メニューをスキップ
HOME > 協会からのお知らせ2013年
公益財団法人 日本ユニセフ協会

日本ユニセフ協会からのお知らせ

ユニセフ・イノチェンティ研究所 最新報告書発表
『先進国における子どもの幸福度−日本との比較 特別編集版』

【2013年12月25日 東京発】

ユニセフは25日、国立社会保障・人口問題研究所との共著による『イノチェンティ レポートカード11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較 特別編集版』を公表しました。

ユニセフのイノチェンティ研究所は、先進国における子どもの状況をモニターし比較することを目的として、2000年から、『レポートカード』シリーズを公表しています(テーマは毎回異なります)。本年4月、先進国の子どもの幸福度を、5つの分野において順位づけしながら考察した『レポートカード11 先進国における子どもの幸福度』を公表しましたが、日本についてはデータが不足しており、総合評価の対象とされませんでした。その後、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩氏、竹沢純子氏がイノチェンティ研究所と協力して、原文の『レポートカード11』に、比較できる日本のデータを追加して日本の順位を割り出し、日本の状況についての考察を加え、今回の『特別編集版』の公表が可能となりました。

今回の報告書では、初めて、子どもの幸福度に関する5つの分野すべてにおいて日本のデータが含められました*。阿部氏は「本調査は、子どもの幸福度/貧困を、所得という側面だけでなく、生活必需品の有無、健康、教育、日常生活上のリスクといった分野でより直接的、多角的に測っている点でとても貴重なデータを提供しています。今回初めて、日本が国際比較の卓上にのったことは、日本の子どもの状況を客観的に捉える上で非常に重要であり、意義深いことです」と述べています。

*今回と同様のレポートは『レポートカード7』として2007年にも公表されていますが、この時も日本は一部指標のみ取り上げられ、総合評価の対象外でした。

総合順位ではオランダ、北欧諸国に次ぐ6位/分野ごとのばらつきが顕著

日本の子どもの幸福度は、31カ国を対象とした総合順位では、オランダと北欧4カ国(フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)に次ぐ6位と、トップクラスでした。ただし、詳しくみてみると、それらの国々の状況とは少し異なることがわかります。上位5カ国は、全ての分野でいずれも成績がよいのに対し、日本は、2つの分野で1位になった一方で「物質的豊かさ」では21位となるなど、分野ごとに順位のばらつきが大きかったのです。阿部氏は、「5つの分野の成績には全般的に相関関係が認められるので、今回日本の成績がよかった分野も、将来的には悪化する可能性もあり得ます。そのような注意喚起として今回の調査結果をとらえてほしい。」と述べています。

■分野別のハイライト■

<物質的豊かさ> 日本の子どもの貧困、先進国の中でも深刻

出典:『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日 本との比較 特別編集版』

今回の調査で日本の順位がいちばん低かったのが、物質的豊かさの分野です。日本は31カ国中21位(下から11番目)で、子どもの貧困の問題が、先進諸国の中でも深刻な方であることが、あらためて明らかになりました。それぞれの国において貧困状態にある子どもの割合を示す「相対的貧困率」は、14.9%で、下から数えて10番目。また、貧困の深刻度を示す「貧困ギャップ」では、さらに順位を下げ、下から6番目となっています。さらに、子どもの実際の生活水準を比較するために用いられた「子どもの剥奪率」(8品目(本文参照)のうち2つ以上が欠如している子どもの割合)においても、下から11番目と、相対的な所得、物質的剥奪のいずれにおいても、日本は下位に位置づけられる結果となっています。

<健康と安全> 低出生体重児出生率では最下位

健康と安全の分野については、日本の順位は31カ国中16位でした。子どもの死亡率や予防接種率では上位だったものの、低出生体重児出生率(2,500グラム未満で生まれる乳児の割合)で最下位だったことで、分野別の順位が引き下げられる結果となりました。日本は、低出生体重児出生率が70年代後半から2000年代後半にかけ倍増した特異なケースであることも、報告書は指摘しています。その理由としては、低体重の女性の増加、若い女性の喫煙の増加、妊娠中に厳格な食事管理を行う傾向、所得格差の拡大などが挙げられています。

<教育> ニート率、4.1%で10位

教育分野に関しては、日本は、学習到達度(PISAテスト)の順位がフィンランドに次ぐ2位であったことなどから、分野別では、31カ国中で1位となりました。ただし、高等教育を受けている15〜19歳の割合と、就学・就労・職業訓練のいずれも行っていない15〜19歳の若者の割合(いわゆる「ニート率」)においては、どちらも10位と、中位の順位となりました。

<日常生活上のリスク> いじめを受けたことのある子どもは27.4%で12位

日常生活上のリスクにおいても、日本は分野別で1位となりました。この分野を構成する要素のうち、「健康行動」(肥満児の割合、毎日朝食をとる子どもの割合)においても、また、10代の出生率と飲酒という、将来に悪影響を及ぼす「リスク行動」においても、日本はトップクラスの順位でした(10代の出生率(4位)以外は1位)。この分野で唯一、日本の順位が上位ではなかったのが、いじめに関する指標です。日本では、いじめを受けたことがあると答えた13〜15歳の子どもは27.4%で、30カ国中12位。日本の子どもたちの経験しているいじめの問題は、他の先進諸国と比較しても小さくないことが明らかになりました。

<住居と環境> 住環境については中庸

住居と環境分野では、日本は10位でした。住居については、1人あたりの部屋数、住居に複数の問題(項目は本文参照)があると答えた子どもがいる世帯の割合のいずれの指標でも、中位に位置づけられました(それぞれ15、17位)。一方、子どもがおかれた社会環境における暴力の水準の指標として用いられた、年間の殺人発生数(10万人あたり)では、日本は31カ国中2番目に低いという結果になりました。

子どもを支援する政策の推進へ

今回の報告書の基になった本年4月発行の『レポートカード11 先進国における子どもの幸福度』は、各国の状況を詳細に比較した上で、先進国の子どもの貧困は避けられないものではなく、むしろ各国による政策の影響を受けやすい、ということを指摘しました。「日本では本年6月、『子どもの貧困対策の推進に関する法律』が成立しました。本報告書が、日本の子どもの貧困と幸福に関する政策や、子どもの貧困をモニタリングする仕組みについて、何らかの示唆を与えることになり、包括的に子どもを支援する政策の推進につながれば幸いです。」と阿部氏は述べています。

トップページへ先頭に戻る