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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第20報
パキスタン洪水:ユニセフ、緊急支援活動を開始

【2010年7月30日 ニューヨーク発】

パキスタン北西部を襲った大規模なモンスーンによる豪雨の影響で、100万人近くの人々が深刻な洪水被害に見舞われているものと見られます。7月30日、国連は、この影響を受けた人々は、この3日間で100万人近くに及び、数百人が死亡。洪水被害を受けたほとんどの地域で、人道支援活動を行うためのアクセスは制限され、遮断されているところもあると発表しました。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、パキスタン国家防災管理庁から示された数値から、北西部のカイバル・パクトゥンクワ州(以前の北西辺境州)では、死者290人以上、負傷者は数百人に達すると伝えました。

この洪水によって、数千棟の民家が被害を受けた他、少なくとも45の橋と道路を含むインフラ設備に大きな損害を与えました。捜索・救助活動が現在の最優先事項となっていますが、地元当局は、緊急避難所や食糧、飲料水、衛生施設(トイレ)の支援も求めています。

パキスタン政府は、洪水に見舞われた州政府、武力勢力とも協力して、人道支援活動を主導しています。

カイバル・パクトゥンクワ州ピルパイにある人道支援活動の主要拠点地と備蓄倉庫も浸水し、被災地に支援物資を届けることが困難な状況です。スワート地区にあるスワート川に架かっていたほとんどの橋が流され、川沿いにあった店、ホテル、民家も流されました。

カイバル・パクトゥンクワ州の大部分では、洪水が続いています。多くの地域が浸水し、インフラ設備に甚大な影響を及ぼしています。30日、国家防災管理庁は150名の死亡と、90名の行方不明者を確認していると発表しました。しかし、この数字は、アクセス可能な地域のみの数値であり、今後さらに増えるものと懸念されています。カブール川沿いに暮らす1万6,000世帯の人々が村に取り残され、ヘリコプター17機で救助に当たっているとのことです。特に道路や橋、政府関係の建物のインフラ設備は広く被害を受けています。また、農村部と都市部にある土で作られた家も甚大な影響を受けています。川沿いの農地は侵食され、浸水しています。市場は、水没した状態です。

スワート地区は、最も大きな影響を受けました。スワート川岸の市場や民家は流され、橋も損害を受けています。スワートでは雨が止み、川の水量は減少してきています。最近、人々は、カラムからマルダンやペシャワルへ避難を余儀なくされています。当局は、人々に避難民登録を呼びかけていますが、現在、使用されているヘリコプターは一台のみです。川の水量が減少されると、ペシャワルとミンゴラ道路は、再び使用されています。

国連機関の対応

こうした事態を受けて、7月29日、ユニセフ・パキスタン事務所は緊急会議を開きました。ユニセフが主導する全ての分野で迅速な支援を行うべく計画が立てられ、備蓄品の貯蔵場所も確認されました。全てのスタッフが、現在影響を受けている地域の情報を共有し、それぞれの活動能力と備蓄品を確認し、支援活動の調整が行われています。全ての地域で、保健と衛生(WASH)を優先的に支援するべく、パートナーと共に活動を行っています。

世界食糧計画(WFP)は、人道支援の拠点地へのアクセスが確保されれば、追加の食料支援を届ける準備は整っていると報告しています。世界保健機関(WHO)は、保健省に医療キットを提供し、ペシャワルに緊急保健活動チームを設置しました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、バルチスタンの洪水被災地に支援物資の第一便を急送しました。週末、特に、シビにおいて、詳細な調査・査定が行われる予定です。

ユニセフは、パートナーと共に、スワートに9つの医療支援キャンプを設置。医薬品、浄水剤、飲料水用ポリタンクなどを提供しています。また、地元当局を支援し、清潔な飲料水を提供しています。