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公益財団法人日本ユニセフ協会

資料・刊行物 プレスリリース

ユニセフ最新報告書を発表
-何百万人もの女子が女性器切除(FGM/C)の恐れ

【2013年7月22日 ワシントン発】

© UNICEF Video

ユニセフは女性器切除(=female genital mutilation/cutting 以下FGM/C)に関する最新の報告書『女性器切除:統計と変化の原動力に関する調査(仮訳:原題“Female Genital Mutilation/Cutting: A statistical overview and exploration of the dynamics of change”)』を発表し、現在、1億2,500万人以上の女子と女性がFGM/Cを受けており、3,000万人以上の女子が、今後10年の間にFGM/Cを受けるリスクがあることを指摘しています。本報告書は、FGM/Cに関するデータと分析が最も包括的に網羅されている最新の報告書です。

FGM/Cとは、アフリカをはじめとする国々で行われている女の子や女性の性器の一部を切除してしまう慣習です。きわめて強い社会的な規範に支えられおり、心身に及ぼす有害さを知っていても、自分の娘にFGM/Cを受けさせていることが少なくありません。FGM/Cは、女子と女性の人権侵害であるとともに、健康面で長期的な影響を及ぼし、心にも深い傷を負わせています。

■FGMを受けた女子と女性は、29カ国で1億2,500万人以上

今回、ユニセフが発表する報告書によると、FGM/Cが行われている多くの国で大多数の人がこの慣習に反対していることが明らかになりました。

FGM/Cが行われているアフリカと中東の29カ国※での調査から、約30年前と比べ、女の子がFGM/Cを受ける割合は減少していることがわかりました。また、この慣習への支持も減っており、FGM/Cがまだ日常的に行われているエジプトやスーダンといった国々でも、同様の傾向が見られます。

減少がみられるものの、依然として、何百万人もの女子がFGM/Cを受ける危険性があります。報告書は、FGM/Cが個人的で公にしにくい問題でオープンにコミュニケーションがしにくいために、FGM/Cに関する個人的な見解とこの慣習を継続させてきた社会的な義務感との間に、ずれがあると指摘しています。

■FGM/C根絶には、個人と社会が立ち上がることが必要

© UNICEF/NYHQ2009-1477/KATE HOLT
スーダンに住むアマニさんと二人の娘たち。アマニさん自身はFGMを受けたが、娘たちにはFGMを受けてほしくない、といいます。

ユニセフ事務局次長のギータ・ラオ・グプタは「FGM/Cは、女子が持っている健康でいる権利、福祉の権利、自己決定の権利を侵害しています。この報告書で、FGM/Cを禁止する法律のみでは、女子を守れないことが明らかになりました。女子と女性、男子と男性、あらゆる人が声を大にして、そして毅然とこの悪習をやめたい、と意思表示をしなければいけません」と、述べました。

調査によって、女子と女性ばかりでなく、一定の割合の男性と男子も、FGM/Cに反対していることがわかりました。チャドとギニア、シエラレオネの3カ国では、女性よりも男性のほうがこの習慣をやめたいと考えていることが明らかになっています。

FGM/Cが行われている29カ国の半数以上の国々で、母親の世代よりも娘の世代のほうが、FGM/Cを受ける恐れが少なくなっていることもわかりました。ケニアとタンザニアの15〜19歳の女の子は、45〜49歳の女性が同年代だったときに比べ、3分の1になっています。ベナンや中央アフリカ共和国、イラク、リベリア、ナイジェリアでFGM/Cを受けた青少年期(10代)にある女子は、半数以下にも減少しています。

FGM/Cを、事実上、廃止している国やグループがある一方で、FGM/Cが継続されているケースも多く存在しています。FGM/Cを禁じる法律があり、政府やNGOがコミュニティにやめるように働きかけても、女子の心身に深刻な影響を及ぼす慣習は、続けられているのです。

© UNICEF/NYHQ2013-0406/OLIVIER ASSELIN
コートジボワールで、ユニセフとパートナーNGOが主催するFGM/Cに関する啓発イベントで耳を傾ける少女。

ソマリアやギニア、ジブチ、エジプトでは、FGM/Cは依然として広く行われており、15〜49歳の女子や女性の10人のうち、9人以上がFGM/Cを受けています。チャドやガンビア、マリ、セネガル、スーダン、イエメンなどでは、明らかな減少は確認されていません。

報告書は、FGM/Cが行われている国々の多くが法律でFGM/Cを禁止していることを歓迎していますが、法律を補完し、社会的な原動力を活用しながら、社会規範に変化をもたらすような対策を講じるように呼びかけています。

また、市民がFGM/Cへの監視を強め、この習慣を認めている人へ誤解を解くように働きかけることを推奨し、教育こそが社会的な変化をもたらすこと、母親が一定レベルの教育を受けていると娘がFGM/C を受けることが少なくなることも、今回、報告されています。

※FGM/Cが行われている29カ国: ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、ジブチ、エジプト、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、イラク、ケニア、リベリア、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、イエメン

『女性器切除:統計と変化の原動力に関する調査(仮訳:原題“Female Genital Mutilation/Cutting: A statistical overview and exploration of the dynamics of change”)』(英語)はこちらよりダウンロードいただけます[22.7MB]

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