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日本ユニセフ協会
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子どもの予防接種率低下
2,300万人がワクチン接種できず 2019年から370万人増加

【2021年7月15日  ジュネーブ/ニューヨーク発】

2020年に定期予防接種による基本的なワクチン接種を受けられなかった子どもは2,300万人で、2019年よりも370万人多いことが、ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)が本日発表した公式データで明らかになりました。この最新の世界の小児予防接種に関する包括的数値は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって世界各地で生じた、予防接種サービスの中断を反映した初めての公式データであり、昨年、大多数の国で子どものワクチン接種率が低下したことを示しています。

ワクチンへのアクセスにおいて不公平が広がる

首都カラカスで、経口ポリオワクチンの投与を受ける2歳のマティアスちゃん。(ベネズエラ、2021年5月撮影)

© UNICEF/UN0475785/Fernandez

首都カラカスで、経口ポリオワクチンの投与を受ける2歳のマティアスちゃん。(ベネズエラ、2021年5月撮影)

また、そのうちの1,700万人もの子どもたちが1回も予防接種を受けていない可能性があり、もともと大きかったワクチンへのアクセスにおける不公平が広がっています。こうした子どもたちの多くは、紛争の影響を受けている地域や、十分なサービスが受けられない遠隔地、非公式な居住区やスラムに住んでおり、基本的な保健サービスや主要な社会サービスへのアクセスが制限されるなど、いくつもの必要なサービスが奪われています。

2020年は、予防接種サービスの混乱が広範囲に及び、東南アジア地域と東地中海地域が最も影響を受けました。保健サービスや予防接種を受ける機会が減少し、すべての地域で初回の予防接種さえ受けられない子どもの数が増加しました。2019年との比較では、ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチンの初回接種(DTP-1)を受けられなかった子どもが350万人、はしかの初回接種を受けられなかった子どもが300万人増加しました。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、「COVID-19のパンデミックとそれに伴う混乱は、私たちが失ってはならない貴重な成果を犠牲にし、そのしわ寄せは、最も弱い立場にある人々の生活と幸福に及ぶのです。COVID-19のパンデミックが起こる前から、2年前のはしかの大流行など、予防可能な子どもの病気に対する予防接種の取り組みが後退し始めていることが懸念されていました。パンデミックは、その悪い状況をさらに悪化させたのです。COVID-19ワクチンの公平な分配が皆の関心事である中、ワクチンの分配は常に不公平であり、しかしそうであってはならないということを忘れてはなりません」と述べました。

資金不足、誤った情報などで接種率が低下

東ジャワ州で、小児用肺炎球菌ワクチン(PCV)を受ける赤ちゃん。(インドネシア、2021年6月撮影)

© UNICEF/UN0479829/Ifansasti

東ジャワ州で、小児用肺炎球菌ワクチン(PCV)を受ける赤ちゃん。(インドネシア、2021年6月撮影)

表1:三種混合ワクチンの初回接種(DTP-1)を受けていない子どもの増加率が最も高い国々

2019年 2020年
インド 1,403,000 3,038,000
パキスタン 567,000 968,000
インドネシア 472,000 797,000
フィリピン 450,000 557,000
メキシコ 348,000 454,000
モザンビーク 97,000 186,000
アンゴラ 399,000 482,000
タンザニア 183,000 249,000
アルゼンチン 97,000 156,000
ベネズエラ 75,000 134,000
マリ 136,000 193,000

データによると、中所得国では、少なくともいくつかのワクチン接種を受けていない子どもたちの割合が増加しています。特にインドでは、DTP-3の接種率が91%から85%へと大きく低下しています。

資金不足、ワクチンに関する誤った情報、情勢不安などの要因により、米州地域でも子どものワクチン接種率の低下する事態となっています。DTPの完全接種を受けている子どもは、2016年の91%から、わずか82%にまで減少しています。

子どもの必須ワクチンの接種率を90%に

コレラの予防接種を受けた証明書を手に持つ7歳のファドルくん。(イエメン、2021年2月撮影)

© UNICEF/UN0450876/Bahumaid

コレラの予防接種を受けた証明書を手に持つ7歳のファドルくん。(イエメン、2021年2月撮影)

■ はしかやその他のワクチンで予防可能な病気が復活するリスク

COVID-19のパンデミックが発生する前から、世界の子どものジフテリア、破傷風、百日咳、麻疹、ポリオに対するワクチン接種率は、数年にわたって86%前後で停滞していました。これは、WHOが推奨するはしかの予防接種率95%を大幅に下回っており、他のワクチンで予防可能な病気の予防のためにも不十分な割合です。

COVID-19への対応に多くの資源と人員が割かれたことで、世界各地で予防接種サービスの提供に大きな支障が生じています。一部の国では、診療所が閉鎖されたり、診療時間が短縮されたりしています。また、感染を恐れて医療機関への受診を躊躇したり、ロックダウンや交通機関の混乱によってサービスを受けることが困難になったりしています。

■ 定期予防接種の早急な回復と投資を要請

各国がCOVID-19に起因するサービス中断によって失われた成果の回復に取り組む中、ユニセフ、WHO、そしてGAVIワクチンアライアンスなどのパートナーは、予防接種システムの強化に向けた以下のような取り組みを支援しています。

  • COVID-19のパンデミック時に、各国が定期的な予防接種プログラムを安全に実施できるよう、サービスや予防接種キャンペーンを復旧させる。
  • 保健・医療従事者やコミュニティのリーダーが、予防接種の重要性を説明するために、養育者と積極的にコミュニケーションを取れるよう支援する。
  • パンデミック中に予防接種を受けられなかったコミュニティや人々を特定するなど、予防接種率の格差を是正する。
  • 新型コロナワクチンの提供は独立して計画・資金調達し、子どもの予防接種を犠牲にすることなく並行して進めるよう支援する。
  • COVID-19からの復興の取り組みの一環として、ワクチンで予防可能な病気の発生を予防、あるいは発生に対応し、予防接種システムを強化するための国の計画を実施する。

予防接種アジェンダ2030では、国やパートナーと協力して、子どもの必須ワクチンの接種率を90%にすること、ワクチンを全く接種していない子どもの数を半減させること、低所得国と中所得国におけるロタウイルスや肺炎球菌などの新しいワクチンの接種率を高めることなど、意欲的な目標を掲げています。


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