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ユニセフ協会からのお知らせ

緊急声明 児童ポルノは児童の性的虐待の記録
単純所持の規制を含めた早急な法改正を!

【2011年8月9日 東京発】

日本ユニセフ協会は、衆議院法務委員会が、本日(9日)、「児童買春・児童ポルノ禁止法」改正のための審議を始めるにあたり、緊急声明を発表しました。

緊急声明
「児童ポルノは児童の性的虐待の記録。
単純所持の規制を含めた早急な法改正を!」

公益財団法人 日本ユニセフ協会

© 日本ユニセフ協会
児童ポルノの単純所持規制を求める117万を超える国民の声も、8月4日、国会に提出されています。

公益財団法人日本ユニセフ協会は、衆議院法務委員会が、本日、「児童買春・児童ポルノ禁止法」改正のための審議を始められることを歓迎するとともに、今後の国会審議を通じて、いわゆる「単純所持」を含めた子どもの権利の保護を最優先にした法改正が実現するよう求めるため、ここに緊急声明を発表いたします。

当協会は、1997年以来、児童買春や児童ポルノ問題の根絶を目指し、新法(「児童買春・児童ポルノ禁止法」)の制定を国会に請願。1999年に議員立法で同法が成立した後も、更なる子どもの保護を推進するための改正を求めるキャンペーンを実施してまいりました。本法は、2004年に、出版・印刷されたもののみならず、コンピューター上の児童ポルノ(電磁記録)もその規制の対象にすることなどを内容にした改訂がなされましたが、その後急速に発達したネット社会に全く対応しえない現実に直面しています。

当協会は、事態の打開のため、昨年5月、来日中のユニセフ アンソニー・レーク事務局長の賛同を得て、「児童ポルノ根絶のための国民運動」を発足させ、全国知事会や連合はじめ、国内主要90団体のご協力の下、児童ポルノの購入、入手や単純所持の禁止が不可欠である旨を訴え、法改正に賛同を求める署名活動を実施して参りました。この活動は大きな反響を呼び、予想をはるかに超える117万人以上の賛同者のご署名を頂きました。

 日本ユニセフ協会は、この度の法改正の機運を捉え、8月4日、この貴重な国民の生の声を国会にお届けすべく、西岡武夫参議院議長に提出し、同日、横路孝弘衆議院議長を表敬し、一日も早い法改正の実現を要請いたしました。

奇しくも今回署名を提出いたしましたその日、警察庁は、平成23年上半期の子どもが被害者になる児童ポルノの摘発件数は、前年同期比9.1%増の649件、被害児童は14.4%増の310人で、いずれも過去最多になったと発表しました。

ファイル共有ソフトなどの新たなツールの出現により、大量の児童ポルノ画像・映像が、有償・無償に関わらず、インターネットを通じ、国境を超えてやりとりされています。こうした問題に対応するために、国際社会は、単純所持の規制(既に70カ国以上が「単純所持」を禁止)のみならず、児童ポルノ画像・映像の閲覧行為さえも規制するべきだとの方向性及びアニメーションや漫画などの形で子どもに対する性虐待行為を描いたものさえも規制すべきとの方向性を打ち出しています(2008年「第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」)。また、欧州評議会(Council of Europe)は、2007年に締結した「子どもの性的搾取および性的虐待からの保護に関する条約」で児童ポルノの定義に実在しない子どもの性虐待を描写したものも含めています。

国際的にこうした方向での動きが進む中、実在する子どもの性的虐待の記録である児童ポルノのいわゆる「単純所持」すら全く規制していない現状の日本の「児童買春・児童ポルノ禁止法」は、実際に性虐待行為という犯罪の被害に遭った、またはその脅威に晒されている子どもたちを守ることすら出来ていない状況です。

「あの写真がどうなったのかを考えると恐ろしくて・・・リストカットや自殺未遂を何度も繰り返しました。」「児童ポルノが簡単に手に入る世の中では私はとても過去を忘れることはできません。自分の人生は終わってしまったように感じます。もし、世の中を変える力のある人がいるのなら、どうか私を助けてください。」これは、私どもの元に寄せられた、児童ポルノの被害者の声です。

「子どもの権利の保護」という大目的のために作られた「児童買春・児童ポルノ禁止法」。日本のみならず、世界の子どもたちを、性的虐待という、最も悪質な子どもの権利侵害行為から守るため、国会が本当の世論に耳を傾け、「単純所持」を含めた子どもの権利の保護を最優先にした法改正を実現するよう、ここに強く要望いたします。

以上

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