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日本ユニセフ協会
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7月30日は『人身取引反対世界デー』
世界の人身売買被害者の28%が子ども
サハラ以南のアフリカ、ラテンアメリカ地域は60%以上

【2018年7月29日  ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)と人身取引反対機関間調整グループ(ICAT)は7月30日の「人身取引反対世界デー」を前に、世界で人身取引(人身売買)の被害者として確認できた人の約28%が子どもであることを本日明らかにしました。サハラ以南のアフリカ地域、ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域などでは、人身売買被害者に占める子どもの割合はさらに高く、それぞれ64%と62%です。

数値に表れない人身売買被害者

A child sits on a mattress laid on the floor of the women's section of the Al-Nasr detention centre in Zawiya, Libya, Sunday 20 August 2017. Libya is a country in turmoil. Since 2014, security is precarious, living is hard, and violence is commonplace. The country is riven with militias in conflict with each other or Government forces. Thousands of children and women hoping to reach Europe travel from Africa and the Middle East to the sea in Libya. They endure exploitation, abuse, violence and detention. As of June 2017, the International Organization for Migration identified 390,198 migrants in Libya, 11% of which are women and 7% are minors. Children and women making the journey live in the shadows, unprotected, outside the law, and reliant on smugglers. An estimated 34 detention centres have been identified in Libya. The Libyan Government Department for Combatting Illegal Migration runs 24 detention centres. They hold between 4,000 and 7,000 detainees. Armed groups hold migrants in an unknown number of unofficial detention centres. The international community, including UNICEF, only has access to some of the Government run detention centres.  Women interviewed by UNICEF reported harsh conditions with detainees suffering from the intense heat in the summer and cold in the winter. The detention centres are extremely overcrowded with as many as 20 migrants crammed into cells not larger than two square meters for long periods of time. This results in significant adverse health outcomes including the loss of hearing and sight, and extremely challenging psychological challenges. The militia run detention centres are labour camps, farms warehouses and makeshift prisons run by armed groups. The thousands of migrant women and children incarcerated in the militia run detention centres face violence, sexual exploitation, overcrowding, starvation and abuse. Reports by the United Nations Support Mission in Libya, and the Office of the High Commissioner for Human Rights p

© UNICEF/UN077988/Romenzi

リビアの拘留施設で、床に敷いたマットレスの上に座る子ども。(2017年7月撮影)

ユニセフとICATは人身売買の被害を受ける子どもの数は、最新データの数値より高いと考えます。実際、子どもたちが人身売買の被害者として発見されることはあまりありません。多くの子どもたちは人身売買業者に対する恐怖、選択肢に関する情報の欠如、当局への不信、偏見に晒されることへの恐怖、保護されずに戻される可能性があること、そして物理的に限られた支援などにより、被害を訴えることができないでいます。

特に人身売買に巻き込まれやすいのが、難民・移民・避難民の子どもたちです。戦争や暴力を逃れ、あるいはより良い教育や生活の機会を求める子どもたちが、家族と共に正規ルートで安全に移動できることはほとんどありません。そのために、子どもたちと彼らの家族は非正規の危険なルートを取り、あるいは子どもたちはひとりで移動することになり、人身売買業者による暴力、虐待、そして搾取に遭いやすくなります。

「人身売買は、世界の何百万人の子どもたちにとって、特に十分な保護のないままふるさとやコミュニティを追われた子どもたちにとって、真の脅威なのです」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは言いました。「この子どもたちの身を守るために、各国政府は緊急に対策を打ち出し実行することが求められています」

多くの場合、人身売買の被害を受けた子どもに対する長期的支援、社会復帰、保護などの持続的な解決が欠如しています。子どもたちを保護する制度の多くは資金不足が続き、後見人やその他の代替ケア制度も決定的に不足しています。子どもたちは不適切な施設に入れられ、さらなるトラウマを経験し、被害を受けることが少なくありません。人身売買の被害に遭った男の子たちは、ジェンダーによる固定観念のために、必要な支援を受けたり求めたりすることを妨げられるといった困難にさらに直面したり、女の子はさらなる搾取や虐待そしてジェンダーによる貧困のリスクに晒されることがあります。

ふるさとを追われた子どもの保護求める

ギリシャの難民キャンプで、家から顔をのぞかせるシリア難民で18歳のアズハル・カリルさん。(2017年3月撮影)

© UNICEF/UN057918/Gilbertson VII Photo

ギリシャの難民キャンプで、家から顔をのぞかせるシリア難民で18歳のアズハル・カリルさん。(2017年3月撮影)

ユニセフとICATは各国政府に対して、子どもたちの安全を守るための政策と、国境を越えた問題解決を引き続き求めます。それには以下のことが含まれます。

  • 難民認定の加速化および子どもの家族との再会を妨げている法や慣習に取組み、子どもが家族と移動できる安全かつ法的な移動方法を拡大すること。
  • 子どもに対する人身売買、暴力、虐待および搾取を防ぎ、発見し、(専門機関に)照会し、対策を取るために、子どもと社会福祉システムを強化し、子どもたちの年齢やジェンダーに基づいた特有のニーズに対応できるようにすること。
  • 持続的な解決方法は、子どもの地位とは関係なく、それぞれの子どものケースと最適な利益の決定(BID)による評価に基づくもので、その手続きに子ども自身が年齢や成熟度に沿う形で参加できるようにすること。
  • 国境管理機関、法執行者、および子どもの保護の当局の間で、国境を越えた協力と知識共有のしくみを改善し、より迅速に、家族の追跡調査と再統合手続き、ならびに親のケアを奪われた子どもたちへの代替的なケア制度を実施すること。
  • 子どもたちが、法執行者に見つからないよう、より危ないルートを選んだり、ひとりで移動したりするように追い込むような措置は避けること。

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