2023年3月20日東京発
3月22日は、「世界水の日(World Water Day)」です。
「世界水の日(World Water Day)」は、淡水の保全と持続可能な淡水資源管理の促進への人々の意識を啓発し、各国の行動につなげるため、1992年12月の国連総会で制定されました。以降、世界中で毎年3月22日やその前後に、さまざまな催しやキャンペーンなどが行われています。
制定の背景には、地球上のすべての経済活動や社会活動は、質の良い淡水とその供給に大きく依存しているにもかかわらず、人口と経済活動の増加により、多くの国が急速に水不足に陥ったり、経済成長に行き詰まったりしている現状への危機感がありました。
今日、「世界水の日」は、2015年9月に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標6―2030年までに誰もが安全に管理された「水と衛生」を手に入れる―の達成に向けてアクションを取るための日でもあります。
しかし、最新のデータによると、世界人口の半数の家には安全に管理された衛生設備がなく、4分の1が安全な飲料水を利用できず、3分の1近くは水とせっけんを備えた手洗い場が自宅にありません。これらは、SDGs目標達成にはほど遠い現状を示しています。
安全な水と適切な衛生が、子どもの権利を守る
ユニセフ(国連児童基金)は、子どもたちの命を守り健全な成長を支えるための重要な分野として、水と衛生(WASH:Water, Sanitation, Hygiene)を重要視しています。世界各地の支援現場、災害の被災地域、難民/避難民キャンプなどで、安全な水の提供(Water)、トイレなど衛生設備の設置(Sanitation)、および手洗いなどの衛生習慣の普及(Hygiene)に取り組んでいます。
きれいな水が手に入らず、衛生的な環境で暮らせない人は世界にどれだけいるのでしょうか?また、そうした環境で暮らす子どもはどのようなリスクにさらされているのでしょうか?以下はそのデータです。
- 安全な飲み水を手に入れことができない人は世界で20億人
- 水の脆弱性が高いまたは非常に高い地域で暮らしている人は、4億5,000万人の子どもを含む、14億2,000万人
- 非衛生的な水と衛生に起因する疾病で命を落とす5歳未満児は世界で一日あたり1,000人
さらにユニセフは、以下のようなことを指摘しています。
- 安全な水・衛生設備が整備されていないと、生徒たちは病気にかかりやすくなり、女の子は男女別のトイレがないため、月経の間学校を休む。また、遠くまで水を汲みにいく子どもたちは、学校に行く時間がなかったり、身体を壊して学校に行けなくなる。そのため、子どもたちは教育の機会を奪われる。
- 安全な水・衛生設備が整備されていないと、緊張が高まり、住処を離れ移動する人々が増える。紛争が長引いている地域では、暴力で命を落とすより、不潔な水や衛生設備に関連する下痢性疾患で亡くなる子どもの方が20倍も多い。
- 気候変動や都市化、人口増加により、水資源をめぐる争いは激化する一方で、2030年までには、世界の人口の半分が水不足の状況で暮らすことになる。
46年ぶりの国連水会議、ニューヨークで開催
来る3月22日から24日まで、ニューヨークの国連本部で、46年ぶりに「国連水会議」が開催されます。この会議は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって安全な水と衛生へのアクセスの重要性が浮き彫りにされた、歴史上極めて重要な時期に開かれます。また、気候危機が急速に悪化し、ある地域では干ばつによって水が不足し、ある地域では洪水や暴風雨により壊滅的な被害に見舞われていることも背景にあります。
安全な飲み水と衛生設備の利用に関する権利は、子どもの権利でもあります。水は安全で健全な子ども時代を過ごすために極めて重要です。ユニセフは、国連水会議という貴重な機会に以下のようなことを訴えていきます。
- 世界の気候変動資金をはじめとする、「水と衛生」セクターへの投資の拡大
- 「水と衛生」セクターとコミュニティのレジリエンスの強化
- SDGsのキーワードである、「誰ひとり取り残さない」を最優先に