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日本ユニセフ協会
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ロヒンギャ難民危機/バングラデシュ
5歳未満児1万5,206人に急性水様性下痢発生
難民キャンプの井戸水に大腸菌汚染の恐れ ユニセフ、適切な井戸の設置と衛生管理促す

【2017年11月21日  ジュネーブ発】

本日、国連ジュネーブ事務所における定例プレスブリーフィングで、ユニセフ(国連児童基金)ジュネーブの広報官クリストフ・ブリエラックは、ロヒンギャ難民の仮設住居での衛生状態について下記の通り報告しました。

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難民キャンプの井戸水に大腸菌汚染の恐れ

Sultan Ahmad, 15, gives his brother Osman Goni, 1.5, water at their shelter in Balukhali makeshift settlement, Cox’s Bazar, Bangladesh, Sunday 29 October 2017. As of 5 November 2017, the humanitarian situation for Rohingya refugees in Bangladesh remains dire, with some 607,000 newly arrived refugees since 25 August 2017.  According to the Inter-Sector Coordination Group rapid needs assessment, 58 per cent of new arrivals are children and 60 per cent are women including a high number of pregnant (3 per cent) and lactating women (7 per cent). With the new influx, the current total number of Rohingya who have fled from Myanmar into Bangladesh, coupled with the affected population in the communities, has reached a staggering 1.2 million. There are 720,000 children among the new arrivals, existing Rohingya populations and vulnerable host communities who are affected and need urgent humanitarian assistance including critical life-saving interventions. Sultan Ahmad, 15, and his five siblings are Rohingya refugees from Andamg village in Mongdo, Myanmar. The children’s father was imprisoned in Myanmar, according to Sultan, after government forces searching for suspected ISIS members swept through their village. Their mother died as the family made the ten day journey by foot to Bangladesh. Despite arriving at the settlement two months ago with their aunt and uncle, Sultan has yet to register for food aid. As the eldest child, Sultan now cares for his five siblings with whom he lives in a shelter adjacent to his aunt and uncle.

© UNICEF/UN0143045/LeMoyne

弟に水を飲ませる男の子。 (2017年10月29日撮影)

ユニセフは、バングラデシュ南部のコックスバザールのロヒンギャ難民キャンプの井戸水に関して高い濃度の細菌汚染(大腸菌)を示唆する報告が出されたことを深く憂慮しています。世界保健機関(WHO)による最新の数値は、家庭が使用する水の62%が汚染されていることを示しています。

私たちはまた、すでに何人かの死者を出している急性水様性下痢の症例の増加も憂慮しています。2017年8月25日から11月11日の間に、10件の死亡を含む、計3万6,096件の急性水様性下痢の症例が報告されました。そのうち42%にあたる1万5,206件は5歳未満児です。感染率は高まる傾向にあります。急性水様性下痢の症例の増加の正確な要因はまだ特定できませんが、汚染された食料と水が関係している可能性があります。

 

■汚染の原因:
難民キャンプ内に設置されているいくつかの掘り抜き井戸(tube well)の掘削深度は浅く、設置状態も悪く、密集地域にあり、地表面で細菌汚染を予防するための措置が取られていません。また、汚れた容器の使用や水の非衛生的な取扱いなど、人々の非衛生的な生活習慣からも汚染は起こります。

■ユニセフの対応
リスク分析に基づき、ユニセフはバングラデシュ当局と協力しながら緊急に汚染状況を調査しています。さらに水と衛生分野のパートナー団体と協力しながら、最低40メートルの深度を確保し、すべての井戸への適切な蓋の設置を確実にするなど国際基準を満たした掘り抜き井戸の設置を進めています。各家庭に対しては、浄水処理のために浄水剤を配り、良い衛生習慣を啓発するための努力を強化しています。

水の配給を受ける人たち。(2017年10月17日撮影)

© UNICEF/UN0137000/LeMoyne

水の配給を受ける人たち。(2017年10月17日撮影)

ユニセフは、安全な飲料水の提供を、ロヒンギャ難民支援の最優先課題の一つとしてきました。8月25日以来、3カ月も経たないうちに62万1,000人もの大量の難民が新たに流入し始めてから、ユニセフとパートナー団体は、難民キャンプ内において彼らに確実に安全な水、トイレや衛生設備を提供するために活動してきました。現在も、5万人以上の人々に対して、毎日約19万5,000リットルの水を、浄水処理とトラック輸送によって提供しています。さらに、420基以上の掘り抜き井戸を設置し、約14万人が使用しています。

■大腸菌について
大腸菌は、糞便汚染を測る指標として用いられる細菌群。難民キャンプ内の飲料水用の井戸から抽出された水に大腸菌が存在するということは、糞口感染が起きていることが確認されたことになります。もし水が、子どもたち・住民が病気になる細菌に汚染されているとしたら、感染は急激に広がることになります。

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危機下にあるロヒンギャ難民の子どもたちと家族に、人道支援を届けるユニセフの活動を支えるため、日本ユニセフ協会は『ロヒンギャ難民緊急募金』を受け付けています。

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