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日本ユニセフ協会
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欧州難民危機
保護者の同伴ない子どもたち
9人に1人が行方不明
ユニセフ、1年近くにおよぶ待機期間を問題視

【2016年5月6日  ジュネーブ発】

ユニセフ(国連児童基金)は今日、ヨーロッパに滞在する保護者の同伴のない難民・移民の子どもたちを保護するため、緊急の対策が必要であると要請しました。こうした子どもたちは、虐待、人身売買、性的搾取などに遭う深刻なリスクに直面しており、その数は昨年9万5,000人以上確認されました。

保護者の同伴のない子ども、9人に1人が行方不明

セルビアとの国境付近にあるトランジットセンターの列に並ぶ子どもたち。(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)

© UNICEF/UN012710/Georgiev

セルビアとの国境付近にあるトランジットセンターの列に並ぶ子どもたち。(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)

インターポール(国際刑事警察機構)は、保護者の同伴のない難民・移民の子どもたちの9人に1人が行方不明となっていると推定していますが、実際の数はもっと多いと考えられます。たとえばスロベニアでは、保護者の同伴のない子どもの80パーセント以上が受け入れセンターから姿を消しました。また、スウェーデンでは、毎週最大10人の子どもがいなくなっていると報告されています。ドイツでは今年に入ってから、同伴者のいない子ども4,700人が行方不明であることが分かりました。

「保護者のいない子どもたちは、見過ごされてきています。多くは、受け入れセンターで待機している間に親戚の元へ行こうとして、あるいは、彼らの最善の利益は何かを決定する上で十分に意見を聞いてもらえない、権利について説明をしてもらえない、といったことが理由で、センターからいなくなってしまいます」とユニセフのヨーロッパ難民危機特別コーディネーターのマリー・ピエール・ポワリエールは指摘しました。

子どもの最善の利益を考えた対応を

テントの近くで、焚火にするために木を折る男の子。(ギリシャ)

© UNICEF/UN012806/Georgiev

テントの近くで、焚火にするために木を折る男の子。(ギリシャ)

今回の要請は、EU加盟各国が、難民・移民に対応するより公平で持続可能なシステムを構築するための交渉を開始したことを受けて、行われました。ユニセフは、いかなる決定でも、それが子どもに影響を及ぼすものであれば、子どもの最善の利益を基盤に行われるべきであると強く訴え、この原則が、現在議論されているダブリン条約の中で強化されるよう求めています。

ユニセフはまた、子どもたちは現在、難民登録から受入国への移送まで最長で11カ月も待たされていることを指摘し、子どもに関与する決定の迅速化が重要であると強調しました。待機期間を90日以内に短縮し、早期に後見人をつけ、家族との再会を急ぐべきであるとユニセフは呼びかけています。これが、保護者を伴わない子どもたちを守り、行方不明になることを防ぐ鍵となります。

単独で移動を続ける子どもたち

セルビアの国境付近で、焚火の周りに集まって暖をとる子ども。(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)

© UNICEF/UN013600/Georgiev

セルビアの国境付近で、焚火の周りに集まって暖をとる子ども。(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)

最新の数値によると、2015年にヨーロッパで保護を求めた保護者の同伴のない子どもは、9万6,500人に上りました。それは、保護を申請している子ども全体のおよそ20パーセントに相当します。多くは、アフガニスタンからの10代の若者で、次に多いのはシリアからの子どもたちです。非常に多くの14歳未満の子どもが、おとなや保護者の同伴なく、単独で移動を続けています。

2015年に入国した子どもの半数以上に、保護者の同伴がなかったという国もありました。スウェーデンでは、保護者の同伴のない若者の数が、子どもの難民全体の50パーセントを占めています。さらにイタリアでは、家族とともに到着した子ども4,000人に対して、同伴者なしの子どもは1万2,300人に上りました。

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