メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2015年 >

ネパール大地震から6カ月
冬の到来で迫る危機
仮設住居の約85%に防寒設備なし

【2015年10月25日  カトマンズ(ネパール)発】

『ユニセフ・ネパール大地震6カ月レポート~すべての子どもに支援を届ける』(原題:REACHING THE UNREACHED- Nepal Earthquake: Six Months Review)

『ユニセフ・ネパール大地震6カ月レポート~すべての子どもに支援を届ける』(原題:REACHING THE UNREACHED- Nepal Earthquake: Six Months Review)

ネパールで4月発生した最初の大地震から6カ月がたち、ユニセフ(国連児童基金)は『ユニセフ・ネパール大地震6カ月レポート~すべての子どもに支援を届ける』(原題:REACHING THE UNREACHED- Nepal Earthquake: Six Months Review)を発表しました。

大地震から6カ月、冬の到来

最初の地震発生から6カ月が経過し、余震の頻度は減少し、徐々に復興への道のりを歩み始めています。しかし、受けた被害の大きさから、その道のりは容易ではなく、長い時間が必要とみられています。

被災した人々は、未だその多くが仮設の避難所で暮らしており、冬の到来は避難している人々にとって一層の負担となります。地震によって倒壊した建物は60万棟以上、さらに30万棟近くが被害を受けています。地震から6カ月経過した現在も、6万人近くが120カ所の避難所で暮らしています。避難所に設置された仮設住居の約85%に防寒設備がなく、冬の生活には適していません。

また、高地に暮らす推定8万1,000世帯(40万人)が、寒さから身を守るための避難施設を必要としており、それに伴い、防寒・耐久性のある避難施設を作るための材料、暖かい衣類、毛布、調理器具、暖房用燃料への緊急ニーズが高まっています。

子どもたちや女性が日常を取り戻すため

被災したソルクンブ郡で暮らす5歳の子ども。

© UNICEF/NEPA2015-00057/Mathema

被災したソルクンブ郡で暮らす5歳の子ども。

地震発生直後から現在に至るまで、ユニセフはネパール政府や他の人道支援パートナー団体との密接な協力のもと、被災地域のいたる所で、子どもたちや女性が日常を取り戻すための支援を行ってきました。

ユニセフ・ネパール事務所代表の穂積智夫は、「過去数カ月の間、私たちはパートナー団体ともに、辿り着くのが非常に難しい地域なども含め、各地で被災した子どもたちやその家族に人道支援を届けるため、多くの障壁を乗り越え、懸命に取り組んできました。それは、多大な困難を乗り越えようとするネパールの人々の、驚くべき回復力と不屈の精神に、私たちが力をもらう日々でもありました」と6カ月レポートの中で述べています。

ユニセフの支援

ユニセフがこの6カ月間で実施した支援の一部(6カ月レポートより抜粋)は以下の通り。

  • 安全な水、衛生キット、テント、防水シート、医療品キット、ワクチン、蚊帳、ビタミンや栄養治療食、学校、早期幼児開発キット、教育キットなどの提供
  • 最も甚大な被害を受けた14の郡のうちのひとつ、Kavrepalanchokでポリオの予防接種を受ける子ども。

    © UNICEF/NEPA2015-00038/Karki

    最も甚大な被害を受けた14の郡のうちのひとつ、Kavrepalanchokでポリオの予防接種を受ける子ども。

    はしかや風疹、ポリオなど、予防可能な病気から子どもたちを守るため、予防接種キャンペーンを通して、6カ月から5歳未満の子ども50万人に予防接種を実施

  • 1万人の妊産婦や授乳中の母親と乳児のため、被災した11郡に22の避難施設を設置
  • 6月の「栄養週間」には、子ども50万人とその母親たちに栄養状態の検査を実施
  • 7月にカトマンズ渓谷で確認されたコレラの感染の拡大を直ちに防ぐため、政府主導による大規模な水と衛生の啓発キャンペーンと、飲料水の水質検査および、下痢予防キットの配布などを、カトマンズ渓谷に位置する3郡で実施。また、メディアを通した安全な水と衛生に関するキャンペーンを被災11郡でも実施。これらの迅速な対応により、水を媒介する感染症の拡大は一つも報告されていない
  • 技術者チーム計110組が各地を回り、6,300校以上、5万5,000教室の構造的評価を完了。そのうちの62%にあたる3万4,500教室が、使用するには安全でないことが明らかになった。ユニセフは、9月末までに一時的な学習センターを1,416カ所設置し、子どもたちが被災の影響が残る中でも教育を受け続けられるように支援
  • 956人(女の子281人、男の子224人、女性427人、男性44人)が、人身売買の被害に遭った、もしくは被害に遭う可能性があったが、途中で阻止され保護された
  • 推計1万6,094人の子どもたちが、226カ所に設置された「子どもにやさしい空間」で支援を受けた。また、社会心理的ケアを行う地域のスタッフ、ソーシャルワーカー、教師、保健専門官ら1,000人近くが、子どもたちを対象にした基本的な心理社会的ケアに関する訓練を受けた
ユニセフが支援する仮設の学習センターで勉強する子どもたち。

