【2018年9月6日 ニューヨーク発】
本日、ユニセフ(国連児童基金)が発表した新たな報告書によれば、世界の13歳から15歳の生徒の半数にあたる約1億5,000万人が、学校において子ども同士の暴力を経験しています。
報告書『毎日の試練:学校における暴力をなくす(原題:An Everyday Lesson: #ENDviolence in Schools)』は、子ども同士の暴力(ここでは、過去1カ月間にいじめられたことがある、あるいは過去1年間に腕力を伴うけんかをしたことがあると答えた子どもの数で測っています)は、世界の子どもたちの学びの場に広がっていると報告しています。それは、豊かな国であっても貧しい国であっても同じように、子どもの学びと幸福度に影響を与えます。
「教育は平和な社会を築くための鍵です。しかし、世界の何百万人もの子どもたちにとって、学校そのものが安全な場所ではありません」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べます。「子どもたちは毎日、けんか、ギャングの仲間になることの強要、直接あるいはインターネット上のいじめ、暴力的な指導、セクシュアル・ハラスメント、および武器を用いた暴力を含むいくつもの危険に直面しています。これらは短期的には彼らの学習に影響し、長期的には、うつ状態、不安、および自殺にさえ繋がることもあります。暴力は忘れることのできない試練となりますが、これを学ぶ必要のある子どもなどいないのです」
この報告書は、学校において子どもたちが様々な形で直面する暴力について示しています。最新のデータには以下が含まれます。
報告書は、学校におけるナイフや銃などの武器を用いた暴力が、子どもたちの命を奪い続けていると指摘しています。また、デジタル化が進む世界において、キーボードを叩くだけで、暴力的な、人を傷つけ、また恥ずかしめるような内容を拡散する形のいじめも行われているとも述べています。
© UNICEF/UN0218794/Shennawi |
報告書『毎日の試練:学校における暴力をなくす』は、ユニセフの、子どもに対する暴力撲滅のためのグローバル・キャンペーン#ENDviolenceの一環として発表されました。また、学校における子どもへの暴力に焦点をあて、対応を促進するため、ユニセフ、英国国際開発庁(DFID)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、子どもに対する暴力撲滅のためのグローバル・パートナーシップならびに国連女子教育イニシアティブ(UNGEI)のメンバー等が協力して実施している取り組みの一部でもあります。
ユニセフは、キャンペーンの一環として、若者との対話(Youth Talk) を今後数カ月かけて、世界各地で実施していきます。若者たちが主体的に関わり、自らの暴力の経験を共有したり、学校を安全な場所と感じるために何が必要かについて声をあげたり、世界の指導者たちに提案するためのプラットフォームを提供します。7月には、ユニセフ親善大使のリリー・シンが、南アフリカで13歳から19歳の若者たちと、最初のYouth Talkを開催しました。
学校での暴力をなくすために、ユニセフとパートナー団体は、以下の分野における迅速な行動を求めています。
ユニセフは世界中の子どもたち、若者たちに対して、学校での暴力をなくすために声を上げること、どのように協力して、どのような解決法でこの問題に取り組んでいるのかを教えてくれるよう呼びかけています。(詳しくはこちらをご覧ください。 )
■ ユニセフによる子どもに対する暴力撲滅の取り組みについて
ユニセフは、2013年から子どもに対する暴力撲滅キャンペーンを実施するなど、優先的にこの問題に取り組んでいます。ユニセフ等の働きかけを受け、2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、子どもに対するあらゆる形態の暴力をなくすことが掲げられ、2016年には、この目標達成に向けて、グローバル・パートナーシップも立ち上げられています。(グローバル・パートナーシップに関する情報は、こちらからもご覧いただけます。)
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