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日本ユニセフ協会
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新型コロナウイルス
中央サヘル地域で保護を必要とする子ども
2019年に比べ8割増

【2020年5月22日  バマコ(マリ)/ダカール(セネガル)/ニアメ(ニジェール)/ワガドゥグ(ブルキナファソ)発】

ブルキナファソ、マリ、ニジェールを含む中央サヘル地域における暴力と情勢不安の高まりによって、2020年にケアや保護を必要としている子どもは約230万人と、2019年(約120万人)の8割増となっています。同時に、この3カ国は、アフリカで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を最も強く受けている国々として挙げられます。パンデミックが地域全体に広がるにつれて、子どもに対する暴力も増え続けています。

保護を必要とする子どもたち

情勢が不安定な故郷を離れ、カヤの避難所で2つのテントに12人の兄妹と暮らす14歳のイブラヒムくん(左、仮名)。(ブルキナファソ、2019年12月撮影)

© UNICEF/UNI280378/Tremeau

情勢が不安定な故郷を離れ、カヤの避難所で2つのテントに12人の兄妹と暮らす14歳のイブラヒムくん(左、仮名)。(ブルキナファソ、2019年12月撮影)

ブルキナファソで、保護を必要とする子どもの数は、2019年の3万5,800人から2020年には36万8,000人へと10倍以上増加しました。マリでは今年、100万人以上の子どもが暴力や搾取といった保護を必要とする問題に直面し、その数は前年の2倍になりました。そして、ニジェールでは86万7,000人を超える子どもが保護を必要としており、2019年よりも20万人多くなっています。

「パンデミックは、中央サヘル地域ですでに1つもしくはいくつもの人道危機下にある何百万人もの子どもの権利と安全にさらなるリスクをもたらします。高まる情勢不安の中で、子どもたちは虐待や暴力、性的または経済的搾取、人身売買、児童婚の被害を受け、その多くは家族から強制的に引き離されたり、武装グループに徴用されたりしています」と、ユニセフ(国連児童基金)西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ ピエール・ポワリエは述べました。

COVID-19は、中央サヘル地域の子ども、特に女の子、家を追われた子ども、そして路上で暮らす子どもが置かれていた深刻な状況をさらに悪化させています。ウイルスの蔓延を防ぐため、ブルキナファソ、マリ、ニジェールの3カ国すべてで学校が休校となり、約1,200万人の子どもたちの教育に影響を及ぼしています。この地域ではCOVID-19以前から、6~14歳の子ども800万人以上が学校に通えていませんでした。学校に通えない子どもは、武装グループへの徴用、性的およびジェンダーに基づく暴力、児童労働、およびその他の形態の搾取や虐待に遭う危険が高まります。

COVID-19による人道支援と社会サービス提供の遅れ

元武装グループのメンバーで拘留されていたサラくん。腕と指にひどい怪我をしており切断しなければならなかった。現在は、ユニセフが支援する施設で安全に暮らしている。(マリ、2019年6月撮影)

© UNICEF/UN0332610/Rose

元武装グループのメンバーで拘留されていたサラくん。腕と指にひどい怪我をしており切断しなければならなかった。現在は、ユニセフが支援する施設で安全に暮らしている。(マリ、2019年6月撮影)

ブルキナファソでは、3月に限っても34件の事件が発生し、4人の子どもを含む139人の市民が殺害され、この数は1月や2月よりも増加しました。情勢不安によって83万8,000人以上(61パーセントが子ども)が避難を余儀なくされ、その大部分は他の家庭または避難所に滞在しているため、清潔な水や衛生設備へのアクセスがなく、COVID-19の感染リスクの高い環境に置かれています。

同様に、マリの人道危機の状況も依然として非常に深刻で複雑です。2019年には、武装グループによる徴用、死傷、レイプなどの性的暴力、学校や病院への攻撃、誘拐、人道的サービスへのアクセスの拒否など、子どもに対する745件の重大な違反が国連によって報告され、2017年以降最多数となっていました。そして2020年は3月時点で、すでに同様の違反が228件報告されています。強制移動の急激な増加も記録され、現在マリでは13万7,000人以上の子どもが避難しています。

ニジェールでは、COVID-19の封じ込め対策により、路上で暮らす子どもやコーラン学校に通う子どもなどの特定の弱い立場に置かれたグループがさらなる危険にさらされています。休校措置により、休みになったコーラン学校の生徒(アルマジリ)約7,400人がナイジェリアからニジェールに帰還したとともに、1月から4月の間には、おとなの同伴者のいない移民の子ども375人(うち女の子は107人)がリビアとアルジェリアから本国に送還されました。さらに、7,015人のタリベ(イスラム教の修行で物乞いをする子ども)は、ニジェールにおいて感染拡大の温床となっている首都ニアメで弱い立場に置かれ、支援を必要としています。また、経済活動や移動の制限、世帯収入および安全への影響により、3月はジェンダーに基づく暴力が大幅に増えており、より多くの子どもの被害者が生じると憂慮されています。

