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日本ユニセフ協会
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シリア紛争10年
子どもたちと家族の言葉を記した10枚のポストカード 今なお続く子どもたちの危機

【2021年3月10日  シリア発】

紛争が勃発して今月で10年が経過するシリアでは、今なお子どもたちが殺され、傷つき、住む家を失い、何もかも奪われている状態が続いています。

終わりが見えない紛争下で、470万人以上の子どもたちが現在も人道支援を必要としています。

シリア紛争への国際社会の関心が薄まるなかで、ユニセフは、子ども一人ひとりが直面する窮状に目を向けてもらうことを願い、シリアの子どもたちと家族の言葉を記した10枚のポストカードを公開しました。


 

© UNICEF/UN0413715/

“They were worried, lonely, cold, tired and a bit fed up because there were things like no nappies.”

「子どもたちは心配して、寂しがり、寒くて、本当に疲れていました。おむつすら手に入らなかったのです」

Fatima, Hakim and Amira’s aunt, Domiz camp-Iraq, 2015

ファティマさん、ハキムとアミラの叔母

イラク・ドミズ難民キャンプ、2015年


 

© UNICEF/UN0413714/

“I hear about lost generations, but I’m not lost. I’m here, and ready to learn all I can.”

「“失われた世代”という言葉を耳にしますが、私は失われてなどいません。ここにいて、できる限りのことを学ぶ準備ができています」

 

Muzoon Almellehan, 17 years old, Za’atari Refugee Camp/Jordan

Global Goodwill ambassador with UNICEF since 2017, now living with her family in the United Kingdom

マズーン・メレハン、17歳

ヨルダン・ザータリ難民キャンプ

2017年よりユニセフ親善大使、現在は家族と英国在住


 

© UNICEF/UN0413716/

“In the future, I hope to be a gymnastics coach, because before I lost my leg, I used to be a gymnast.”

「足を失う前は体操の選手だったので、将来は体操のコーチになりたいです」

Saja, 13 years old, Aleppo-Syria, 2016

サジャさん、13歳

シリア・アレッポ、2016年


 

© UNICEF/UN0413709/

“She was under 1.5 metres of debris. Now she recovered. But sometimes at night, she bursts into tears for no reason.”

「娘は1.5メートルの瓦礫の下に閉じ込められました。今は元気になりましたが、時々、夜に理由もなく泣き出すことがあります」

Bassam, Father of Ghina (14 months old), Aleppo-Syria, 2014

バッサムさん、ジーナ(1歳)の父親

シリア・アレッポ、2014年


 

© UNICEF/UN0413708/

“Sometimes I dream I’m carrying a dead man. When I look at the children here, I feel like they have lost their hearts.”

「時々、死んだ男の人を運んでいる夢を見ます。ここにいる子どもたちは、心を失くしてしまったみたいです」

Fatima, 10 years old, Mafraq-Jordan, 2014

ファティマさん、10歳、

ヨルダン・マフラク、2014年


 

© UNICEF/UN0413710/

“I started going to school again. My friends would come to take me. When the weather is good, I use the walker. It takes me half an hour to get to school.”

「また学校に通い始めました。友達が迎えに来て、一緒に連れて行ってくれます。天気の良い日は歩行器を使って歩いて、30分かけて学校に行きます」

Abdullah, 12 years old, Aleppo-Syria, 2018

アブドゥラさん、12歳

シリア・アレッポ、2018年


 

© UNICEF/UN0413712/

“I will stand by my daughter, and explain my situation. Hopefully, I will motivate her to study. She will not marry young.”

「私は娘の味方です。私の経験を話して聞かせ、教育を受けるよう背中を押します。幼いうちに結婚させたりはしません」

Qamar, 14 years old, Ramtha-Jordan, 2016

カマールさん、14歳

ヨルダン・ラムサ、2016年


 

© UNICEF/UN0413713/

“When we arrived, there was no food. We begged for food on the streets. I get more food now and I feel a lot better. I can walk again but not as before.”

「ここに来たときは食べ物もなく、道で物乞いをしました。今は、前より食べ物も手に入るし、気持ちも明るくなりました。また自分の足で歩き出しましたが、前とは同じではありません」

Amira, 7 years old, Lebanon, 2014

アミラさん、7歳

レバノン、2014年


 

© UNICEF/UN0413707/

“I miss everything in Syria. Syria is my home, and I will never forget it… One day, I will fly out of this camp.”

「シリアのすべてが恋しいです。シリアは僕の故郷、絶対に忘れることはありません...いつか、このキャンプを出ていきます」

Ahmed, 16 years old, Za’atari camp-Jordan, 2015

アフマド、16歳

ヨルダン・ザータリ難民キャンプ、2015年


 

© UNICEF/UN0413711/

“The problem for girls my age is that our parents wants to marry us off before we finish our studies. Some people think that girls don’t need to study… Obviously, they are wrong. The more educated we are, the more useful we will be to society!”

「私の年代の若い女の子が抱える問題は、教育課程を修了する前に、親が私たちを結婚させようとすることです。女の子は勉強しなくて良いと思っている人もいます…でも、それは明らかに間違っています。教育を受ければ受けるほど、私たちは社会の役に立つ人間になれるのです!」

Budoor, 17 years old, Azraq camp/Jordan, 2017

ブドゥールさん、17歳

ヨルダン・アズラク難民キャンプ、2017年


 

ユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは、2021年1月24日 、紛争が始まってまもなく10年となるシリアの現状について、以下の声明を発表しました。

「シリアでの紛争が始まって10年が経過する今も、子どもたちが殺され、負傷し、住む場所を失い、最低限必要なものも奪われる状態が続いています。

シリアの子どもたちと家族は、10年もの間、非常に多くの苦しみを受けてきましたが、いまだに終わりが見えません。

少なくとも470万人の子どもたちが、現在も人道支援を必要としています。貧困の増大、燃料不足、食料価格の高騰により、子どもたちは働くために学校を離れざるを得なくなっています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは週を追うごとに急拡大しており、家族が生き延び、子どもたちのために基本的な教育や保護を提供することさえ難しくなっています。」

 

また、ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のテッド・チャイバンも、シリアの子どもたちの教育危機について警鐘を鳴らしています。

「シリア国内では、240万人以上の子どもたちが学校に通っていません。シリア国内の学校は3校に1校が破壊されたり、破損したり、軍事目的で使用されたりしているため、使用できなくなっています。そのため、学校に通えたとしても、子どもたちは過密した教室や、水や衛生設備、電気、暖房、換気が不十分な建物の中で学ぶことが多いのです。

子どもたちへの重大な暴力の検証が始まって以来、国連はシリアの教育施設や職員への攻撃を700件近く確認しました。昨年は52件の攻撃が確認されました。紛争が続く中、教育が何百万人もの子どもたちを導く光であることに変わりなく、守られ、存続されるべき権利です。私たちは、シリア全土の教育施設や職員への攻撃を止めるよう、紛争当事者に訴えています。

ユニセフをはじめ人道支援に携わる機関、団体は、シリアの人々を支援するために努力を続けていますが、その資金は不足しています。子どもたちを守り、教育を継続し、シリアの再建を支えていくために、長期的で持続可能な資金と人道アクセス、なにより、シリアで続く暴力を終わらせることが必要です。」

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