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財団法人日本ユニセフ協会




 

スマトラ沖地震・津波情報

ユニセフ事務局長、キャロル・ベラミー
国連高官のトップを切って被災地のニーズを確認
(第10報)

ユニセフ事務局長・キャロル・ベラミーは、国連機関の長のトップを切って、現地時間2日、スリランカの首都コロンボに到着。同国東海岸と南部の被災地、翌3日には北部の被災地を訪問。ユニセフスタッフや現地政府機関等と、今後の救援活動について協議し、同夜、次の訪問地インドネシアに向かいました。

スリランカを発つ直前(現地時間3日18:00)、首都コロンボで開かれた記者会見で、ベラミー事務局長は以下のように述べています。

「ユニセフの事務局長として、私の最大の関心事は子どもにあります。地震・津波の発生直後、ユニセフは被災者の少なくとも3分の1は子どもであると推測しました。しかし、今回の現地視察の後、私は、この数字は余りにも低かったと信じています。被災各地の避難民キャンプで私が出会った子どもの数が、その他の避難民の数と比べて、余りにも少なかったのです」

「先週、ユニセフは、孤児になったり家族と離れ離れになっている子どもがいるのではないかと訴えました。どうやらその数も、我々が当初予想していたよりもずっと多いようです。北部だけで3,000人が新たに孤児になっていると聞きました」

「しかし、一つだけ我々が当初予想したものと変わっていないものがあります。それは、被災各地で現時点において一番必要なのは、安全な飲料水、(水を汚染しないようにするためのトイレなどの)適切な衛生環境、そして十分な医薬品です。例えば、ユニセフは、被災3日以内に、15万人分の緊急医療支援キットを提供し、既に活用されています。」

「私が今回訪れた、マタラ、バティカロア、アムパラ、マライティヴの全ての地域に救援の手が確実に届いています。救援物資が運び込まれ、安全な飲料水が飲まれていました。また、(政府機関・NGO・国連機関などの)様々な機関が非常にうまく役割を分担している場所もありました。ユニセフが、スリランカ政府独自の救援活動のお手伝い役を果たしていることを、大変うれしく思います。」

「しかし、『最も困難な仕事』は、実はまだこれからだということを肝に銘じなければなりません。まだ救援活動が行き届いていない地域があります。そして、生き残った人たちの苦しみは、言葉に出来ないほど深刻です。」

「ユニセフは、この2〜3日の間に、他の国連機関と合同で、国際社会に対し、今回の地震・津波被災国支援のための正式なアピールを発表します。ユニセフは、子ども達を感染症などの脅威から守り、生き延びさせ、再び学校に通わせ、明るい将来を描くことができるように支援するために、スリランカだけで最低4,000万ドル(約41億円)が必要だと見込んでいます。ですので、被災国全てでの支援活動費用は、1億2,000万ドル(約123億円)に及ぶ可能性もあります」

「大統領との会見の後、今夜インドネシアへ飛びます。インドやスリランカでの救援活動は軌道に乗りつつありますが、インドネシアではまだまだ大変な課題を抱えています」

「しかし、インドであろうとスリランカであろうと、モルディブであろうと、タイであろうと、津波の被害を受けた全ての国で、『とほうにくれた津波世代』になってしまった子ども達に光ある将来を取り戻させるために、やらなければいけない4つの基本的な事があります。ここで、私が敢えてこれを強調するのは、現在実施されている救援活動が長期的にみても成功裏に行われるためにも、全ての救援活動は、最初から子どもを視野に入れておかなければならないと信じるからです。」

「まず、子ども達を生存させるための支援が必要です。安全な飲料水、適切な衛生環境、栄養、基礎的な医療ケア。これらは基本中の基本ですが、その重要性は強調しても強調しすぎることはありません。津波を生き延びた子ども達を生き延びさせ、健康でいさせることが、私たちの最重要課題であるべきです」

「2番目には、保護者と離れ離れになった子ども達へのケア。全ての被災地で、一人ぼっちになっている子ども達を探し出し、親族やコミュニティーの大人たちと再会さなければなりません」

「3番目に重要な事は、子ども達を搾取から守ること。今回のような家族が散り散りになり、人々の収入が無くなり、尊厳や希望を失ってしまうような混乱状態では、子どもは普段以上に搾取の被害に遭いやすくなります。私たちの救援活動は、ですから、そういった子どもの脆弱性を軽減し、子ども達が再び世の中に信頼を持てるようにするような形で計画され、実施されなければいけません」

「そして、子ども達がトラウマから回復できるように、彼らを一刻も早く学校に戻すことが必要です。学校を再建し再開する事ほど、子ども達に、世界には「希望」があることを明確に示すものはありません。何かを学ぶ場に居ることで、子ども達は前向きな事に没頭することが出来ます。津波で完全に消え去った村で、ある女性がユニセフに訴えました:『トラウマに苦しんでいる子どもにとって、学校こそが最善のお薬なんです』」

「ユニセフは、世界中で救援活動を支援し実施してくださっている全ての方々に、救援活動を実施してゆく中で、この子ども達のための4つの優先課題を共有してくださるよう呼びかけます。私たちは、ユニセフの資金をこれらの優先課題のために使いますし、被災国政府やNGOなどのパートナーが同様に活動することを支援してゆきます。ユニセフは、被災地の多くの現場で、この4つの分野での国際的な支援活動の調整役を任っています」

「今回のスリランカ訪問は、とても心打たれました。これほど多くの人の衝撃的な死や、それよりも多くの人々が信じられないような状況で生き延びたことを想像すると、人の命がいかにはかなく紙一重なものなのかということを、今一度強く感じるところです。中でも、南東部の海岸で出会った、津波に流された子どもの遺体が海から打ち上げられるのではと、ただ海岸に立ち尽くすご家族の姿には、痛烈に心を打たれました」

「まだまだやならなければならないことが山積みです。今回被災された全ての国に対して私がお約束できるのは、ユニセフは今後長期に渡って、皆様と共にこの課題に取り組んでゆくということです。私たちはまた、この世界的な悲劇の光景に心を痛められた全ての方々に、ユニセフが今申し上げた『お約束』を果たすことが出来るよう、力強いご支援をお願いする次第です」

ユニセフは、1月3日、当面の救援活動費用として8,159万米ドル(約84億円)が必要になると発表。
国際社会から一層の支援を求めている。

内訳:

インドネシア30,912,000米ドル(約31億8000万円)
スリランカ25,032,000米ドル(約25億8000万円)
モルディブ16,436,000米ドル(約16億9000万円)
タイ2,716,000米ドル(約2億8000万円)
その他の地域6,496,000米ドル(約6億7000万円)
但し、現地時間3日夜、スリランカの記者会見でベラミー事務局長が述べたように、今後、現地状況が更に明らかになるに従い金額は逐次更新される。

 

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