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日本ユニセフ協会
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南アジア
530万人の子ども、予防接種受けられず 新型コロナウイルスの影響で

【2021年7月15日  カトマンズ(ネパール)発】

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、南アジアでは小児予防接種が大幅に中断され、2019年から2020年にかけて基本的な予防接種の接種率が6%低下しています。ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)の報告によると、南アジアでは2020年に530万人以上の子どもたちが定期的な予防接種サービスを通じた必須ワクチンを受けられず、2019年よりも190万人近く多くなっています。この未接種の子どもの数は、2014年以降で最多です。

COVID-19の影響で後退

ラージャスターン州でBCG、ロタウイルス、経口ポリオワクチン(OPV)の予防接種を受ける生後5カ月のバグワットちゃん。(インド、2020年12月撮影)

© UNICEF/UN0388843/Panjwani

ラージャスターン州でBCG、ロタウイルス、経口ポリオワクチン(OPV)の予防接種を受ける生後5カ月のバグワットちゃん。(インド、2020年12月撮影)

南アジア地域では2019年から2020年にかけて、ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTP3)の3回接種を受けている子どもが大きく減少し、90%から84%に低下しました。南アジア地域でDTP3を3回接種した子どもの割合は、6%だった1980年以降、着実に増加しており、2019年には過去最高の90%に達していました。

ユニセフ・南アジア地域事務所代表のジョージ・ラリア・アジェイは「子どものワクチン接種において大きな進歩を遂げていた地域で、COVID-19の影響により状況がこのように逆転したことは心が痛みます」と述べています。「440万人近くの子どもたちが、致命的な病気から命を守られるワクチンを1回も受けていない状況にあり、その数は前年の約2倍にもなります。これは南アジア地域の子どもたちにとって大きな後退であり、子どもたちの命を危険に晒し、言葉にできない苦しみを与えています」

南アジアでは、大半の国で小児の予防接種率が低下しました。DTP3の接種率は、ネパールでは9%、パキスタンでは7%、インドでは6%、スリランカでは3%、ブータンとアフガニスタンでは2%低下しました。しかし、全体的な減少が緩和された背景には、昨年末に向けて多くの国で懸命な活動が実施されたことにあります。例えばインドでは、予防接種活動を遠隔地でも行うことにより、未接種の子どもたちにもワクチンが届いています。

休校によって予防接種影響も

ヘラート州の保健施設で、定期予防接種を受ける赤ちゃん。(アフガニスタン、2020年10月撮影)

© UNICEF/UN0358767/Fazel

ヘラート州の保健施設で、定期予防接種を受ける赤ちゃん。(アフガニスタン、2020年10月撮影)

データによると、世界で予防接種を受けていない子どもたちの62%が、わずか10カ国に集中しています。特にCOVID-19パンデミックの影響を受けたインドでは、未接種の子どもの数が350万人と最も多く、前年と比べて140万人の増加となっています。パキスタンは2020年に未接種の子どもたちが130万人いて、前年と比べて40万人増加しました。

懸念されるのは、これらの子どもたちのほとんどが1年間に1度も予防接種を受けていないことであり、パンデミックによってワクチンの入手が困難になったことで、最も脆弱な立場の子どもたちが最も高い代償を払っていることを示しています。2020年、南アジアでは、過去10年間で定期的な予防接種を受けられなかった子どもの数が440万人と最も多くなりました。このうち300万人以上がインドに住む子どもたちです。

また、ジフテリアや黄熱病など、予防接種を受けていない人の間で急速に広がる病気の発生も懸念されています。南アジアでは、はしかワクチンの1回目の接種率が、2019年の92%から2020年には88%に低下しました。これは、WHOが推奨するはしか予防のための95%を大きく下回っています。南アジアでは長期にわたって学校が休校になっており、いくつかの定期予防接種に大きな影響が出ています。

パンデミック以前、南アジアではジフテリア、破傷風、百日咳、はしか、ポリオに対する小児予防接種の接種率が10年以上にわたって安定的に上昇していましたが、COVID-19パンデミックの発生に伴い、多くの保健施設や人員がCOVID-19対応に追われました。一部の国では、医療施設が閉鎖されたり、診療時間が短縮されたり、安全性への不安から医療機関を利用するのをためらった家族もいました。

予防可能な病気から守るために

首都カトマンズのカランキにある予防接種センターで、MR(はしか・ 風疹混合)ワクチンを受け、小指の爪に印をつけてもらった女の子。(ネパール、2020年7月撮影)

© UNICEF/UNI351555/Prasad Ngakhusi

首都カトマンズのカランキにある予防接種センターで、MR(はしか・ 風疹混合)ワクチンを受け、小指の爪に印をつけてもらった女の子。(ネパール、2020年7月撮影)

COVID-19の影響で失われた進展を取り戻すため、ユニセフとWHO、パートナー団体はこの地域の予防接種サービスを強化する政府の取り組みを以下のように支援しています。

  • パンデミック中、各国が定期的な予防接種を安全に実施できるよう、予防接種サービスを回復させる
  • 予防接種の重要性を説明するために、医療従事者が介護者と積極的にコミュニケーションをとれるよう支援する
  • パンデミックによって予防接種から取り残されたコミュニティや人々を特定するなどして、支援を強化する

予防接種だけでなく、南アジアの他の必須保健・医療サービスも2020年に深刻な中断がありました。調査によると、2020年には南アジアの必須保健・医療サービスの中断により22万8,000人の子どもが死亡したと推定されています。南アジアの子どもたちの主な死亡原因は、肺炎や下痢などの病気ですが、これらの病気は必要不可欠な医療サービスが稼働し、家族が安心して利用することができれば、予防も治療も可能です。

「COVID-19による混乱は、予防接種の取り組みだけでなく、その他の重要な母子保健サービスにも影響を与えています。現在、南アジアの子どもたちにとって最大の健康上の脅威は、COVID-19ではなくこの地域の子どもたちの命を奪い続けている小児疾患です。ユニセフは各国政府に対し、COVID-19が猛威を振るっている間に、最も弱い立場にある子どもたちが予防可能な病気にかかることのないよう、必要不可欠な母子保健サービスへの投資を呼びかけています」 (アジェイ)


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