【2019年12月23日 東京発】
1年という月日の中では、多くの出来事が起こります。
生まれて最初の1年、とても小さかった赤ちゃんは、寝がえりを学び、初めての離乳食を口にします。言葉を初めて発し、最初の一歩さえ歩み出すかもしれません。
しかし毎年250万人以上の新生児が、人生最初の1カ月を生き延びることができず、健やかに成長する機会を奪われています。
けれども、そのような悲しい状況は変えることができます。
すべての母親と赤ちゃんが、妊娠中から生後1カ月の間、母子の健康を維持するための知識と能力を備えた保健師による質の高いケアを、手頃な価格で受けることができれば、多くの家族が赤ちゃんの1年の成長を見届ける機会を得ることができます。
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チベット語で「金曜日」という意味の名前の女の子、シュガーマー(Sugarmaa)は、家族が暮らすゲル(モンゴルの伝統的な住居)に近い保健センターで生まれました。
この保健センターには出産間近の妊婦が家族とともに滞在できる施設が併設されているので、母親のデルガームルンさんは出産まで家族の近くで過ごすことができました。
「シュガーマーが生まれて、とても幸せで嬉しかったです。娘を見てすぐに、自分に似ていると思いました。今3人の娘がいてとても幸せです」とテルガームルンさんは話します。
1年が経ち、シュガーマーはすくすくと成長し、発達も良好です。
シュガーマーは物事の理解が早く、他の人が何をしているかを見てその行動をマネするのが得意です。時に上手くいかずにふてくされながらも、失敗しながら学び成長しています。姉たちと一緒におもちゃで遊んだり、コップに水やお茶を入れたりしています。
父親のプレヴジさんは、子どもたちと遊んだり絵本を読んだりと、子育てにおける役割を積極的に果たしています。父親は3人の娘について「勤勉な人になってほしいです。教育を受け、かしこく、善良な人になってくれるよう、私たちは一生懸命子どもたちを育てています」と話します。
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タヒアット(Tahiat)は、予定日より8週間も早く生まれ、出生時の体重はわずか2kgでした。産声を上げず、けいれんを起こし、顔色もだんだんと青ざめていったのです。
ユニセフが支援する新生児集中治療室で、命を守るための治療を受けながら4日間を過ごし、治療ケアと母親の母乳のおかげで、タヒアットは一命をとりとめました。
母親のジャンナツルさんはその時のことを回想します。
「娘が生きるか死ぬか、私たちには分かりませんでした。だから、娘が生き延びたとき、まるで彼女が天国から戻ってきたかのように感じました。一命をとりとめそうだと分かったときが、私の人生で最高の出来事でした」
タヒアットのフルネーム、Ayedatujannahは「こんにちは、天国から戻ってきた子」という意味がこめられています。
タヒアットが1歳になったとき、家族は盛大にお祝いをしました。母親は、2歳になるまで母乳育児を続けるつもりだと言います。そして、タヒアットの食事の記録をつけています。
例えば、「ウズラの卵、鶏の卵、鶏肉、魚、魚の卵、ジャガイモ、ダール、トウモロコシ。娘は、塩で味付けしたトマトとミックスベジタブルが好き。大好きな果物はバナナ。砂糖の入った少し暖かいミルクも好きだけど、冷たい水がとても好き。氷は大好き!」というように。
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リアム(Liam)は、多くのケチュア系先住民が住んでいる地区の保健センターで、母親のヴェロニカさんのひとり息子として誕生しました。
「私は1996年から働いています。この地区でユニセフの活動が始まった年です」と看護師のルネ・アルシラさんが話します。
「最近は、地域のコミュニティを訪れて、出産や子どもたちの発達状況についてより注意深く見守れるようになりました。以前は、母子の健康を診ることがとても難しかったのです。コミュニティの人々は私たちを家の中へは入れてくれず、ドアの向こうで忙しいと言うだけでした。けれど今は、私たちを家の中へ入れてくれますし、診療所にも自ら行くようになりました」
リアムが生まれてから1年が経ち、健康状態は良く、この地域ではよく見られる貧血も患っていません。
母親のヴェロニカさんは、「息子はなんでも食べます」と話します。リアムは、朝食に食べるトウモロコシとジャガイモでつくられたおかゆの他にも、多様な食事を口にします。リアムの大好物は、にんじん、チーズ、トウモロコシ、えんどう豆、カボチャスープ、タロイモ、ミルクです。「にんじん、ビート、アルファルファを混ぜたスムージーも作りますし、バナナの皮と砕いた卵の殻をブレンドすることもあります」(ヴェロニカさん)
助産師から受けた栄養研修のおかげで、ヴェロニカさんはリアムの食事を改善することができました。
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マラド(Malado)は、4人兄妹の末っ子として、合併症もなく健康に生まれました。母親のマシビリーさんは「初めて娘を見たとき、幸せな気持ちになりました。健康に育ってほしいです」と話します。
「娘のためにこれから貯金できれば、私がいなくなったとしても娘は元気でいられます。娘を出産するとき、壮絶な痛みに苦しみ、病院に車で運ばれているときは、自分は死ぬんだと思いました。
けれど生まれたばかりの娘は、私と目が合うとすぐに産声を上げ始めました。とても幸せでした」
1歳を過ぎ、マラドは今も母乳で育てられています。生後7カ月のとき、マラドは初めての離乳食、お粥を食べました。
「普段はお粥、豆、ジャガイモを食べますが、母乳が大好きです」とマシビリーさんは話します。マラドは卵、魚、牛肉、鶏肉も食べます。
兄妹たちと仲良くおもちゃで遊ぶマラドは、父親のアダマさんと遊ぶことも大好きです。
「私が旅行から戻ると、娘が走ってやって来ます」とアダマさんは話します。「娘はとても活発で、いつも走っているので、常に注意して見守っていなければなりません。娘はすばやく、年上の子どもたちよりもずっと速いです」
© UNICEF/UNI259359/van Oorsouw |
ユニセフは毎年世界の20%近くの新生児の出産を支援しています。
そして、産前産後のお母さんと新生児の赤ちゃんへの質の高い保健ケアと栄養支援によって、赤ちゃんの生存の可能性を伸ばしています。
1年という時間がもたらす子どもの成長を見守り、1歳の誕生日という記念すべき日を祝うことができる家族が、世界中のみなさまからのあたたかい支援によって、確実に増えています。
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