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日本ユニセフ協会

ストーリー

新型コロナ対応、命を守るための支援
さらに取り組み加速へ 個人用保護具(PPE)、ワクチン、ウルトラ・コールドチェーン

2021年11月11日発

新型コロナウイルス感染症への対応を開始した2020年1月以来、ユニセフは、刻々と変化する状況に迅速に対応しながら、命を守るための医療・衛生物資や技術・財政支援を、世界各国に届け続けています。

個人用保護具などのユニセフ支援物資がエチオピアに届いた様子。(2021年1月)

©UNICEF/UN0411496/Tesfaye
個人用保護具などのユニセフ支援物資がエチオピアに届いた様子。(2021年1月撮影)

感染予防のための物資、6億点以上を現地へ

© UNICEF/UN0499007/ Bhardwaj
新型コロナ感染症の検体を取り扱うため、個人用保護具(PPE)を着用する医療従事者(インド、2021年5月撮影)

世界的な感染拡大が始まった2020年初期、感染防止のための「個人用保護具(PPE)」の需要が急増しました。それにより、各国間で取得競争が激化し、供給が厳しくなっていました。この状況を改善するために、ユニセフは13ある国連機関を代表して共同入札を行い、品質保証されたPPEの供給に関する長期的な協定を締結しました。これにより、価格や入手のしやすさが改善されただけでなく、この先同じような世界的危機が起きた際にもPPEが在庫切れとなるリスクを未然に防ぐ仕組みができました。

個人用保護具(PPE)は、医療用マスク・ガウン、ゴーグル、手袋、フェイスシールドなどが含まれ、第一線で働く医療従事者やエッセンシャルワーカーが使用します。医療従事者を感染から守ることは、母子医療プログラムや子どもの定期的な予防接種など、幼い命を守る保健医療の継続にもつながります。

ユニセフは2020年1月からこれまでに、世界140カ国に計6億点以上の個人用保護具を届けてきました。下記はその一例です。

世界でのPPE需要は、依然として高いままです。ユニセフは、PPEの調達と輸送において、引き続き重要な役割を果たしていきます。

低中所得国におけるワクチン接種を支援

日本政府がCOVAXファシリティを通じてネパールに提供した新型コロナワクチンの貨物が、ネパール・カトマンズにあるトリブバン国際空港に到着した様子(2021年8月23日撮影)

© UNICEF/UN0506807/Dhakal
日本政府がCOVAXファシリティを通じてネパールに提供した新型コロナワクチンの貨物が、ネパール・カトマンズにあるトリブバン国際空港に到着した様子(2021年8月23日撮影)

新型コロナウイルスワクチンの公平な分配を目指す国際的枠組み「COVAXファシリティ」において、ユニセフは2021年2月以降、世界144カ国にワクチン4億4,180万回分を供給しています。(2021年11月3日時点)

COVAX ファシリティによる今年9月時点の供給予測によると、低所得国において、計約12億回分の接種が2021年末までに可能になる見込みです。これは、インドを除く92の対象国において、人口の20%、成人の40%への接種に必要な数を上回ります。COVAXファシリティが目指す重要なマイルストーンである20億回分の供給は、2022年の第1四半期中に達成となる見込みです。

また、COVAXを通じたワクチン供給が開始された2021年2月以降、ユニセフは、注射器5億本以上と、接種後に注射器を安全に廃棄するためのセーフティボックス450万個なども現地に届けています。そして、医療従事者への研修を通じて、特に低中所得国におけるワクチン接種事業を支援しています。

ウルトラ・コールドチェーン

©UNICEF/Egypt 2021/Jonathan Crickx
ウルトラ・コールドチェーン用の冷凍庫。容量は1台につき868リットルで、ファイザー社製のワクチン30万回分を収納可能。部屋には全部で6台の冷凍庫があり、180万回分のワクチンを保管することができる。(エジプト、2021年10月撮影)

ユニセフは、新型コロナワクチンが開発段階だった2020年から、承認後に備えて、ワクチン供給・輸送のための準備を進めてきましたが、その一つが、ワクチンの安全な輸送に欠かせないコールドチェーン(ワクチン低温輸送システム)です。コールドチェーンを確立しなければ、ワクチンを用意しても予防接種につなげることができず、最悪の場合、ワクチンが廃棄になる可能性もあります。

ユニセフの物資調達部門は、ワクチンのコールドチェーン設置に関して数十年にわたる経験と知見を有し、安全で継続的な予防接種を展開するため、世界各地にワクチン用冷蔵庫・冷凍庫を調達・納入してきました。けれども、ファイザー社製ワクチンのコールドチェーンは従来とは全く異なるもので、-60℃から-80℃の「超低温」を保つことが不可欠なため「ウルトラ・コールドチェーン」と呼ばれています。

「ウルトラ・コールドチェーン」の設置に携わったユニセフ・エジプト事務所のオリバー・ペトロヴィッチは、「納入した冷凍庫は、非常に特殊な取り扱いと保管条件が要求されます。例えば、1台あたり350キロ以上の重量があるため、垂直に保ったまま輸送・移動する必要があります。また、安定した電力供給のために発電機が必要であり、保管する部屋の温度は常に20℃前後でなければなりません。」と語ります。

さらに、新型コロナ禍により世界中の輸送網が混乱し、ワクチン確保の状況も日々変化する中で、非常に限られた期間の中で導入を行う必要もありました。

「ウルトラ・コールドチェーンの設置に向けて、私たちは短期間で非常に多くのことを学ばなければなりませんでした。加えて、政府の保健省や人口省の職員に、機器の扱い方など必要な知識や情報を共有する必要がありました。冷凍庫の調達を始めたときは間に合わないかもしれないとの考えがよぎりましたが、24時間体制で協力して仕事をし、最終的にワクチンの受け入れに間に合わせることができました」とペトロヴィッチは振り返ります。

今も世界各地で、新型コロナ危機への対応は続いています。ユニセフは、COVAXファシリティの新たな目標である「低・中所得国の国々へ30億回分のワクチン供給」を目指して、パートナーとともに取り組みを加速させてまいります。

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