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財団法人日本ユニセフ協会




スーダン・ダルフール緊急支援情報 第10報
現地スタッフからの報告 〜子どもを守らねば〜

ユニセフ・子どもの保護担当官のジェイムス・グレイは1年半の間ダルフールで活動しています。悪化する一方の現地の状況を報告します。

【2006年5月、西ダルフール発】

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©UNICEF Sudan/2006/Grey
スーダン・ダルフール。ユニセフの支援により作られた「子どもにやさしい空間」で遊ぶ子どもたち。

ダルフールではこの時期、気温が急激に上昇し、夕方になると、ハブーブと呼ばれる砂あらしが砂漠を駆け巡り、巻き上げられた砂は太陽を覆い隠し、すべてをぼんやりとした黄色に変え、数メートル先も見えないような状態になります。

ダルフールの紛争により家を失った人々のための避難民キャンプは、厳しい天候からはほとんど守られていません。数本のつっかえ棒とビニールシートで熱い太陽の光をさえぎることはできても、和らぐことのない暑さと砂埃を防ぐのには役に立ちません。ここでの生活は大変過酷で、その状況は日々悪化しています。

  • 村々への襲撃は続いており、ここ数ヶ月間で、新たに20万人以上が避難民となりました。
  • ダルフールの広い地域において、人道支援機関の活動ができない状況です。
  • 栄養不良が蔓延しつつあります。
  • 多くの国連機関や援助団体が慢性的な資金不足に直面しているために、食糧配給の規模が半分に削減されました。

人道支援の必要性がさらに高まっているにもかかわらず、多くの組織は活動規模を縮小せざるを得ない状況に追い込まれています。そして、一番苦しむのは子どもたちです。ダルフールの子どもたちの命を守るための活動、教育、子どもの保護といった分野でユニセフが活動を続けるためには、早急に資金が必要です。

子どもたちをもっと守らねば

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©UNICEFSudan/2006/Grey
ブランコで遊ぶ避難民の幼い男の子。

ユニセフは最近まで、ダルフールの広い地域で活動することができていました。学校に通う子ども達の数は記録的なもので、また、子ども達の健康状態も改善してきていました。避難民は水や衛生設備(トイレ)を利用することができました。

ユニセフは今、深刻な結果を招きかねない新たな壁に直面しています。その壁とは、資金不足によりユニセフのダルフールでの支援活動を縮小しなければならない可能性があるということです。子どもたちは、病気や虐待、暴力などに対してもっとも弱い立場におかれており、支援の縮小が彼らに与える影響は多大なものです。

ダルフールの15万人以上の子ども達が、ユニセフの支援する「子どもにやさしい空間」に来ています。そこで子どもたちは、紛争中の悲惨な体験と向き合うための支援を受けています。ここに来る子ども達の多くは、目の前で家族がレイプされたり、殺されるのを目撃しており、彼ら自身も、暴力を受けた経験があります。子ども達はみな、住んでいた家や村から逃げることを余儀なくされ、現在は避難キャンプで生活しています。

これは子どもが送るような生活ではありません。しかし、「子どもにやさしい空間」はこのような環境で生きる子ども達に、他の子どもとふれあい、遊び、自分に自信をつけさせるための機会を提供しています。

資金が集まらなくては、ユニセフが支援できる子どもの数は劇的に減少するでしょう。さらに多くの避難民がキャンプに到着し、暴力事件が引き続き激増し、子ども達が兵士として雇用されているという報告が増加する中、ユニセフは子ども達を守るための活動を縮小するのではなく、拡大していかなければならないのです。

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◇ 募金のお願い ◇

日本ユニセフ協会では、スーダンをはじめ人道危機に対するユニセフの支援活動を支援するための募金を下記の口座にて受け付けています。皆様のご協力をお願い申し上げます。