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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン情報 第20報

パキスタン地震被災地−山間部は日中でも氷点下に

【2005年12月22日 北西国境州発】

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支援を待つ山間部の子どもたち。

険しい山に遮断された村々の子どもたちは、マイナス15度にも冷え込む冬を越えなければなりません。越冬のための支援を続けなければ、多くの幼い命が危険にさらされます。パキスタン緊急募金にご協力をお願いいたします。

マイナス15度の寒さをどう生き抜くか

ヒマラヤの山々では、長い冬が始まっています。標高1500メートルを超える地域では、日中でもしばしば気温が氷点下を下回り、夜は摂氏マイナス15度まで急激に下がることも珍しくありません。しかしこれは、まだ本格的な冬の始まりでしかないのです。まもなく、被災した北西国境州とパキスタン実行支配下カシミール全体が雪に覆われます。山間部ではこうした厳しい寒さが3月末まで続くのです。

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夜はマイナス15度になる山間部

この寒さの中をどう生き抜くか…それが被災者、そして現地で支援にあたる全ての人が直面している最大の課題です。地震後、23万5,000家族がテントでの暮らしを余儀なくされています。しかし国連の調べでは、使用されているテントの10%は冬を過ごすには薄すぎるものです。およそ75%の被災家族が、越冬のための更なる支援を必要としています。毛布、布団、プラスチックシート、防水シートなどの物資が緊急に求められています。
ユニセフは、すでに21万5,000枚の毛布を現地で配布、さらに各国から同様の支援物資が届いていますが、ニーズはあまりにも大きく、さらに100万枚の毛布もしくは50万枚の布団が必要とされています。ユニセフはまた、暖かい上着やブーツといった子どもたちのための衣類5万3,100セットを配布しました。しかしさらに80万セットが子どもたちのために必要です。

こうした大量の支援物資が首都イスラマバードに届き始めると、今度はそれを配布するための体制作りが問題となってきます。ユニセフは工場方式で衣類のサイズ分けをし、100人程を動員して24時間体制で物資を発送していく準備をしています。

危機に瀕している子どもたち

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3歳の少女の頬には、寒さにより湿疹が出ている

まだ大流行には至っていませんが、被災地ではすでに多くの子どもが急性の呼吸器系疾患にかかっています。「ユニセフがコミュニティの保健センターに提供している保健キットには、コトリモキサゾール入りシロップが入っていますが、それがこの病気の治療にとても役立っています。しかし、子どもたちをもっと温かくしてあげることができればこうした病気は防ぐことができるわけで、もちろんそのほうが良いのです」とユニセフの緊急支援コーディネータ、パガニーニ氏は言います。

まもなく雪で遮断される山間部の子どもたちの状況を確認するため、ユニセフはカメラマンのニクラス・リバーグを北西国境州の険しい山岳地帯に派遣しました。そこは、ここ数週間十分な支援物資が届いていなかったところです。標高1966メートルの村ナコットで、リバーグは、自分が地震以来その小さな村に訪れた最初の訪問者であることを知らされました。リバーグの写真には、綿の洋服しか着ていない子どもや、寒さで頬に赤い湿疹ができている子どもが写っています。ユニセフは、こうした情報を元に、物資配布の優先順位をつけたり、どうしたら少しでも早く物資を最も必要としている人々へ届けることができるかを決定しています。

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パキスタン地震被災地では、すでに厳しい寒さが子どもたちを襲っています。しかしながら、子どもたちを寒さから守るための支援が不足しています。
ユニセフは、いまも被災地の子どもたちのための緊急支援を続けています。皆さまのご協力をお願いいたします。


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◇ 募金のお願い ◇