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日本ユニセフ協会

プレスリリース

はしか予防接種
未接種の子どもの数、過去20年間で最大の増加
はしかの感染拡大の危険性も

2021年11月10日ニューヨーク

世界保健機関(WHO)と米国疾病予防管理センター(CDC)の新しい報告書によると、報告されたはしかの症例数は例年に比べて減少しているものの、はしか根絶に向けた進捗状況は芳しくなく、感染拡大のリスクが高まっています。

未接種の子どもの数、過去20年間で最大の増加

はしかと風疹の予防接種を受ける男の子。現地のユニセフ事務所は、子どもの定期予防接種の支援をおこなっている(モザンビーク、2021年9月撮影)

© UNICEF/UN0535745/Lemos
はしかと風疹の予防接種を受ける男の子。現地のユニセフ事務所は、子どもの定期予防接種の支援をおこなっている(モザンビーク、2021年9月撮影)

2020年、2,200万人以上の乳児がはしかワクチンの初回接種を受けることができませんでした。2019年と比較すると300万人多く、過去20年間で最大の増え方であり、感染拡大が起こるかもしれない危険な状況に陥っています。

2019年と比較して、2020年に報告されたはしかの症例数は80%以上減少しました。しかし、検査のために研究室へ送られた検体の数は過去10年以上で最も少なく、はしかの監視体制が弱まり、検査、報告の数が少ないために、各国はこの感染力の強い病気の感染拡大を防ぐことができない可能性があります。はしかの大規模な感染拡大は26カ国で発生し、2020年に報告された全症例の84%を占めています。

2020年、はしかワクチンの初回接種率が低下しました。また、2回目を接種した子どもの割合は70%に留まっており、はしかウイルスの蔓延からコミュニティを守るために必要と言われている95%の接種率を大きく下回っています。世界的なワクチン格差の悪化に加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、2020年に23カ国で予定されていた24のはしか予防接種キャンペーンが延期され、9,300万人以上の人々がはしかのリスクにさらされています。

COVID-19のパンデミックは、世界中の多くの地域で、予防接種サービスに大きな支障をきたし、健康を求める行動にも変化をもたらしました。COVID-19を緩和するために用いられた対策(マスク、手洗い、社会的距離)は、はしかウイルスの蔓延を抑える効果もありますが、国や世界の保健パートナーは、はしかの爆発的な感染拡大や予防可能な死亡のリスクを減らすために、子どもたちへのワクチン接種を優先しなければなりません。

はしかは予防可能な感染症

はしかの予防接種を受ける6歳の女の子。ユニセフは、未接種の子どもたちが予防接種を受けられるように、「予防接種の日」を設けて予防接種を呼びかけるなど、様々な予防接種キャンペーンを実施している。(ベネズエラ、2021年9月3日撮影)

© UNICEF/UN0517738/Poveda
はしかの予防接種を受ける6歳の女の子。ユニセフは、未接種の子どもたちが予防接種を受けられるように、「予防接種の日」を設けて予防接種を呼びかけるなど、様々な予防接種キャンペーンを実施している。(ベネズエラ、2021年9月3日撮影)

はしかは、世界で最も感染力の強いウイルスの一つですが、ワクチン接種によってほぼ完全に予防することができます。

過去20年間で、はしかワクチンは世界で3,000万人以上の死亡を回避したと推定されています。2000年のはしかによる推定の死亡者数は約107万人でしたが、2020年には6万700人まで減少しました。

また、2020年のはしかの推定感染者数は、世界全体で750万人とされています。

コミュニティ内でのはしかの感染は、ワクチン接種率が低いことを示す明確な指標であるだけでなく、最もリスクにさらされている人々に重要な保健サービスが届いていないことを示す指標、すなわち「トレーサー」としても知られています。

ユニセフ予防接種部門アソシエイト・ディレクターのエフレム・テクル・レマンゴは「パンデミックの前から、はしかが根絶されたと考えられていた国も含めて、はしかのワクチン接種率が低い地域において、前例のない感染拡大を引き起こす可能性があることは分かっていました。COVID-19は、過去数十年で前例のないペースで、ワクチン格差を拡大させています。まだ感染者数の増加は見られませんが、はしかは非常に感染しやすい病気です。私たちが行動を起こさなければ、ワクチン格差は感染拡大の原因となり、多くの子どもたちが予防可能にもかかわらず、病気によって死に至る可能性があります」と述べました。

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