「COVID-19の感染拡大を防ぐための措置によって、中央サヘル地域の子どものケアと保護のための人道支援と社会サービスの提供は遅れています。その間、情勢不安はおさまらず、子どもたちはその深刻な代償を払っています。今、これまで以上に世界が連帯すべき時です。政府と人道団体のパートナーが協力してCOVID-19の健康への影響から子どもたちを守るとともに、最も弱い立場に置かれた子どもたちを暴力、搾取、虐待から守り、感染対策に対応する支援プログラムにしなければなりません」とポワリエは述べました。

子どもの保護と社会福祉サービスへの投資を

住んでいた村が襲われ、首や目に銃撃を受けて負傷したアマドゥくん。ユニセフは怪我をした子どもたちへの心理社会的支援などを提供している。 (マリ、2019年4月撮影)

© UNICEF/UN0296729/Keïta

住んでいた村が襲われ、首や目に銃撃を受けて負傷したアマドゥくん。ユニセフは怪我をした子どもたちへの心理社会的支援などを提供している。 (マリ、2019年4月撮影)

ユニセフは政府に対し、COVID-19対応の重要な柱として子どもの保護と社会福祉サービスに投資し、特に紛争下の子どもたちについて、国の保護システム、ジェンダーに基づく暴力の照会メカニズム、および心理社会的支援の提供を強化するよう求めます。ユニセフは、パートナー団体とともに、子どもの保護サービスが継続できるよう取り組んでいます。例えば、子どもへの暴力、ネグレクト、虐待について報告する安全でアクセス可能なチャネルを確保するとともに、子ども、若者やコミュニティに自身の権利と利用可能な保護の手段について伝えるといった支援を各国に対し行っています。

ブルキナファソでは、ユニセフによる訓練を受けた若者たちが、人工知能を活用した自動会話プログラムであるチャットボットを使用し、保健専門家のサポートを得ながらSMSで他の若者から寄せられたCOVID-19に関する質問に答えています。マリでは、NGO・市民団体と連携し、COVID-19の影響を受けた、または感染リスクが高い子どもたちに心理社会的支援や代替的なケアなどの子どもの保護サービスを提供しています。ニジェールでは、政府と協力して路上で暮らす子どもやタリベを特定し、コミュニティへの帰還と再統合を支援しています。

ユニセフは、中央サヘル地域の子どもたちとその家族に対して保護、教育、保健、栄養、水と衛生の各分野で取り組み、COVID-19の影響下でリスクにさらされている人々を支援するための要請額を2億6,800万米ドルに引き上げました。2020年4月時点で、支援計画における資金はブルキナファソとマリで76パーセント、ニジェールで71パーセント不足しています。

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ニアメに滞在する移民の子ども。ユニセフはCOVID-19の危機に対応するニジェール政府を支援している。(ニジェール、2020年5月15日撮影)

© UNICEF/UNI331373/Haro

ニアメに滞在する移民の子ども。ユニセフはCOVID-19の危機に対応するニジェール政府を支援している。(ニジェール、2020年5月15日撮影)

  • 2020年、530万人の子どもたちが中央サヘル地域で人道支援を必要としており(ブルキナファソで約130万人、マリで約240万人、ニジェールで約160万人)、国内避難民と難民を含む子ども90万人以上が紛争や暴力の影響で避難しています。
  • ブルキナファソでは、COVID-19が原因で学校が休校になる以前に、2,512校が情勢不安により休校または運営できなくなり、34万9,909人の子どもたちが教育を受ける権利を奪われ、1万1,219人の教師に影響を及ぼしていました。紛争の影響を受ける地域では、275の保健センターが閉鎖されているか、稼働率が低下しており、160万人を超える人々の保健と栄養サービスへのアクセスを妨げています。
  • 3月時点で、マリでは1,261校が休校または運営できない状態に置かれ、37万8,300人の子どもに影響が及び、これは紛争の影響を受ける地域にある学校の総数の14パーセントを占めていました。COVID-19の流行により、すべての学校が休校し、約380万人の子どもが教育を受けられなくなりました。
  • ニジェールでは、非国家武装グループによる民間人への攻撃と軍事作戦が増加しており、その結果、近隣のナイジェリアとブルキナファソの暴力から逃れた難民と帰還者を含め、12月から4月に限っても全国で5万1,515人が避難を余儀なくされました。ディファ、マラディ、タウアおよびティラベリの最も影響を受けるいずれの地域でも、感染事例が報告されています。

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