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日本ユニセフ協会
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パプアニューギニア
赤ちゃんを低体温症から守る「ブレスレット」 父親の育児参加のきっかけにも

【2020年2月25日  パプアニューギニア発】

© UNICEF/UN0298438/

赤ちゃんの小さな手首に巻かれているもの。これは「ベビ・コル・キロク」と呼ばれる低体温症警告ブレスレットです。パプアニューギニアで、新生児が予防可能な原因で亡くなることを防ぐのに一役買っています。

赤ちゃんの体温低下を検知

「ベビ・コル・キロク」と呼ばれる低体温症警告ブレスレット。

© UNICEF/UN0298690/Dozier

「ベビ・コル・キロク」と呼ばれる低体温症警告ブレスレット。

ベビ・コル・キロクは赤ちゃんの体温低下を検知して通知するため、母親や父親、保護者はいち早く赤ちゃんの体を温めるための行動をとることができます。

使用方法は簡単で、体重800~3,600gの小さな赤ちゃんにも装着できます。赤ちゃんの体温が危険な領域まで低下すると、ブレスレットから音が鳴り、オレンジ色のライトが点滅します。

体の小さな赤ちゃんの体温は下がりやすく、低体温症に陥ると、体は温度を維持しようと脂肪を燃焼します。その結果、体重が増えずに体内の糖度と酸素濃度が低下。臓器が重大な損傷の危険にさらされ、死亡してしまうこともあります。

新生児、特に低体重出生児は低体温症になりやすく、赤ちゃんの体温が下がったときに保護者が気付けないことも多いのです。

ベビ・コル・キロクの通知を受けた母親や父親は、赤ちゃんの肌に自分の肌を触れ合わせて温める(カンガルー・マザー・ケア)ことで、低体温症から守ることができます。

父親の育児参加のきっかけにも

早産で生まれた赤ちゃんを抱くイキア・トーマスさん。

© UNICEF/UN0260051/Mepham

早産で生まれた赤ちゃんを抱くイキア・トーマスさん。

「この子たちは神からの贈り物です」と、双子の赤ちゃんの父親であるイキア・トーマスさんは話します。

イキアさんは、予定より3カ月早く生まれた赤ちゃんの体温観察のため、ベビ・コル・キロクを受け取りました。小さな新生児を低体温症から守る保育器の代わりに、肌と肌を触れ合わせて毛布で包むという簡単な方法も教わりました。

はじめは、小さな赤ちゃんを抱くことをためらっていたイキアさん。今は仕事から帰り、赤ちゃんを抱くことを楽しみにしています。

「将来に不安はありません」と、この若い父親は話します。

パプアニューギニアでは、これまで父親が育児に関わることはほとんどありませんでした。しかし、注目を集めて男性の興味も引いたベビ・コル・キロクは、赤ちゃんの命を救うだけでなく、一部の父親の行動をも変えました。今では育児に参加する父親も増え、体を温かく保つことなど、赤ちゃんのニーズをより良く理解し実践できるようになりました。

低体温症の症例が10%以上減少

オレンジ色のベビ・コル・キロクを装着したローレンちゃん。

© UNICEF/UN0292661/Holt

オレンジ色のベビ・コル・キロクを装着したローレンちゃん。

パプアニューギニアの新生児死亡率は非常に高く、毎年約6,000人の赤ちゃんが生後4週間を迎える前に亡くなっています。1日に約17人の赤ちゃんが亡くなっている計算です。過去20年間改善していなかったこの数値ですが、ベビ・コル・キロクの導入後、一部の地域で低体温症の症例が10%以上減少していることが分かりました。

ベビ・コル・キロクは、ユニセフが支援する「命を守り、笑顔を広げる(Saving Lives, Spreading Smiles)」プログラムの中心に据えられ、パプアニューギニアで今後3年間に生まれる15万人以上の赤ちゃんとその保護者が恩恵を受けます。

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