HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > フィリピン 2006/4/3
財団法人日本ユニセフ協会



みなさまの暖かいご支援ありがとうございました
フィリピン地滑り緊急募金の受付は終了させていただきました

避難所で生活する子どもたち

2006年2月24日より多くの皆さまにご協力をいただきました「フィリピン地滑り緊急募金」は、2006年4月3日をもって受付を終了いたしました。3月末までにお寄せいただいた募金は、総額約500万円にのぼりました。皆さまの温かなご支援に心より御礼申し上げます。

ユニセフは現地スタッフを中心に子どもたちの教育や保健、子どもの保護の分野で活動を続けています。今後ともユニセフの活動へのご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

被害の状況

レイテ島で発生した地滑り

フィリピン南東部の南レイテで発生した一連の地滑りは、数日に渡って降り続いた大雨が引き金となって起こりました。最大で最も破壊的だった地滑りは、2006年2月17日(金)朝、セントバーナードのギンサウゴン村で起こりました。巨大なカンアバッグ山が崩壊し、ギンサウゴン村全体を埋め尽くしました。計139人の住民の死亡が確認され、990人は依然行方不明です。死亡が確認されたうちの22人と、行方不明者のうちの467人は子どもで、その多くが小学校へ通う児童でした。生き残った98人の子どもは、片親あるいは両親を失いました。

近隣する他の5つの村は政府によって高危険度地域に指定され、住民は予防措置として避難しています。サンフランシスコ、リロアン、ボントックの少なくとも3つの市町村も地滑りによる被害を受けましたが、5日間雨が降りつづけた後地滑りが発生する直前に、高地にあるコミュニティーは安全な地域へ避難していたため、犠牲者は出ませんでした。しかし、1,559世帯、6,410人がこの地滑りによって家を失いました。ほとんどの人はは現在一時的な避難所となっている学校や教会の敷地内に滞在しています。

ユニセフの支援活動

地滑り直後の活動

ユニセフは地滑り後、数時間のうちに最初の支援を送りました

ユニセフはギンサウゴンの地滑りが発生したその日中に、南レイテ州保健局に対し、3ヶ月間、1万人分の基礎医薬品と医療機器用品からなる緊急保健キットを送りました。同時に、職員1名が状況を調査するため、まっさきに現場を視察しました。その数日後、もう1チームが、簡易調査と地元政府や他の人道支援機関との調整を行うために被災地域を訪れました。チームは、保健当局と共に臨時避難所での体系的な保健サービス提供し、親と離れ離れになった子どもの保護を開始しました。南レイテ州は人身売買の被害となる子どもと女性の出身や中継地として知られていたため、サービス提供者と子どもたち自身に対して子どもの人身売買の危険について注意を呼びかけました。

水差し、食器・調理器具、衣類がユニセフから送られました

2006年2月25日、ユニセフはギンサウゴン村へ食器と台所用品700セット、水を入れる容器150個、子ども用のズボンとTシャツ300セット、おもちゃを送りました。基礎医薬品が入った基礎緊急保健キットもリロアンとサンフランシスコの地元の保健センターへ送られました。

2006年2月27日、フィリピンのユニセフ親善大使のガリー・バレンシアノは生き残った子どもを慰め、コミュニティーと支援関係者を励ますために現場を訪れました。彼は避難所のグランドでミニコンサートを開きました。

現在及び今後の活動計画

ユニセフはコミュニティーの再興と人々の生活再建を手助けするため、地元政府とNGOへの支援に全力を捧げています。ユニセフの支援対象は、ほとんどすべての支援が集中しているギンサウゴンだけでなく、南レイテ島で同様に被害を受けた他村も含まれます。

教育

被害を受けたコミュニティーの多くの校舎は、立地条件が安全ではないために廃校とし、再建しなければなりません。棚や黒板等の学校備品、設備、学習教材は洪水と地滑りでダメージを受けたり無くなったりしています。多くの子どもが学用品をなくしました。

活動:(推定費用:20万ドル)

  • 被害を受けた少なくとも3つの村に新しい学校とデイケアセンターを建設します。
  • 被害を受けた村の少なくとも10校に学校備品、設備、学習教材を提供します
  • 被害を受けた10村約4,000人の児童に学校パックを提供します

保健と栄養

被災地のコミュニティーにある保健施設やその中にある医療設備や備品は、損壊したり崩壊しました。生計手段と持ち物を失ったほとんどの家庭は、貧しい自給自足の農民です。

活動:(推定費用 15万ドル)

  • 被害を受けた少なくとも3つの村に保健センターを建設します
  • 被害を受けた地域の少なくとも10村の保健センターに、備品、医療設備、情報・教育・コミュニケーション資材を提供します
  • 少なくとも1,500人の避難民に、家庭用保健パックを提供します

子どもの保護

かつてギンサウゴン村があった場所に横たわる子どもの人形

少なくとも98人の子どもが片親あるいは両親を失いました。500人近くの生存者(内186人は子ども)は愛する人を含めて事実上すべてのものを失いました。また3,000人の子どもが避難したままです。そのため、精神的ケアの必要性は非常に大きくなっています。

活動:(推定費用7万ドル)

  • 教員、ソーシャルワーカー、サービス提供者、子どもの養育者に、人身売買や虐待からの子どもの保護を含めた心理社会的支援に関する研修を行います
  • レクリエーション、文化的活動、ライフスキル活動等のグループ活動やコミュニティー活動を支援します
  • スポーツとレクリエーション資材を提供します

水と衛生

被災住民が避難先で安全な水を利用できるようにすることは緊急課題です。給水システムは洪水と地滑りによって被害を受け、水も汚染されました。

活動:(推定費用 15万ドル)

  • 最低5つのコミュニティーに給水設備を建設します
  • コミュニティーのメンバーを組織し、給水設備の修理と維持管理に関して研修を行います

予算

項目
内容
費用(米ドル)
教育 学校とデイケアセンターの建設設備、備品、学習資材、学校パックの提供
200,000
保健と栄養 保健センターの建設。設備、医療設備、情報・教育・コミュニケーション資材、家庭用保健パックの提供
150,000
水と衛生 給水設備の建設設備の維持管理のためのコミュニティーの組織化と研修
150,000
子どもの保護 心理社会的支援に関する研修レクリエーション・ライフスキル活動の実施スポーツ・レクリエーション資材の提供
70,000
合計  
570,000

支援目標

瓦礫の中でギンサウゴン村の子どもが遊んでいます

ユニセフの災害直後の支援活動は、避難所での病気の予防に貢献しました。ユニセフはまた、親と離れ離れになった子どもや人身売買の脅威から子どもを守る必要性に関して、コミュニティーの意識を高めました。

ユニセフの今後の支援活動では、次のような成果が見込まれます。

  • 避難している約4,000人の子どもが学校へ戻ります
  • 被災した1,500世帯が基本的な保健サービスを利用し、子どもの基本的なニーズを満たすことができるようになります
  • 子どもを含む生存者500人が通常の生活に戻れるようにします
  • 少なくとも5つのコミュニティーが安全な水を利用できるようになります。