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財団法人日本ユニセフ協会




ミャンマー サイクロン被害第25報
ユニセフ:被災者キャンプで教育を支援

【2008年9月29日 ミャンマー発】

ボガレイの町にあるネット・チャン小学校。ユニセフ支援の新しい通学かばんを受け取って嬉しそうな子どもたち。
© UNICEF Myanmar/2008/Stechert
ボガレイの町にあるネット・チャン小学校。ユニセフ支援の新しい通学かばんを受け取って嬉しそうな子どもたち。ユニセフは、サイクロン被災地の学校に、17万5,000個の通学用かばんと文具のセットを支援しました。

5月に大型サイクロン「ナルギス」に襲われ、深刻な被害を受けた地域にあるボガレイの町。この町のアウク・パイン小学校では、特別な日を迎えていました。学校の児童619人全員に、ユニセフ支援によって新しい通学用かばんが配られることになったのです——かばんの中には教科書、ノート、ペン、鉛筆、定規、鉛筆削り、消しゴムなども入っています。

贅沢なものではありませんが、これだけで、子どもたちは学校で日々のリズムを取り戻すことができ、いち早くサイクロン被災から立ち直ることができるようになります。

子どもたちは、両親と一緒に、職員室の外で、列を作って順番を待ちます。かばんを貰うと、子どもたちは嬉しそうに顔をほころばせながら、ちょっと得意げにかばんを開けて、両親に中身を見せたり、友達同士で見せ合ったりしています。

「かばんが貰えてとても嬉しいです。」チェリー・スー・ミンちゃん(8歳)は話します。彼女は、クレヨンの箱を取り出すと、茶目っ気たっぷりにクレヨンの外箱にキスをしました。「私は、絵を描くのが大好き! 魚、バス、りんごの絵をたくさん描けるわ!」

必需品の配布

こうしたユニセフの支援は、サイクロンに襲われる以前から貧しかった地域では、とても重要です。この災害で、人々は、もともとわずかしかなかった財産のほとんどを——家や、家畜も含めて——失いました。ですから、子どもたちに、文具を買う余裕さえない人々が多いのです。

サイクロンで深刻な被害を受けたイラワジ(エーヤワディ)・デルタ地帯では、ユニセフの支援で、832校の学校が修復され、子どもたちに、17万5,000個以上の文具パッケージが配布されました。その他にもユニセフは、学校の屋根を修復するためのトタン・シート、机や椅子などの備品、黒板、スクール・イン・ア・ボックス(「箱の中の学校」=どこでも学校を再開できるようにした生徒用・教師用の教材セット)、レクリエーション・キット(同運動用具・遊具のセット)、学校の図書館代わりとなる図書を詰めた箱(ボックス・ライブラリー)を提供しています。

「こんなすてきな学用品を子どもたちに買ってあげる余裕はありません」と、母親のパーレ・オオさん(39歳)は言います。「ユニセフには、感謝しても仕切れません。」

まだまだ必要な支援

サイクロンの影響は、この先数年残るはずです。サイクロン被災に遭う前でさえ、アウク・パイン小学校は、児童のために、質の高い学習環境を提供することに悪戦苦闘していました。今回のサイクロンによって、これを実現するのはさらに厳しい状況となりました。

サイクロンに襲われてから、学校には電気が供給されておらず、教室は暗いままです。機能しているトイレは三つ。たくさんの児童が使うには少なすぎます。スポーツができる場所もないので、雨さえ降っていなければ、先生は運動をさせるために、子どもたちを教室の外に連れ出します。

しかし、6カ月間にわたる雨期(5月から10月)の季節は、体育の授業を行うことはできません。

普通の生活のペースを取り戻す

アウク・パイン小学校でユニセフ支援の新しい通学用かばんを手にする子ども。
© UNICEF/2008/ Stechert
アウク・パイン小学校でユニセフ支援の新しい通学用かばんを手にする子ども。児童全員が、勉学を続けるのに必要な文具を貰いました。

アウク・パイン小学校のニュー・イン校長先生は、サイクロンに見舞われた5月から、子どもたちの苦しい状況を目にしてきました。

「大型サイクロンに襲われてからというもの、初めの数週間は、子どもたちは嵐が近づいたり、風が吹いたりすると泣き出していました」と、ニュー・イン校長先生。「子どもたちがあまりに怖がるので、親たちに迎えに来てもらっていたほどです。」

教師たちも、いつもおっかなびっくりの状態。何度もラジオで天気予報を聞きなおしたり、窓の外を繰り返し見たりして、災害をもたらしそうなサイクロンの兆候がないかどうか確かめていました。

校長先生は、子どもたちが、普段の生活のリズムや感覚を取り戻すように努力してきました。「ほとんどの家庭では、親たちがその日の食事代を稼ぐために、必死に働いています。親たちは、子どもの面倒をみたり、一緒に勉強したりする時間がないのです」と、ニュー・イン校長先生。子どもたちが学校で安全に過ごしているというのが分かっていれば、親たちは生活を立て直す時間をとることができるのです。

どのコミュニティでも、子どもたちの生活の中心は学校にあります。自然災害のあとはなおさら重要となります。被災した子どもたちも、今では、安心して過ごせる場所を手にし、明るい将来への希望を抱ける場所を持つことができるようになりました。

「本当にユニセフに感謝しています。」ニュー・イン校長先生は、ユニセフの現地スタッフの腕を掴んで言いました。「まだまだ大変な状況です。でも、ユニセフの支援のおかげで本当に助かっています。」