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日本ユニセフ協会
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シリア
紛争10年、続く子どもの犠牲 教育の途絶240万人

【2021年1月24日  アンマン/ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは、紛争が始まってまもなく10年となるシリアの現状について、以下の通り声明を発表しました。

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紛争10年、続く子どもの犠牲

北西部にある避難民キャンプで、テントの中から外を見る子ども。(2021年1月19日撮影)

© UNICEF/UN0405681/Akacha

北西部にある避難民キャンプで、テントの中から外を見る子ども。(2021年1月19日撮影)

シリアでの紛争が始まって10年が経過する今も、子どもたちが殺され、負傷し、住む場所を失い、最低限必要なものも奪われる状態が続いています。

先日の木曜日、ハマで起きた攻撃により、1歳と10歳の2人の子どもが命を落とし、1人の子どもが負傷しました。新しい年となりわずか3週間で、少なくとも15人の子どもたちが爆発性の武器や不発弾が関与する事件で命を奪われ、さらに15人の子どもがけがを負いました。

北東部では、アルホル難民キャンプで暴力が急増しており、人々の命が危険に晒され、またそこに取り残された外国籍の子どもたちの本国送還や移転を含む長期的な解決策の必要性が浮き彫りになっています。この難民キャンプで暮らす人々の3分の2以上が子どもたちです。

ハサケでは、基本的なサービスと生活インフラが攻撃を受け続けています。約50万もの人々にとって主要な水源であるアルーク給水所からの給水が、今週初めに再び途絶えました。断水により、市民は安全ではない水に頼らざるを得なくなり、特に子どもたちは、水に起因し命を奪われる危険がある病気に感染する可能性があります。

北西部では、集中豪雨や雪などの厳しい冬の天候により、少なくとも2万2,000人が影響を受けています。200万人以上が避難生活を続け、テントや避難所、破壊された建物や未完成の建物の中で生活しています。今週には、洪水と降雪の中、テントの周辺に建てられた壁が倒れ、6歳の男の子が死亡したとの報告がありました。

いまだ終わりが見えず

アレッポ県北部の農村部にある避難民キャンプで、テントの前に立つ家族。(2021年1月19日撮影)

© UNICEF/UN0401391/Almatar

アレッポ県北部の農村部にある避難民キャンプで、テントの前に立つ家族。(2021年1月19日撮影)

シリアの子どもたちと家族は、10年もの間、非常に多くの苦しみを受けてきましたが、いまだに終わりが見えません。少なくとも470万人の子どもたちが、現在も人道支援を必要としています。貧困の増大、燃料不足、食料価格の高騰により、子どもたちは働くために学校を離れざるを得なくなっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは週を追うごとに急拡大しており、家族が生き延び、子どもたちのために基本的な教育や保護を提供することさえ難しくなっています。

また同日、ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のテッド・チャイバンは、国連地域人道調整官(シリア危機担当)のムハンマド・ハディ氏と共同で、シリアの子どもたちの教育危機について警鐘を鳴らしました。

教育の途絶240万人

北東部アルホル難民キャンプにあるユニセフが支援する学習センターで、授業を受ける子どもたち。(2020年12月撮影)

© UNICEF/UN0384474/Souleiman

北東部アルホル難民キャンプにあるユニセフが支援する学習センターで、授業を受ける子どもたち。(2020年12月撮影)

シリア国内では、240万人以上の子どもたちが学校に通っていません。シリア国内の学校は3校に1校が破壊されたり、破損したり、軍事目的で使用されたりしているため、使用できなくなっています。そのため、学校に通えたとしても、子どもたちは過密した教室や、水や衛生設備、電気、暖房、換気が不十分な建物の中で学ぶことが多いのです。

子どもたちへの重大な暴力の検証が始まって以来、国連はシリアの教育施設や職員への攻撃を700件近く確認しました。昨年は52件の攻撃が確認されました。紛争が続く中、教育が何百万人もの子どもたちを導く光であることに変わりなく、守られ、存続されるべき権利です。私たちは、シリア全土の教育施設や職員への攻撃を止めるよう、紛争当事者に訴えています。

ユニセフをはじめ人道支援に携わる機関、団体は、シリアの人々を支援するために努力を続けていますが、その資金は不足しています。子どもたちを守り、教育を継続し、シリアの再建を支えていくために、長期的で持続可能な資金と人道アクセス、なにより、シリアで続く暴力を終わらせることが必要です。

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