2021年12月7日ニューヨーク発
12月7日に始まった『東京栄養サミット(Tokyo Nutrition for Growth Summit)』において、ユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアがおこなったスピーチ内容を以下にお伝えします。
* * *
3人に1人は栄養不良
ユニセフを代表して、日本政府によるこの重要なサミットの開催と、栄養に関する日本の世界的なリーダーシップに、心からの感謝を申し上げます。
栄養における進歩は実現可能なことであり、実際に世界は大きく前進しています。2000年以降、世界で発育阻害に苦しむ5歳未満児の割合は3分の1減少しました。しかし、このような前進があったにもかかわらず、世界の5歳未満児の3人に1人は栄養不良で、持って生まれた可能性を十分に発揮するための成長、発達、学習ができない状態にあります。
ユニセフはこうした子どもたちのため、前進を加速させる役割を果たすことを約束し、『成長のための栄養』へ向けた3つのコミットメントを表明します。
① 130カ国以上での活動を通じて、あらゆる栄養不良を予防するための食事、サービス、実践を支援する政策やプログラムを提供し、年間5億人以上の子ども、若者、女性に支援を届けることを目指します。これを実現するために、ユニセフは2022年から2025年にかけて24億米ドル以上の資金を確保します。
② ユニセフは「一刻も無駄にしない(No Time to Waste)」イニシアチブを掲げ、30以上の特に優先度の高い国々を支援し、2025年までに年間900万人以上の子どもへの治療を含め、1億人以上の子どもたちに、消耗症の予防、早期発見、治療のための政策やプログラムを提供します。
③ ユニセフは世界保健機関(WHO)と連携し、「子どもの食事のためのグローバル・アライアンス」を立ち上げ、主導することを約束します。このグローバル・アライアンスは、子どもたちの栄養を摂取する権利とニーズに応えるために食料システムを変革する上で、公的機関や民間セクターの関係者がそれぞれの役割に十分な責任を持つよう支援します。
私たちだけでこの目標を達成することは出来ません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が子どもたちの栄養、発達、幸福に与える深刻な影響に引き続き対処していくには、これまで以上に、日本政府を含むパートナーからの継続的な支援が不可欠です。