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日本ユニセフ協会
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靴や暖房なしで冬を過ごす子どもたち
100万人以上に命を守る越冬支援を実施

【2015年12月30日  シリア発】

シリア北西部の町カマシリに真冬の寒さがやって来ました。3度近くにまで気温が低下するなか、以前から困難を強いられている人々の生活は、より厳しいものになっています。

かつて小学校だった建物は避難所へと変わり、自宅からの避難を強いられた家族が、人でいっぱいの凍えるような教室に身を置いています。人々は少しでも暖かく過ごそうと、手に入る限りのものを使って暖を取っています。多くの家族が料理や暖をとるために薪で火を起こすなか、道に捨てられているごみを集めて燃やしている人もいました。常に燃料の購入が必要な、暖房器具を買う余裕がないのです。

このような厳しい環境下、最も困難に直面するのが子どもたちです。ハサカで現在暮らしている30万人の国内避難民のなかには、危機下で両親を失った子どもたちも多くいます。ほとんどが学校を退学し、家計を助けるために働かざるを得ません。

2週間ずっと、裸足のまま

アブデュルアズィズ小学校に避難しているアリくん(8歳)。

©UNICEF Syria

アブデュルアズィズ小学校に避難しているアリくん(8歳)。

8歳のアリくん一家は1年近く前、シリア北西部にあるテル・ハミス近くにある村から避難してきました。しかし数カ月後、アリくんの父親は腎不全で亡くなってしまいました。母親や6人の兄弟姉妹は、60世帯以上の人たちと一緒に避難所となったアブデュルアズィズ小学校で暮らしています。アリくんの母親はフルタイムの仕事をしていますが、8人家族のための基本的な生活必需品を手に入れることもままなりません。アリくんもお菓子屋さんで働いていますが、家族の生活に大きな改善をもたらすにはあまりにも少ない、250シリア・ポンド(1米ドル未満)ほどの収入しか得られていません。このような困難に直面しても、アリくんの教育への熱意が失われることはありません。アリくんは午前中に学校に通い、午後に仕事をしています。

「2週間、ずっと裸足のままです」アリくんが涙ながらに話します。「お家にも暖房はありません。冬服とブーツが欲しいです」

「ここよりも、生まれ育った村の生活の方がよかったです」と、長女のヤスミンさんが悲しそうな瞳で語り始めました。「きれいな家で暮らしていました。3部屋あって、素敵な裏庭もありました。またあの家に戻って、家族一緒に暮らしたいです。それが、私の唯一の夢です」

燃料を買うお金もない

「家に戻って、昔のように家族一緒に暮らすのが夢」と話す、ヤスミンさん。

©UNICEF Syria

「家に戻って、昔のように家族一緒に暮らすのが夢」と話す、ヤスミンさん。

避難を強いられている650万人以上の人々にとって、基本的な冬用の物資すら、手に入れることは非常に困難です。突然自宅からの避難を強いられた家族は、着の身着のままアブデュルアズィズ小学校のような避難所に辿り着きます。そして、どんなに精一杯働いても、家族を支えるために十分な収入を得られずにいます。多くの家族の家計は困窮しており、燃料や暖かい服、毛布などの必要不可欠なものを購入することができません。

夫を亡くしたレフェット・ソウリマンさん55歳は、シャーモックスの村を逃れてきました。「村が襲われ、目の前でふたりの息子が殺されました。何も持たずに逃げてきました」レフェットさんと6人の残された子どもたちは現在、寒さが厳しいアブデュルアズィズ小学校で60世帯以上の家族と共に暮らしています。「障がいのある息子の面倒をみるため、家にいなくてはいけません。そのため、家族で唯一の働き手である娘の収入に頼らざるを得ません」と、レフェットさんが話します。「暖房器具や燃料がなく、学校は夜になるととても寒くなります。昨日中古のヒーターを購入しましたが、まだ燃料を買うお金はありません」

子どもたちの命を守る越冬支援

アリくんやレフェットさんのように、今後も厳しい気候の中での生活を強いられる人々を支援するため、ユニセフは越冬支援を実施しています。この支援を通して、100万人以上のシリアの子どもたちを対象に、服や毛布、学校の暖房器具の提供を行います。これまでに、現地で調達した36万3,000セットの冬キット、11万6,300枚の毛布、2,000台の学校用の暖房器具を調達しました。この支援は国内避難民を含む、最も影響を受けている子どもたちに重点を置いて実施されます。

「対応能力が限界にまで達しているシリアの家族たちにとって、寒く厳しい冬はより困難をもたらします」と、ユニセフ・シリア事務所代表のハナア・シンガーが語ります。「子どもたちが適切なケアを受け、暖かい冬を過ごすことができるようにするため、子どもたちの命を守る越冬支援は必要不可欠です」

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