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日本ユニセフ協会
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増える中米の難民・移民
暴力と貧困を逃れ米国へ
ユニセフ報告書『敗れた夢(Broken Dreams)』発表

【2016年8月23日  ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した報告書によると、毎月、何千人もの中央アメリカの子どもたちが、残忍なギャングや息の詰まるような貧しい暮らしから逃れるために、誘拐、人身売買、レイプ、また殺される危険を冒してまでアメリカに渡ろうとしています。そして、その傾向は収まる兆しもありません。

増える中米の難民・移民

  •  2014年前半、4万4,500人以上のおとなの同伴のない子どもたちが米国との国境で捕えられました。その数は2015年同時期には約1万8,500人に減ったものの、今年は再び増加し6月までに約2万6,000人に上りました。
  • 今年前半の6カ月で、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの子ども1万6,000人が、メキシコで捕えられています。
  • 同伴者がなく、米国の移民審査の際に弁護士がいない子どもたちは、代理人がつけられている子どもたちに比べて本国に送還される可能性が高くなっています。最近のデータでは、前者の40%が送還されるのに対し、後者では3%に留まります。
ホンジュラスのオモアにある自宅で過ごす、アレクシスさん(18歳)、ウィルソンくん(6歳)、飼っているカラカラ。

© UNICEF/UN028139/Zehbrauskas

ホンジュラスのオモアにある自宅で過ごす、アレクシスさん(18歳)、ウィルソンくん(6歳)、飼っているカラカラ。

「これらの、弱い立場にあって、多くは同伴者のいない子どもたちは、すべての過程において保護を必要としています。世界で最も殺人率が高い国々である彼らの母国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスにいるときも、メキシコを通過する際にも、そして、米国に到着した時にも」と、ユニセフは報告書『敗れた夢-中央アメリカの子どもたちの米国への危険な旅』の中で訴えます。

暴力と貧困を逃れ米国へ

「これらの子どもたちのことを考えると、心が痛みます。ほとんどが10代、時にはそれより小さい子どもたちが、安全とよりよい生活を求めて、過酷で極めて危険な旅をしています」ユニセフ事務局次長ジャスティン・フォーサイスは言います。「若い難民や移民たちのこの流れは、彼らの母国において、暴力や社会経済状況に対処することが非常に重要であることを示しています」

今年上半期だけで、およそ2万6,000人の同伴者のいない子どもたち、また、2万9,700人近い家族で移動する人々(その多くが母親と幼い子どもたち)が、米国とメキシコの国境で捕えられました。さらに何千人もが、国境に辿り着くことなく、途中で捕えられ、誘拐、人身取引、殺人の被害に遭い、また過酷な環境下で犠牲になっています。

同伴者がなく米国に辿り着いた子どもたちには、移民裁判所での審理の機会は保証されていますが、裁判所が指名する弁護士をつけてもらう権利はありません。そのため、ただちに本国に送還されるか、何カ月も拘留される危険があるのです。

子どもたちの適切な保護を

ホンジュラスの姉妹(ホンジュラス・トラヴェシア)

© UNICEF/UN028148/Zehbrauskas

ホンジュラスの姉妹(ホンジュラス・トラヴェシア)

本国に送還された子どもたちは、彼らが逃れようとしたそのギャングたちに襲われたり殺される危険に直面します。ユニセフは、移民・難民の子どもたちを、そのステータスを理由に拘留することは避けるべきだとしています。また、子どもたちは、保健ケアやその他のサービスにアクセスできるべきで、可能なかぎり、家族と一緒に暮らすことが許されるべきです。

ユニセフは、パートナー団体と共に、子どもたちの生活を改善し、暴力や犯罪に対処する政府の取り組みを支援することで、移民を生み出す要因に対応しようとしています。また、ユニセフは、教育と保健分野に重点を置き、子どもたちが暴力を受けやすい状況を軽減するための支援強化に努めています。さらに、移動の間、一貫して子どもたちの権利が守られること、そして、子どもたちの母国の政府に対しては、送還されて戻ってきた子どもたちを支援することを訴えています。

「子どもたちは、どのような立場であろうと、まず第一に子どもたちなのだ、ということを私たちは忘れてはなりません。私たちには、彼らの安全を守り、健康的で健やかに成長できる環境を用意する義務があるのです」(フォーサイス事務局次長)

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