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日本ユニセフ協会
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イラク・デバガ避難民キャンプ
子どもたちが語る物語
「いつかまた普通の学校に」

【2016年10月25日  デバガ避難民キャンプ、アルビル(イラク)発】

イラクのデバガ避難民キャンプには、イラク北部の様々な地域から避難してきた1万6,000人以上の子どもたちがいます。子どもたちの多くは、武力勢力の支配地域で暮らしていたため、家族と長時間歩いて安全な場所まで移動してきました。現地を訪れたユニセフ(国連児童基金)のシャロン・ベーン広報官とジュリエット・トウマ広報官の報告です。

 イラクのキャンプで出会った子どもたちの声

デバガ難民キャンプで家族とともに暮らすヌアちゃん

© UNICEF/UN035107/Anmar

デバガ難民キャンプで家族とともに暮らすヌアちゃん

私たちを見るやいなや子どもたちはこちらへ向かってきて、我々の手を握り、話出すと止まりませんでした。子どもたちの声は、今伝えられるべきなのです。これは、出会った子どもたちが実際に語った言葉です。

マヘルくん(14歳)はデバガ避難民キャンプに来てまだ15日です。妹のザーラちゃんと両親と15時間以上歩き、この避難民キャンプにたどり着いたことを説明してくれました。彼は自分の両足とくたびれたサンダルを指さし、こう言います。「僕たちは朝の礼拝の呼びかけから夕方の礼拝の呼びかけの時間まで、歩き続けたんだ。この靴で歩いたんだよ」

ハイサムくん(12歳)が学校に通わなくなって、もうすぐ2年が経ちます。「僕が行ける学校は『ダーイシュ』の学校しかなかったんだ」と、ハイサムくんは武装勢力ISの現地での呼び名を口にします。「彼らは僕たちに銃の使い方しか教えたくなかったんだ」と銃で撃つ仕草をしながら続けます。「でも、僕は教わりたくなかった。銃は使いたくないし、嫌いだ」

望みはいつかまた普通の学校に通えることだけ、とハイサムくんは語ります。

デバガ避難民キャンプで暮らすアミルくん(6歳)

© UNICEF/UN037021/Anmar

デバガ避難民キャンプで暮らすアミルくん(6歳)

元気いっぱいなハッサンくん(9歳)が子どもたちの輪の中に入ってきました。自分の家族がお金も食べ物もなくなってしまったことを、懸命に語ります。貧困のせいで、ハッサンくんの家族は移住させざるを得ませんでした。「茄子しか食べ物がなかったんだよ」とハッサンくんが言うと、マヘルくんの妹のザーラちゃんが会話に割って入ります。「私たちはブルグル(穀物の一種)も食べたよ!」

サナさんは18歳くらいにしか見えませんでした。顔を布で隠しながらも、話したがっていました。彼女は3人の子どもがいる、と教えてくれました。「2人の小さな娘を抱えながら、何時間も歩き続けました」。3人目の子どもについては、何も語りませんでした。

今も、紛争の中心で

デバガ避難民キャンプで暮らす男の子。

© UNICEF/UN037022/Anmar

デバガ避難民キャンプで暮らす男の子。

非常に短い滞在でしたが、子どもたちの声を直接聞くことで、このイラクの子どもたちが幼いながらもすでに一生分の苦しみを味わっていることに確信を持ちました。

「子どもたちはこの紛争のまさに中心に囚われています。多くの子どもたちはショック状態に陥っています。遊び、学び、そして夢を見る安全な場所が必要であり、もう一度子どもらしくいられる機会が必要です」とユニセフ・イラク事務所代表のピーター・ホーキンスは述べます。

イラク全土で470万人の子どもが紛争による直接の影響を受けており、350万人が学校に通えずにいます。また、50万人以上の子どもがまだモスル市内にいる、ユニセフは推定しています。

ユニセフは、すべての子どもに支援を届けるために活動をしています。

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