メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2019年 >

ウクライナ東部
子ども50万人を含む320万人に水の供給の危機 今年、紛争による上下水道施設の破損被害58件
修復を命がけで行う作業員たち

【2019年7月4日  キエフ(ウクライナ)/ジュネーブ発】

ユニセフは本日、ウクライナ東部における武力衝突の悪化で、50万人の子どもを含む320万人への安全な水の供給が脅かされ、破損した水道施設を修復する作業員の命も危険に晒されていると発表しました。

紛争による上下水道施設の破損被害58件

Ivan Morhun, 23, who is one of nine children, carries empty containers to fetch water in the city of Toretsk, Donetsk Oblast, Ukraine, Monday 20 November 2017. Ivan's family lived through a short period when their city was on the contact line, which divides government and non-government controlled areas and where fighting is most intense, and was frequently shelled. The family have frequently experienced prolonged periods when they have no water due to water pipes leading to their town being damaged in fighting. Even when water is running normally – for short periods in the morning and evening – the family sometimes run short and have to fetch drinking water from a local spring. In the months when water was completely shut off, the queues at the spring were hours long. As of December 2017, the situation in eastern Ukraine remains volatile, and violence continues despite the latest ceasefire agreements committed on 19 July 2017. The lives of children and their families, especially those living along the contact line continue to be at risk. Civilian infrastructure continues to be hit, putting an added strain on the ability to provide sustained access to basic social services. The disruption of critical infrastructure in settlements along the contact line is becoming the daily ‘normal’ for millions of people. Life-saving water and electricity installations were subject to continuous interruption in 2017, affecting more than three million people on both sides of the contact line. Multiple pumping stations, including the large Donetsk Filter Station (DFS) remain at the centre of hostilities. In February, water stoppages due to damaged power lines, and shelled filter stations placed the heating systems of around 1.8 million people directly at risk, with the town of Avdiivka particularly affected. While hostilities continue near critical infrastructure, damage to supply systems and – as a knock-on effect – the collapse of inter-dependent heating systems may

© UNICEF/UN0150334/Gilbertson VII Photo

悪路を歩いて水を汲みに行く23歳のイヴァンさん。(2017年11月撮影)

ウクライナ東部では紛争により、6月の最終週に、政府管理下にある地域と非政府支配地域とに分断する「コンタクト・ライン(接触線)付近の上下水道施設が被害を受ける事態が5件発生しています。

6月29日の早朝には、ドンバス地方のHorlivka(ロシア名:Gorlovka)で炸裂した砲弾によりコンタクト・ライン両側の300万人以上に水を供給する水道管が破損しました。同じ夜、ドネツク州のVasylivka近くの第一揚水場が砲撃を受け、夜勤の作業員たちは敷地内にある防弾シェルターに向かって命をかけて走らなければなりませんでした。

「ユニセフは、直ちに重要な社会インフラ施設に対する無差別な攻撃を止め、水道事業従事者の保護をするよう、あらためて求めます。彼らは、子どもたちや家族が、すべての人々の基本的人権でもある、きれいな水の供給を受けることができるように命をかけているのです」とユニセフ・ウクライナ事務所副代表ローラ・ビルは述べました。

今年に入ってから、紛争の影響を受ける地域において武力衝突が原因で、320万人が依存する水の供給が部分的あるいは全体的に停止した日数は29日間にのぼり、上下水道施設が破損した回数は58回にのぼります。紛争開始から、犠牲になった水道施設作業員は9人、負傷者は今年の3人を含めて26人で、すべての作業員は、紛争の影響を受ける地域の子どもと家族のために水の供給を続けようとして犠牲になりました。

「水の供給が制限されたり、停止すると、子どもたちと家族は、汚染された水や安全でない衛生環境に頼るしかなくなります。これは、夏の暑さの中で非常に危険な事態です」とビルは言いました。「4月には、断水が始まった数日後に胃腸炎が流行しました。武力衝突が終わらなければ、より多くの子どもたちが苦しむことになります」

水道施設の修復や改善を支援

Mayorskの水道施設。(2018年9月撮影)

© UNICEF/UN0243086/Morris VII Photo

Mayorskの水道施設。(2018年9月撮影)

ユニセフとパートナー団体は、2019年1月から5月の間に、コンタクト・ラインの両側の約93万人がきれいな水を得られるようにするために、水の輸送、浄水剤の提供、および脆弱な水道施設が喫緊に必要としている修復や改善を支援しました。

ユニセフが今年、ウクライナ東部における水と衛生分野での緊急支援に必要な資金1,330万米ドルのうち、これまでに獲得できたのは15%です。ユニセフが今年、ウクライナ東部全体の緊急人道支援に必要な2,100万米ドルのうち、これまでに獲得できたのは30%に止まります。

シェアする


トップページへ先頭に戻る