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世界から“忘れられた緊急事態”〜アグネス大使視察報告2010〜

視察訪問先の治安・安全状況と国連の安全管理(確保)について

この度のアグネス大使によるソマリア視察については、各方面より、現地の安全状況などについてご心配をいただきました。

今回の視察は、20年以上続く内戦などの混乱によって世界で1・2を争うほど過酷な状況に置かれているにも関わらず、世界にあまり伝えられることがないソマリアの子どもたちの現状を日本のみなさまに、そして世界に伝えて欲しいというユニセフ・ソマリア事務所の要請に応える形で実現しました。

今回アグネス大使に訪問いただいたハルゲイサ(ソマリア北西部に位置する、人口規模では首都モガデシュに続く第2の都市)については、2008年10月に国連の事務所などを狙った自爆テロが発生し、国連職員を含む約30名の死者が発生しています。また、2008年から2009年にかけ、ハルゲイサ周辺の地域で、国際NGOの外国人職員の誘拐が3件発生。現地要人を狙った自爆テロ・未遂事件も続いています。日本政府は、アグネス大使が今回訪問した地域を含み、「依然としてテロ・誘拐等が各地で多発していることに十分留意し、ソマリアに渡航することは、どのような目的であれ絶対に見合わせてください」と退避勧告を出しています(http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=110)。

ソマリア南部などで見られる銃撃戦のような状況こそありませんが、国連や外国人を狙ったテロの発生が強く懸念される中、現在、ハルゲイサや周辺部でも、ユニセフを含めた国連は、その活動に従事する職員などの安全確保のため、細心の注意を払うとともに、以下に例示するような安全に関する非常に厳密なルールに従うことを求めています。

・ ハルゲイサに入る前に、国連の安全管理に関する訓練を受けること。
・ 国連の事務所、職員等の宿泊先は、24時間体制の武装警備等、国連の定めた安全基準を満たした施設であること。
・ 日没から日の出まで、宿泊先から外出してはならない。
・ たとえ数百メートル程度の短距離であっても、移動には必ず国連の車両を使う(徒歩移動は厳禁)。

アグネス大使はじめ、視察に同行された報道機関の方々にも、こうしたルールに従っていただきました。また、国連機関の親善大使であるアグネス大使は、同ルールに従い遺書も作成されました。さらに、国連側の指示により、アグネス大使の移動はユニセフの防弾車を使用。日頃から国連の施設等の警備にあたっている現地当局から派遣された10数名の武装警官が、視察団の護衛にあたりました。

ユニセフ現地事務所や当協会では、当初、本視察の訪問地をソマリア国内の複数個所にすべく検討を進めておりましたが、国連のミッションとして位置づけられた今回の視察参加者全員にも既述のルールが適用されることから、万一の際の脱出手段などの安全策が唯一確保できたハルゲイサのみの訪問となりました。

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