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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第62報
学びを促進する子どもたち ザータリ難民キャンプ

【2013年9月12日 ヨルダン発】

ヨルダンのザータリにある難民キャンプで、同年代の子どもたちや保護者に、学校に戻って学ぶことの意義と大切さを伝えるモゾウンちゃんとグループの仲間たち。(英語)

女の子グループが、ある目的をもって、校門の外へ歩み出ました。彼らは新学期に合わせて、同年代で学校に通えていない子どもたちを学校に呼び戻すという役割をもってます。12万人のシリア難民が身を寄せるザータリ難民キャンプにおいて、14才のモゾウンは、12才から15才の30人から成るグループの子どもたちと共に、子どもや保護者への教育を促進しています。

彼女は、キャラバンの外で、手を洗う母親とその子どもたちに出会いました。彼女はあまりにも熱がこもってしまい、言葉ではとても表現しきれません。そこで、彼女はメッセージを手渡すことに決めました。

「私は教育が大好きで、その重要性を認識しています。人々は他の人と善い事を共有していくべきなのです。」

著名な方からのサポート

© UNICEF Jordan/2013/Noorani
ユニセフが支援する難民キャンプの学校で、先生の質問に答える、11才のザイナブ。ユニセフの「バック・トゥ・ラーニング(再び学ぼう)」キャンペーンは、教育関係者やコミュニティ、宗教指導者とともに進められています。

ザータリには、学齢期にある3万人の子どもたちに対応できる基盤があります。キャンプの宗教的指導者も、教育を促進するチームに加わりました。テント式モスクでは、そのキャンプにいるイスラム教の導師イマームであるアブ・オマルが、教育の価値について語ります。彼の金曜日の説教は、熱意を持って伝えられました。「私はあなた方にあることを再認識してもらいたいと思います。」100人を超える群集に対し語りかけます。「教育を通して、あなたは最も高い目標に到達できるのです。」

危機状況下において、学校に行くことは安全と一時の休息を与えられます。学びの場によって、子どもたちはある一定の日常を取り戻し、希望を感じられるようになります。

「子どもたちがシリアの社会をつくって、その核となっていくのです。だからこそ、私たちは、子どもたちが科学や道徳、文化、宗教などの教育を受ける必要があると考えるのです。」

退学する子どもたち

© UNICEF Jordan/2013
難民キャンプに身を寄せる母親に、学校へ戻ることの重要性を語る、14才のモゾウン(写真中央、黄色のベスト着用)

新学期に子どもたちを学校に戻すことが重要な一方で、子どもたちを学校に通学し続けられるようにすることも同じくらい重要です。前学期には、あらゆる事が原因で、出席率が下がり続けました。特に通学時の安全-特に女の子-が懸念されていたのも、大きな要因のひとつでした。

11才のドゥハのように、一番近い学校まで2キロの道のりを歩く子どもたちもいます。保護者に安心してもらうために、子どもたちが集まる集合ポイントを決め、教師と一緒に集団登下校の方法が用いられています。
「彼らは何の問題もなく学校に行って帰ってきます。だから、今、私は安心して別の用事をする機会が得られます。」ドゥハの父親であるムスタファは語ります。

このような難しい情勢下において、教育は最優先事項とされない可能性もあります。「このキャンプにたどり着いたとき、子どもの学校のことはすっかり忘れていました。」アブ・ラエドは言います。「一番の関心事は、今、シリアで何が起きているかを知ることだけでした。

教育への再認識

ある日、モゾウンと彼女の仲間はアブ・ラエドのキャラバンを訪れ、力強い言葉を残しました。「バック・トゥ・スクール・キャンペーンを知り、子どもたちの教育について考えさせられました。」アブ・ラエドは続けます。「まずは、道端にたむろしている子どもたちを立ち退かせます。そして、彼らを学校に通わせ、学べるようにします。最終的には認定証を手にするのです。」

アブ・ラエドの息子モハメッドは、ザータリにある3つの学校に通う1万1396人の子どもたちのうちの一人です。彼は新学期を楽しみにしています。「父が学校へ通えるように手続きをしてくれて、とてもうれしいです。もう、学校に通うかわりに道端で時間をつぶすことはありません」と彼は言います。