産に関わる原因で亡くなっています。

マリは、世界に多く存在する、紛争のために子どもたちが多大な苦痛を強いられている国のひとつです。

 

苦痛を強いられている子どもたち

On 17 May 2018 in the Syrian Arab Republic, a girl sits outside a temporary shelter in Fafin tented camp. Too afraid to go back home in Afrin and not allowed to proceed to Aleppo city to reunite with family members and seek services, thousands of families are left living in inadequate conditions as the hot summer months approach. In May 2018 in the Syrian Arab Republic, more than 137,000 people from Afrin district have been displaced by escalating violence since 20 January 2018. Many remain displaced after several months, mainly in Tal Refaat, Nubul, Zahraa and surrounding villages north of Aleppo city. Many have left most belongings behind. Once well-off families are now sheltering in makeshift shelters, damaged or unfinished buildings, mosques, warehouses and open-spaces. Some 3,500 people are being accommodated in a tented camp in Fafin to the north of Aleppo. UNICEF has reached almost 35,000 children in collective shelters and makeshift camps with recreational activities and psycho-social support. Mine Risk Education sessions for children and caregivers have also been provided. Specialized case management is provided where needed, while more than 6,800 children received lifesaving nutrition services, including treatment for acute malnutrition.  Approximately 85,000 children will receive summer clothing kits over the coming weeks.

© UNICEF/UN0213314/Al-Issa

シリアの難民キャンプで、仮設テントの前に座る女の子。(2018年5月17日撮影)

支援を必要とする子どもの数が世界で最も多い国はイエメンで1,130万人、次いでシリアの800万人、そしてコンゴ民主共和国の790万人です。これらの数字はとてつもなく大きい数字です。そして紛争の影響を受ける子どもの数は増えており、ユニセフはこの問題に力を注いでいます。これは世界がより注視しなければならない問題です。子どもたちはこれらのほとんどの紛争の、大きな負担を負わされているのです。

私たちは世界各地で、子どもたちの保護が完全に無視されている状況を目撃しています。

シリアでは、7年前に紛争が開始してから、300以上の教育施設が攻撃されました。学校は常に安全な場所でなければなりません。学校は常に保護されなければならないのです。

南スーダンでは、約1万9,000人の子どもたちが紛争当事者の戦闘員、メッセンジャー、荷物運搬係、料理人、さらには姓的奴隷として使われています。

紛争は都市部で起きることが増えてきており、市民の生活インフラに著しい損傷を与え、社会的保護制度にダメージを与えています。

水道設備が損傷を受けています。イエメンでは、2017年8月から2018年5月の間に、サアダとアムラン州で貯水地や水道管に対する連合軍による攻撃が、確認できただけで5回あり、9万人の住民が影響を受けています。

病院や医療従事者も頻繁に攻撃を受けています。シリアだけで、今年1月から4月の間に92回の攻撃を受け、89人が死亡、135人が負傷しました。2017年には、世界保健機関(WHO)の記録によると、322回の攻撃があり、医療従事者と患者合わせて242人が死亡しました。

苦労して成し得た教育分野における前進が後戻りしています。マリでは、小学校に通っていない子どもの数は2009年と比較して30%増えました。アフガニスタンでは、学校に通っていない子どもの数は、7歳から17歳の子どもの人口の約半分にあたる370万人となり、2002年以降初めて増加しました。

女性や女の子たちに向けられた痛ましい暴力は、多くの場合彼女たちに生涯にわたる影響を与えますが、加害者は刑罰を免れています。

殺人、放火や強姦などの残忍な攻撃から逃れたロヒンギャの人々が難民として暮らすコックスバザールでは、性的暴力を受けた女性たちは汚名を着せられ、劣悪な環境で子どもを産み育てなければならない恐怖に直面しています。

“紛争が長引くほど、その影響は深刻になります”

この状況は、イスラエルの刑務所に毎月新たに収容される数百人のパレスチナ人の子どもたちから、爆弾やロケット弾が家や学校に落ちてくる脅威を抱えながら生活するイスラエル南部に暮らす子どもたちまで、長期にわたり解決をみないイスラエル・パレスチナ間の紛争の中に見ることができます。。

それはコンゴ民主共和国でも見ることができます。カサイ地域の民族間の暴力によって子どもの徴兵が大幅に増え、数十年におよぶ戦争のために保健制度が弱体化し、病気の集団発生が起きやすくなっています。現在起きているエボラ出血熱の集団発生も、国とその子どもたちが抱える悲しみに拍車をかけています。

紛争当時者に法の遵守と支援の許可求める

南スーダンで、武装勢力から解放された子どもたち。(2018年5月17日撮影)

© UNICEF/UN0209627/Chol

南スーダンで、武装勢力から解放された子どもたち。(2018年5月17日撮影)

これらのすべての国で、ユニセフの献身的なチームは、しばしば極めて複雑な環境下で、また時に高いリスクを抱え、子どもたちを支援するために働いています。ユニセフが今年に入って実施した活動の例として、以下が挙げられます。

  • コックスバザールでは、子ども40万人以上にジフテリアの予防接種を、また子ども14万人に心理社会的ケアを提供。
  • 南スーダンでは、子ども46万人にはしかの予防接種を、また、800人以上の子ども兵の解放を支援。
  • シリアでは、1,300万人の人々に安全な水を、子ども330万人にポリオの予防接種を提供。
  • イエメンでは、重度の栄養不良の子ども6万1,000人以上に治療を、また400万人近くの人々に安全な水を提供。

しかし、私たちには支援を届ける許可と資金が必要です。

私たちは、支援を必要とする人々に届ける許可が必要です。私たちはすべての紛争当事者に対して、人道支援団体が人々の命を守るために、妨げられることのない、無条件かつ持続的な支援活動の許可を求めます。

私たちは資金を必要としています。ユニセフは、今年計画している人道支援プログラムの実施に37億米ドルを必要としていますが、これまでに確保出来たのは僅かにその24%の9億米ドルのみです。

最も重要なのは、私たちには平和が必要だということです。

子どもたちは平和を必要としています。しかし平和が実現するまでの間、紛争当事者には戦争法、すなわち違法な民間人への攻撃、学校や病院への攻撃、子どもの徴用・徴兵、違法な拘留・拘束、人道支援の拒否を禁止する法を守る義務があります。紛争が発生したなら、これらの法を遵守しなければならず、違反した者は処罰されなければなりません。


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