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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

アフリカでは、30秒にひとりの子どもがマラリアの犠牲に
4月25日はアフリカ・マラリアの日

【2007年4月24日】

© UNICEF

額から流れ落ちる玉のような汗と、瞳からあふれて止まらない涙。頭は容赦なくズキズキと痛み、関節にも激しい痛みが襲います。マラリアにかかったプリンス・マフンガ君は、この感染初期の痛みや苦しみを何とかやり過ごすことができました。でもプリンス君にとって、この苦しみは初めてのことではありません。彼は、この9カ月の間に4回もマラリアにかかっているのです。そのたびごとに、5歳のプリンス君の成長は阻害されてしまいました。

プリンス君は2日間にわたって熱が40度近くまで上がりました。発熱して3日目、お母さんは仕事を休み、お金を借りて、家から一番近いカリバ町にある診療所まで、バスで3時間もかけてプリンス君を連れて行きました。回復するまで、プリンス君は8日間も入院しなければなりませんでした。

「痛みに苦しむ子どもの目には、恐怖が浮かんでいたわ」とお母さんは言います。「でもそれはきっと、母親である私の恐怖が子どもの目に映っていたのね」

この出来事は、今から3年前の2004年のこと。マラリアで命を失いかけた5カ月後、マフンガさん一家はユニセフから3張の蚊帳をもらいました。この蚊帳には殺虫剤処理がほどこされており、マラリアを運ぶ蚊から身を守ることができます。

© UNICEF/ HQ06-0726/Bruno Brioni

蚊帳を使い始めてから、プリンス君がマラリアにかかることはなくなりました。お母さんも仕事を休まなくても良くなりました。治療にお金を使わないですむようになったので、その分のお金で2つの新しい小屋を建て、1頭のヤギも買うことができました。これは、子どもの死を減らそうと全力で取り組んできた政府やユニセフ、ドナーの努力がもたらした嬉しいニュースのひとつに過ぎません。同じことが、ジンバブエ各地で起こっているのです。

2004年以来、日本やノルウェー政府、イギリス国際開発庁からの支援のもと、ユニセフは500万米ドル以上をかけてマラリアの抑制と予防に取り組んでいます。多くの資金は殺虫効果が長期にわたって持続する蚊帳の調達に使われました。実際、過去2年の間に40万帳の蚊帳が配布されています。このような背景から、ジンバブエのマラリアが流行している地域では、蚊帳の下で眠る子どもたちの割合がわずか2年間で7%足らずから70%以上にまで増えました。その結果、この国では過去2年間の間にマラリアの発生件数が年間300万件から180万件へと、40%も低下したのです。

© UNICEF/ HQ06-0389/Guillaume Bonn

「これは画期的なニュースです」とユニセフ・ジンバブエ事務所代表のフレスト・カビシェ氏は語ります。「子どもの死亡率を今後さらに引き下げるためには、2007年末までに必要としている人々の80%に蚊帳を行き渡らせ、予防接種に対する政府の取り組みを維持させるとともに、HIVの感染予防や治療にも努力を注がなければなりません。ジンバブエにとってこれはとても困難な課題ですが、子どもたちがこれ以上苦しむことがないよう、すべての関係者が互いに協力し合って対策を推し進める必要があるのです」

ジンバブエのマラリアが流行している17の地域では、マラリア予防の蚊帳の普及率が、2000年に設定された「アブジャ目標」をすでに超えています。経済的・社会的困難の最中にあって、これは注目すべき業績です。その恩恵を受けるのは、プリンス君、そしてジンバブエのすべての子どもたちなのです。

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マラリアは毎年100万人を超える人々の命を奪っています。命を落とす人々の80%以上はサハラ以南のアフリカの人々で、大半は5歳未満の子どもたち。アフリカでは今も、30秒にひとり、子どもがマラリアで命を落としているのです。アフリカ・マラリアの日はこうした現状に世界の耳目を集め、行動を呼びかけるための機会です。

マラリアは、長期にわたって効果が持続する、殺虫剤処理をほどこした蚊帳の中で眠れば予防することができます。その蚊帳の値段はわずか10米ドル。また、感染しても、アルテミシニンと他の抗マラリア薬を併用する治療(ACT)を行えば、治癒することができます。

殺虫剤処理を施した蚊帳を使用することによって、5歳未満児の死亡率を最大で25%低下させることができます。最新の推計によれば、サハラ以南のアフリカでは蚊帳の下で眠る子どもの割合はわずか4%にすぎませんが、1999年から2003年の間に配布された蚊帳の数は10倍に増えました。マラリア対策に必要な資金は年間32億米ドル、アフリカだけでも19億米ドルにのぼります。ユニセフは、多くのパートナー機関とともに、殺虫剤処理済みの蚊帳やACTのさらなる普及に取り組むとともに、各国政府がマラリア対策に率先して取り組むよう呼びかけています。

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