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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第41報
「ちっちゃな図書館」、笑顔が届いています!

【2011年4月25日 東京発】

被災地の子どもたちに、「えほんをおくろう。えがおをおくろう」のかけ声で始まった、日本ユニセフ協会の『ちっちゃな図書館』プロジェクト。みなさまの心温かいご支援を受けて、全国から集まった絵本や紙芝居が今月上旬より被災地の避難所へ順次届けられています。

 
© 日本ユニセフ協会   © 日本ユニセフ協会
大船渡市の大船渡中学校の避難所。   岩手県の末崎ふるさとセンター

4月を迎えて被災地の幼稚園や保育園には子どもたちの元気な姿が戻りつつあります。『ちっちゃな図書館』は今、避難所だけでなく、そういった幼稚園や保育園にも届けられています。今日はその中のひとつ、岩手県陸前高田市の下矢作保育園をご紹介させていただきます。

被災でふたつの保育園がひとつに

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下矢作保育園の園長先生と一緒に本を読む子どもたち。

盛岡から車で片道3時間ほどの距離にある下矢作保育園は静かな山間にあります。ここ数年は新しく入園してくる子どももおらず、園長先生は閉園も考えていたと言います。

しかし今春からは竹駒保育園の子どもたちも仲間入りです。同じく陸前高田市にある竹駒保育園は園舎が津波にのまれて使えなくなり、竹駒保育園の一部の子どもたちは下矢作保育園に引っ越してくることになったのです。

「ふたつの保育園を合わせて、子どもが46名になります。窮屈だと子どもたちがかわいそうなので、私たちの事務室も急遽、保育室に変えました」と下矢作保育園の園長先生。事務室だったという部屋の壁には子どもたちを温かく迎えるため、かわいらしい手作りの飾りつけがしてあります。

山の中まで津波がくるなんて

「まさかこんな山間まで津波が襲ってくるとは思いませんでした」と語るのは竹駒保育園の梅木先生。「津波だ!」という叫び声で振り向くと、気仙川の下流から巨大な津波が茶色い土埃をまきあげながら迫ってきたと言います。

梅木先生たちは、昼寝から起きたばかりのパジャマ姿の子どもたちが冷えないように服を重ね着させて、山の上へ上へと逃げました。その真下の道路を津波があらゆるものをのみこみながら激しく流れていったそうです。「子どもたちは何が起きたかわかっています。3歳の女の子が、『おうちがお水に流されたの』と訴えるんです」と梅木先生は語ります。

津波にのまれた竹駒保育園は3年前に建てられたばかりでした。ピカピカの保育園でしたが、庭のメリーゴーランドもすべり台もカップもすべてひっくり返り、子どもが安全に遊べる状態ではありません。ガラス窓が割れた園舎の中からは、おんぶ紐と時計が見つかりました。どこから流されてきたのか、見たこともない家の屋根が園舎の前に残っていました。

笑顔が届く、『ちっちゃな図書館』

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陸前高田市の下矢作保育園でお母さんと一緒に本を選ぶ子ども。

日本ユニセフ協会のスタッフが『ちっちゃな図書館』の箱を開くと、下矢作保育園に集まっていた子どもたちは目を輝かせました。絵本を自分で手に取って、次々とページをめくる子ども、先生に読み聞かせてもらう子ども、お母さんと一緒に本を選ぶ子ども…。「はらぺこあおむし」のページを夢中でめくる男の子に、「お気に入りの本が戻ってきたね」と優しく語りかける下矢作保育園長先生に、その男の子は弾けるような笑顔でうなずきました。

『ちっちゃな図書館』を下矢作保育園に届けた日本ユニセフ協会・東日本大震災緊急支援本部広報担当の仲川美穂子は、「『本がいっぱい!』と飛び上がって喜ぶ子どもたちの姿に、本の力を改めて実感しました。この中には震災で辛い経験をした、もしくはその経験のまだ続いている子どもたちもいるかもしれません。日本全国の方々の応援の声がつまった『ちっちゃな図書館』は被災地の子どもたちの笑顔へと繋がっています」と報告しています。

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陸前高田市の下矢作保育園

岩手県で2週間にわたり支援活動をしてきた同スタッフの野本瑠衣は、『ちっちゃな図書館』の本をとても嬉しそうに読む子どもたちを見て、ここまで届いて本当によかったと心から思いました。今後もニーズを拾いながら、支援の行き届いていないところにも支援を広げていきたいと思います」と言います。

「保育園は子どもたちにとって安全で楽しいところにしたいんです」と梅木先生。「津波が私たちを襲ってきたのは、年長さんたちがお別れ遠足で春探しをした矢先のことでした。今はまだ瓦礫が町中に散在していますが、この辺はのどかで美しいところです。春には子どもたちとオタマジャクシやフキノトウを見つけます。陸前高田は復興して、子どもたちにとって安全で楽しい町になると信じています」

下矢作保育園の近くでは今、山桜や水仙が春の訪れを告げるように美しく咲いています。『ちっちゃな図書館』が届いた被災地の子どもたちに笑顔が生まれるように、日本ユニセフ協会はこれからも支援活動に尽力していきます。

現在の支援物資到着状況

支援先
(県別)
支援物資 到着日 数量 寄贈企業 備考
宮城 3月19日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
福島 3月22日 12,672本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 男児・女児用下着 3月22日 20万枚    
岩手 男児・女児用下着 3月23日 3万枚    
福島 3月23日 4680本 キリンMCダノンウォーターズ(株) 2Lペットボトル
宮城 子ども用靴 3月23日 10000足  
宮城 子ども用おむつ 3月24日 80パック P&G  
岩手 子ども用下着 3月24日 9700枚    
福島 3月24日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
岩手 3月26日 1404足 アキレス(株)  
岩手 男児・女児用下着 3月27日 28,266枚    
岩手 長靴 3月27日 7462足    
岩手 お尻ふき 3月28日 1200個 P&G 赤ちゃん用
宮城 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 ランドセル 4月6日 70個 日本ニューバッグチェーン  
岩手 ランドセル 4月6日
-7日
340個 セイバン  
宮城 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
岩手 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
福島 4月11日 1536本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 レクリエーションキット
補充素材
4月12日 60セット
宮城 ミニカー 4月12日 約1200 タカラトミー
相模原* 4月12日 12288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 プレイマット 4月13日 2種
各80枚
IKEA
宮城 お絵かきセット 4月13日 60セット IKEA
岩手 いす(3〜5歳) 4月14日 75脚  
岩手 テーブル(6人かけ) 4月14日 11台  
岩手 座卓 4月14日 9台  
岩手 小・中学生用ノート・文具セット 4月15日 (16,700セット)    
宮城 PC183台 4月18
-21日
(61ヶ所×3台)   被災した各幼・小・中・高と移転先に配布
宮城 コピー・FAX複合機 4月18
-21日
57台   被災した各幼・小・中・高と移転先に配布
宮城 プリンター 4月18
-21日
61台   被災した各幼・小・中・高と移転先に配布

*被災者受け入れ場所

※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。

2011年4月20日午前9時現在 (広報室まとめ)