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日本ユニセフ協会
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シリア
紛争でイラクに避難した少女
前を向き歩み続ける姿が家族の支えに

【2016年3月15日  シリア発】

家族や友達から“ビツ”と呼ばれているベリタンちゃん。母親が名付けたベリタンという名前には、“勇敢”という意味があります。ビツちゃんにまさにぴったりの名前です。

紛争から逃れて

イラクの難民キャンプで暮らす、シリア難民のベリタンちゃん。

© UNICEF

イラクの難民キャンプで暮らす、シリア難民のベリタンちゃん。

ビツちゃんの父親は、2年ほど前、家族の元から姿を消しました。母親に対して暴力をふるうようになった父親は、仕事に行くと言い残して出かけたまま、帰ってくることはありませんでした。ビツちゃんや弟、妹は、父親がどこに行ってしまったのか、よく母親に聞いていたといいます。子どもたちは、父親に関する歌がテレビから流れてくるなど、些細なことのように思える出来事にも、心がざわついていました。

ビツちゃんは、シリア危機の影響でシリアの自宅や友達、親戚の元を離れることを余儀なくされました。現在は母親と弟、妹と一緒に、イラクの難民キャンプで暮らしています。

母と弟妹との難民キャンプでの暮らし

ベリタンちゃんの家族。お母さんと、弟、妹と4人で暮らす。

© UNICEF

ベリタンちゃんの家族。お母さんと、弟、妹と4人で暮らす。

シリアで紛争が勃発してから5年が経過しました。5年間で、世界では多くのことが変わりました。しかしシリアの子どもたちは、5年という長い歳月を、残忍な紛争に苦しみ続けているのです。ビツちゃんのような多くの子どもたちが、家族や友達、学校、家を失っています。

「3年前、家族と一緒にシリアからやって来ました。今はこのキャンプで暮らしています。シリアでは、広い庭のある、大きな家に住んでいました。庭には池や果物の木もありました。いつも、親戚に囲まれていました。いつかシリアに戻りたいです」と、ビツちゃんが語ります。

「お父さんはイラクに来てから変わってしまいました。お母さんに暴力をふるうようになり、ある日いなくなってしまいました。仕事に行くと言って出掛けたまま、帰って来ませんでした。お金はすべて持っていってしまいました。お母さんは、私たちを一人で育てなくてはいけなくなりました。お父さんは他の女の人と一緒に暮らしています。お父さんのことを恋しいと思ったことは、一度もありません」

「お母さんのために、トイレの壁にメッセージを書きました。玄関を開けると、お母さんが朝一番に目にできるようにね」

お母さんへ

壁に書いたお母さんへのメッセージ。

© UNICEF

壁に書いたお母さんへのメッセージ。

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お母さん、大好きだよ。

とってもきれいだし、すごいお母さん。

私たちのために、たくさんのことを犠牲にして頑張るお母さん。

本当にありがとう。

妹のことも、弟のことも、大好きだよ。

愛を込めて。 ベリタン

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妹と一緒に学校へ

妹のルルちゃんを支えながら、一緒に登下校する。

© UNICEF

妹のロレーンちゃんを支えながら、一緒に登下校する。

「妹のロレーンは7歳です。ルルと呼んでいます。ルルは上手に話せないし、きちんと歩くこともできませんが、学校に通っています。毎朝ルルをおんぶして学校に通い、帰りは一緒に歩いて帰れるように手を貸しています。家は学校からとても遠いです。ルルは一人で歩くことができないので、家はハイハイで移動しています」

「学校が好きです。好きな科目は数学です。私の学校の一番良いところは、先生です。算数の先生は、ファティマ先生です。友達のハディヤちゃんとは、毎日午後に私の家で一緒に遊んでいます。キマちゃんとエベリーンちゃんとも仲よしです」

「いつか弁護士になって、子どもたちを守ってあげたいです」

シリアの子どもたちのために

「いつか弁護士になって、子どもたちを守ってあげたい」と話す、ベリタンちゃん。

© UNICEF

「いつか弁護士になって、子どもたちを守ってあげたい」と話す、ベリタンちゃん。

とても勇敢な心を持つビツちゃん。しかし、苦境に立たされているのはビツちゃんだけではありません。シリアの5年に及ぶ紛争は、何百万人もの子どもたちや家族の生活を一変させました。

ユニセフは、シリア国内と周辺国で子どもたちのために活動を続けている数少ない機関の一つです。ユニセフは紛争が始まる前からシリアで支援活動を行っていました。そして、5年間に及ぶ紛争の厳しい状況下も、支援を継続しています。そして紛争後も、ユニセフはシリアの子どもたちの生活再建のため、支援を続けていきます。

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