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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

セネガル:
ワールドカップでスペインを優勝に導いたラモス選手。子どもたちに夢と勇気を

【2010年7月20日 セネガル発】

©UNICEF Senegal/2010/Bueno
2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会で優勝したスペイン代表チームのセルヒオ・ラモス選手。大会終了からわずか数日後、視察に訪れたセネガルの農村部の保健所で、赤ちゃんを抱くラモス選手。

熱戦が繰り広げられた2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会。スペイン代表選手として優勝に貢献したセルヒオ・ラモス選手は、大会終了からわずか数日後、ユニセフの活動を視察するためにセネガルを訪れました。

「今週は、今までの人生の中でも、最も特別な時間の一つになりました。」ラモス選手は話します。「私の夢がふたつ叶ったんです。ワールドカップで優勝したこと。そして、アフリカに来て、子どもたちと触れ合えたことです。」

ラモス選手は、首都ダカールからおよそ60キロ離れたところにあるパウトの村を訪ねました。この村では、母親と幼い子どもたちの栄養改善に力を入れた保健活動が行われています。ケウル・セイドウ村にある保健所で、ラモス選手は、ファトウちゃんという生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて、体重を量りました。

定期的に体重を測定することは、子どもたちの成長度合いを測定し、栄養状態を調べるために行われている様々な活動の、ほんの一部に過ぎません。でも、こうした保健所の活動は、5歳未満の子どもたちの17パーセントが慢性的な栄養不良にあるセネガルでは、重要な意味を持ちます。

危険な状態にある子どもたちへの支援

こうした活動に参加したラモス選手は、健康や栄養面で危険な状態にある子どもたちに対して、ユニセフが、パートナーと共に行っている取り組みの重要性を理解したようでした。

例えばパウトでは、保健員は、この地域の子どもたちの成長を調査するため、「高速SMS」を使っています。携帯電話のテキストメッセージサービスを利用する高速SMSは、データ収集や物流管理などに使われています。

この高速SMSがどのように活用されているか、その一例をご紹介しましょう。現地のお母さん方は、栄養面に配慮した適切な食事を学んだり、子どもたちの成長を記録するために保健センターにやってきます。それから、子ども一人ひとりの体重や身長の記録を、高速SMSのテキストメッセージで、保健省に設置されたデータベースに送信します。保健省は、この情報を基に、どの地域の人々に危険が及んでいるかを、随時モニターすることが出来るのです。

“ピッチ”の内外で勇気を与えるラモス選手

ラモス選手は、虐待や搾取から最も弱い立場の子どもたちを守るための活動も視察しました。こうした子どもたちの多くは、都市部で貧しい暮らしを強いられています。

ラモス選手が訪問したイスラム教の学校では、数十人の子どもたちが土の床で寝ていました。首都ダカールには、タリベと呼ばれている8,000人以上の子どもたちがいます。イスラム教の学校に通う彼らは、毎日何時間も、道端で物乞いをしています。

「こうした子どもたちに会って、子どもたちが暮らしている環境を目にしてから、私たちが持っているものの中には、なくてはならないものもあるし、全く必要のないものもあるということに気がつきました。」 ラモス選手は、なくてはならないもののひとつは、教育だと付け加えました。

スポーツ界での成功と人生での成功

© UNICEF Senegal/2010/Bueno
ダカール郊外で開かれていたサッカーの地区大会で、子どもたちとプレーするラモス選手。

今回の視察中、ラモス選手は、コミュニティの安全な環境の中で、サッカーを通じて、弱い立場の子どもたちが他の子どもたちと交流できるよう支援している取り組みにも参加しました。

ダカール郊外の最も貧しい地域の一つでは、サッカーの地区大会に参加するために子どもたちが集まっていました。ラモス選手が、試合開始のホイッスルとともにボールを蹴ると、ピッチの中の子どもたちが、一斉に彼を取り囲みました。

「サッカー場で子どもたちと一緒に笑えて、とっても楽しいです。」と、ラモス選手。強い日差しの中、子どもたちは、ディフェンダーとなったラモス選手の後ろを追いかけていきます。大歓声の中、ラモス選手はゴールを決めました。

「私は、とても質素な家庭で育ちました。」後に、ラモス選手はこう話しました。「子どものころ、いつかワールドカップで優勝することが夢でした。子どもたちに、夢を持ち続けること、その夢に向かって歩き続けることを伝えたいです。学校に行って、一生懸命勉強して、『決してそんなことはできない』と言わないこと。夢は叶えられるのだから。」

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