© UNICEF/NEPA2015-00028/Karki

ユニセフが支援する仮設の学習センターで勉強する子どもたち。

「緊急支援から復興支援へと推移する中で、ユニセフの役割として、冬の到来に先立ち、地震で被害を受けた丘陵地帯に暮らす子どもたちや女性の保護、そしてネパールがよりレジリエントな(災害に強い=しなやかで回復力のある)国、将来起こりうる災害への備えがある国になるための支援に、焦点をあてていきます」(穂積代表)

* * *

ユニセフ本部への「ネパール大地震緊急募金」の送金額は、10月27日までに、1,240万7,300米ドル(14億9,898万5,932円)となりました。皆様のあたたかいご支援に心から御礼申し上げます。

【ネパール大地震から6ヶ月 ユニセフの支援活動】

ユニセフの支援活動分野 ユニセフが活動する対象人数 これまでに支援を提供した人数
水と衛生
最も被害を受けた地域の住民に対して、飲用、料理、衛生に適切な安全な水を提供 84万人 76万4,608人
最も被害を受けた地域の住民に対して、衛生的な環境と手洗い場の提供 84万人 18万8,053人
最も被害を受けた地域の住民に対して、衛生に関する研修や教材の提供 84万人 49万5,189人
栄養
急性重度栄養不良の6~59ヶ月の子どもに対して、すぐ口にできる栄養治療食を提供 2,500人 1,328人
子どもの栄養障害を防ぎ、栄養状態を改善するための微量栄養素パウダーを6~59ヶ月の子 どもに対して提供 32万3,775人 32万6,091人
0~23ヶ月の子どもの母親に対して、母乳育児や離乳食に関する情報やカウンセリングを提 供 12万6,000人 14万2,731人
保健
最も被害を受けた地域の子ども6~59ヶ月に対して、はしかの予防接種を実施 50万4,000人 53万7,081人
最も被害を受けた地域の5歳未満の子どもに対して、下痢症への治療を提供 28万人 40万6,181人
最も被害を受けた地域の新生児の母親に対して、緊急支援の提供 4万1,850人 4万6,522人
子どもの保護
最も被害を受けた地域の子どもに対して、地域に根ざした心理社会ケア、および専門家による 心理社会ケアサービスの提供 16万5,300人 15万8,478人
最も被害を受けた地域の住民に対して、ジェンダーに基づく暴力、人身売買などの暴力、虐待、搾取を未然に防ぐため、地域ボランティアによるケアの提供 14万3,500人 16万1,877人
地震によって家族や保護者と離れ離れになってしまったり、保護者が伴わずに避難したと登録 された子どもを、家族と再会、もしくは適切な代替的ケアの提供 登録された子どもの100%以上 379人が家族と再会しました
教育
最も被害を受けた地域の子どもに対して仮設の学習環境を提供 18万3,640人 14万1,600人
最も被害を受けた地域の教師に対して、心理社会ケア、被災時の救命に関するメッセージなど について研修を実施 8,106人 4,593人
「学校に戻ろう」キャンペーンの一環で、学習教材、学校に必要な備品を被災した子どもに提供 100万人 58万7,330人
その他
最も被害を受けた地域の住民に対して重要なメッセージの共有 100万人 100万人

 


「ネパール大地震緊急募金」は2017年10月31日をもって受付を終了いたしました。これまでに18億795万2,422円もの浄財を全国の皆さまからお寄せいただきました。皆さまのご協力に感謝申しあげます。

ネパール大地震緊急募金受付終了について »


 

◇ 自然災害緊急募金のご案内 ◇

ユニセフは、世界各地で発生しているさまざまな自然災害の影響を受ける子どもたちのために、緊急・復興支援活動を行っています。日本ユニセフ協会では、ユニセフのこうした活動を迅速に支援するため、自然災害緊急募金を受け付けています。

 

自然災害緊急募金

郵便局(ゆうちょ銀行)

振替口座:00190-5-31000

口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会

*通信欄に「自然災害」と明記願います。

*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。

btn

*公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。

シェアする


トップページへ先頭に戻る