メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

「子どもへの暴力は止められる」
ユニセフ、名古屋で訴える

【2014年9月15日 名古屋発】

「子どもへの暴力は世界中に蔓延しているが問題として認識されていない」「見えていないものを見えるようにすることが重要」と訴えた、ユニセフ本部子どもの保護部門チーフのスーザン・ビッセル局次長。
© 日本ユニセフ協会
「子どもへの暴力は世界中に蔓延しているが問題として認識されていない」「見えていないものを見えるようにすることが重要」と訴えた、ユニセフ本部子どもの保護部門チーフのスーザン・ビッセル局次長。

9月14日(日)から4日間の日程で開催された「子ども虐待防止世界会議 名古屋 2014」(主催:国際子ども虐待防止学会(ISPCAN)・一般社団法人日本子ども虐待防止学会 (JaSPCAN)。基調講演者として招待された、ユニセフ本部子どもの保護部門チーフ(局次長)のスーザン・ビッセルは、さまざまな形態の子どもへの暴力が国境や文化を問わず世界中に蔓延している実態を報告。これらの暴力を根絶するため、6つのアクションを提唱しました。

不幸な真実

世界会議の10日前、ユニセフは、世界に蔓延する子どもへの暴力に関する統計データをまとめた『子どもへの暴力防止キャンペーンレポート』を発表。ビッセル局次長は、この報告書が伝える7つの“不幸な事実”を説明しました。

ひとつ目は、暴力が子どもの主要な死亡原因の1つになっているという事実。「いつくかの国では、幼児期に病気などの脅威から救われた命が、10代を中心に被害にあっている暴力(殺人)によって失われてしまっています。子どもの生存とは、病気の予防に限られた話ではないのです」。第2に、最も一般的な暴力は、家庭でおきているということ。「残念なことに、子どもが最も安全と感じるはずの場所が、全く正反対の場所になってしまっているのです」と、暴力的なしつけが広く行われている現実を伝えます。第3に、子どもたちの間にいじめやけんかが広範に広がっていること。こうした状況は、所得の多寡に関わらず多くの国に共通で、暴力が行われる場所も、教室や公園などの“実空間”のみならず、新興国や開発途上国を含めインターネット上にも広がっています。

4つ目は、世界で1億2,000万人の女の子・若者が性的暴力の被害にあっているという事実。5つ目に、若い花嫁たちが、より暴力の被害にあいやすいということ。「私たちは、頭では児童婚は終わらせなければならない、とわかっていましたが、この報告書は、その理由を数字で裏付けてくれているのです」

社会通念の壁

9月14日から17日に開催された子ども虐待防止世界会議には、国内外から2,000人を超える専門家や国際機関、NGO、市民団体等の方々が参加。ビッセル局次長の基調講演にも、1,000人を超える方々が参加された。
© 日本ユニセフ協会
9月14日から17日に開催された子ども虐待防止世界会議には、国内外から2,000人を超える専門家や国際機関、NGO、市民団体等の方々が参加。ビッセル局次長の基調講演にも、1,000人を超える方々が参加された。

6つ目に、暴力を受けた子どものうち半数以上が、だれにもそれを訴えていないという事実があります。「多くの子どもたちが、暴力を受けたことを恥ずかしいこと、また、自分に責任があると考えてしまっているのです。暴力の被害を訴える窓口がないことも問題です」そして最後に、暴力を容認する社会通念が、子どもたちを危険にさらしているということを指摘しています。「一部の国では男の子より女の子たちが、夫が妻をたたくことを“あたりまえ”と考えていること、まさにそれが現実なのです」ビッセル局次長は、妻への暴力や、暴力的なしつけなどが、多くの国において社会で広く受け入れられているという事実を訴えました。

6つの戦略

「これらの不幸な現実がある一方、“子どもへの暴力は避けられないものではない”−そう信じて、私たちは仕事をしています。実際、さまざまな取り組みが一定の効果を生んでいることも実証されています」ビッセル局次長は、『子どもへの暴力防止キャンペーンレポート』と同時に発表された報告書『予防のための戦略』に書かれた、7つの不幸な事実を克服するためにユニセフが提唱する6つの戦略を紹介しました。

第1は、保護者や家族への支援を行うこと。特に若い親たちに、暴力的しつけに頼らない方法を伝えること。次に、子どもや若者自身に、暴力以外の問題の解決方法を身につけてもらうこと。3つ目は、人々の考え方を変えること。「社会通念、人々の考え方は変えられます。それは時間のかかることですが、情報通信技術の進歩により、その変化を加速することができるのです」4つ目に、被害を受けた子どもがそれを報告し、保護を受けられるサービスを提供すること。5つ目に、子どもを保護する法律や政策を着実に履行・実施すること。『予防のための戦略』では、すでに成果を上げている事例も紹介されています。

日本にも警鐘

戦略の6つ目は、データ収集と調査を行うことです。「まず“数える”、すなわち“見えていないものを見える”ようにしなければ、何も始まらないのです」とビッセル局次長は強調しました。データを把握することで、はじめて、子どもを暴力から守る有効な予防策、対応策をとることができます。また、出生登録はすべての子どもがもつべき“保護へのパスポート”であると述べ、「すべての子どもを数えなければなりません。そして、この日本にも“数えられていない子”がいると聞いています」と、昨今頻繁に報道で伝えられている「無戸籍」や長期間にわたり行方がつかめていない子どもたちの問題にも警鐘を鳴らしました。

国際社会全体の課題

子どもへの暴力防止キャンペーンレポート
統計版“白昼の死角”   予防のための戦略
統計版“白昼の死角”   予防のための戦略

講演の最後、ビッセル局次長は、力強く訴えました。「世界の子どもへの暴力を根絶することは、大きなチャレンジです。しかし、6つの戦略が有効であることはわかっています。そして、創造力とイノベーションを駆使すれば、暴力を止める手立ては、この他にもたくさんあるはずです。ユニセフはこれからも、“見えていないものを見えるようにする(Make the invisible, visible)”ことを手始めに、子どもへの暴力の防止に国際社会が総力で取り組んでいけるよう、さまざまな活動や働きかけを続けてまいります」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る