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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

ミャンマー
山岳地の子どもたちの未来を育むものは?
~学校現場で現職教員を育成する~

【2019年7月30日  ミャンマー・カチン州発】

教育を国づくりの優先課題にあげ、改革に取り組むミャンマー。

すべての教員に対して国の力だけで教員研修を実施することはまだまだ難しい状況です。先生ひとりあたりの生徒数を少なくするために新規に採用された教員に加えて、大勢が非正規雇用の教員として、日々子どもたちと接しています。

日本企業が支える、子どもたちへの教育支援

国づくりを担う将来の人的資源となる子ども。子どもたちの可能性を最大限に伸ばすには学校教育は必要不可欠です。学校現場において、いかにインクルーシブで生徒中心の質の高い指導ができるか、先生たちが継続的に専門的能力を伸ばすことができるかの両方が求められています。

教育の質が保ちにくい僻地や、家庭で使わない言葉で学習する少数民族の子どもたちが住む地域を重点的に、ミャンマー教育省、県、郡区の教育行政はユニセフの支援を受けて、学校現場で在職の教員に役に立つ研修事業を強化しています。その活動は日本企業の支援のもと実施されています。

Kyaw Lwin Latt 教育担当官

Kyaw Lwin Latt教育担当官

「誰ひとり教育の機会から取り残さないこと」を目的としたこの活動について、ユニセフ・ミャンマー事務所教育担当官Kyaw Lwin Lattによる報告です。

* * *

 

 山間の小さな村にある学校へ

ミャンマー北部、カチン州プータオ県に位置するスンプラブンへ向かう道では、道路の補修工事により2回足止めされました。それでもいつもよりかは幾分か楽なものでした。海抜2,000メートルに位置する山間の風の強い道は、年間を通して雨が降るたびに土砂崩れに見舞われます。

スンプラブン郡区への道

©UNICEF MYANMAR/2019/Kyaw Lwin Latt

スンプラブン郡区への道

補修作業を待っている間、私はオートバイのタイヤ・チューブを修理する二人の女性に出会いました。彼女たちは学校現場の教員研修コースに参加している教員で、その筆記試験を受けにスンプラブンへ向かう最中とのことでした。つまり、20週間にわたる研修コースの期間中に習得した新しい授業法についての試験を受ける38人の教員のうちの2人だったのです。私もまたその試験会場へ向かっているところでした。受講者の教員としてではなくユニセフの職員として。

© UNICEF MYANMAR/2019/Kyaw Lwin Latt

筆記試験を受けるため、オートバイで会場へ向かう先生たち。

幸運なことに補修作業は30分で終わりました。その道を進むと、300世帯ほどで構成される小さな村に出ました。車の窓からは、プラスチック・ケースをソリに見立てたものに子ども2人が座り、それを引っ張る男の子が見えました。学齢期の子どもたちです。私は、実際、学校に出席している子どもたちなのかどうか疑問に思いました。

その次に目に飛び込んできたのは路傍の花々でした。そこに自然に咲く花の姿は先ほどの子どもたちのようだと感じました。でも彼らが花だとしたら、誰があの子たちを育てるのでしょうか。しかしその数時間後、私はそれができる人に会うことができたのです。

その人物の名前はHnin Wutyi Htun先生。スンプラブンにある小中学校※の教員です。スンプラブンはHnin Wutyi Htun先生の生まれ育った町からは遠く離れていて、帰省できるのは1年に1度だけです。でも彼女は力強く言います。「ここは僻地ですが、子どもたちが大好きなので私は満足しています。」

研修で学んだ子どもたちへの接し方を実践

©UNICEF MYANMAR/2019/Kyaw Lwin Latt

公立小中学校で教えるHnin Wutyi Htun先生。

つい最近20週間の学校現場ベースで行われる現教員向けの研修コースを修了したHnin Wutyi Htun先生は、新しい指導法についての試験を受けたこところです。研修で学んだこと、特に子どもたちの出席率を向上させるために様々な活動を行っていることを私に熱心に話してくれました。彼女は特にクラスでもおとなしい女子生徒たちの出席に気を配っている様子でした。「私は特に恥ずかしがってあまり話したがらない女子生徒に機会を与えています。そのおかげか、今では彼女たちは個人ではもちろんペア、グループでも熱心にディスカッションをするようになりました。」

Hnin Wutyi Htun先生は、他の多くの教員たちも恩恵を受けるよう、この種の研修を他の町でも実施することを提案してきました。私は彼女にすでにこの取り組みの輪が国内で広がっていることを伝えました。2018年から2019年にかけて29,024名の教員が、ミャンマー教育省が実施する学校現場ベースで行われる現職教員向けの研修を受けました。この研修はユニセフを通じて受けた株式会社三井住友銀行(SMBC)並びにH&M財団からの資金援助とユニセフの技術支援によって実施されました。

子どもたちの明るい未来、きれいな花に重ねて

©UNICEF Myanmar/2016/Khine Zar Mon

その後、私は丘の上にある僧院へ向かいました。そこには壮大な仏塔がバラの花とともにありました。思わずそこの僧に、ここのバラを管理しているのは誰かと尋ねると、Hnin Wutyi Htun先生は答えました。「私がバラの管理をし、定期的に水をやっています。」

そこでまた、私は来る途中でみた路傍の花々と子どもたちに思いをはせました。あの子どもたちがHnin Wutyi Htun先生のような教員に出会うことができれば、手入れをされた花がきれいに咲くように、きっと彼らの未来は明るく輝くでしょう。

 

※スンプラブンにある小中学校

地方などで見られることの多い小学校と中学校のクラスが一緒の敷地内にある学校。小学校を終了した子どもたちが遠方まで中学校に通うことができずに学業を諦めることがないよう拡張されている。

 

本文の原文(英語)は、ユニセフ・ミャンマー事務所ホームページでご覧いただけます。


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