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日本ユニセフ協会

報告会レポート

こども庁、子ども基本法、子どもコミッショナー
~子ども施策に子どもの権利の視点を
11月20日開催 オンラインイベント報告

2021年12月2日東京

11月20日、オンラインイベント「日本子どもフォーラム~子どもの権利を基盤とした子ども施策の実現に向けて~」(主催:日本財団、共催:日本ユニセフ協会)を開催しました。(イベントの様子は、動画でご覧いただけます。)

こども庁に合わせ、「子ども基本法」と「子どもコミッショナー」を

貧困や教育格差、いじめや虐待・・・。日本の子どもたちを巡る課題は多様化・複雑化しています。ユニセフが昨年発表した『レポートカード16』でも、日本の子どもたちの精神的幸福度の低さ(先進38か国中ワースト2位)が指摘され、国内でも大きな反響を呼びました。こうした政策課題に総合的に対処するため、政府は現在、様々な省庁が個々に担当している子どもに関わる政策を一元的に推進する「こども庁」(仮称)の設置に向けた検討を進めています。

日本ユニセフ協会は、「こども庁」のあり方が「子どもの権利条約」の主旨と内容を着実に反映したものとなるよう、働きかけを始めています。また、子どもの権利に関する「子ども基本法」と、子どもの権利状況をモニターし子どもたちの声を政策に反映させるための仕組みとしての「子どもコミッショナー」が必要であることについても、合わせて訴えています。

「子どもの権利促進、日本の役割に期待」

11月20日に開催したオンラインイベントには、ユニセフのフォア事務局長もビデオで参加。「日本のみなさまが子どものための新しい政府機関の創設を準備されていることに勇気づけられています」と子どもの権利を促進する日本の主導的役割への敬意と期待を示しました。また、ユニセフが実施した子ども・若者の意識調査を引用しつつ、子どもの声を聴くこと、子どもが問題解決に参加できるようにすることの重要性を強調。「こども庁」や「子ども基本法」とともに設置の必要性に関する議論が進む「子どもコミッショナー」が、子どもの参加を促進し子どもの権利を実現する鍵となるはずだと語りました。

ヘンリエッタ・フォア ユニセフ事務局長のメッセージ

 

子どもの権利の専門家、子ども政策担当大臣、子どもたちの声

2017年3月、日本人としてはじめて国連子どもの権利委員会の委員に就任し、本年5月には同委員会委員長に選出された弁護士の大谷美紀子氏は、基調講演の中で、子どもが権利の主体であることを正しく理解する重要性を強調。子どもに関することは常に権利の視点で考えること、そのための仕組みとして、子どもの権利に関する基本法、子ども施策を調整する機関、子どもの権利の専門家である「子どもコミッショナー」の“3点セット”が必要であることを訴えられました。

イベント冒頭の来賓挨拶では、野田聖子・子ども政策担当大臣(ユニセフ議員連盟会長)が、「子ども最優先の社会を創っていくために、こども庁の創設を実現したい」、「これまで日本はユニセフ等を通じ、子どもたちへの国際的な支援で世界をリードしてきたが、これからは国内でもさらに、ユニセフの掲げる理念の実現を進めていく」等と述べられました。

また、日頃から報道機関や国会議員などに「子どもの権利」の重要性を訴える活動に参加する3人の中高生が参加し、「小さいうちから子どもの権利について知るべき」、「子どもに関係する政策や仕組みについては、子どもにわかりやすい言葉で説明してほしい」、「子どもが安心して何でも話せる機関が必要」などと訴えました。続いて登壇した英国スコットランドの子ども若者コミッショナーとギリシャの子どもの権利オンブズパーソンは、子どもたちと一緒に、子どもの権利の擁護者として活動する様子を様々な事例を交えて紹介。「子どもコミッショナー」が、行政から独立して、子どもたち自身の声を代弁できる組織であることの重要性を強調しました。

国会議員も参加~子どもの視点に立った施策を

続くパネルディスカッションには、子ども政策に関する議論を主導されている国会議員の方々も参加。事前に寄せられた子どもたちの声(詳しくは、本ページ下部で紹介)も交え、各党が検討中の「こども庁」や「子ども基本法」を、権利を基盤にしたものにしていくこと、国レベルの「子どもコミッショナー」の役割や意義等について、活発な議論が行われました。

オンラインイベント「日本子どもフォーラム」
~子どもの権利を基盤とした子ども施策の実現に向けて~

プログラム(敬称略)

00:00 オープニング
01:05  開会挨拶:尾形武寿(日本財団理事長)
05:21 応援メッセージ:塩崎恭久(元厚生労働大臣)
11:35 来賓挨拶:野田聖子(子ども政策担当大臣)
18:47  ビデオメッセージ: ヘンリエッタ・フォア(ユニセフ事務局長)
22:46 基調講演1:大谷美紀子(国連子どもの権利委員会委員長・弁護士)
39:28 子どもたちはどう考えている?
子どもたち(フリー・ザ・チルドレン・ジャパン)
54:57  基調講演2:子どもコミッショナー/オンブズパーソンがいればできること

・セオニ・コフォニコラコウ(ヨーロッパ子どもオンブズパーソンネットワーク会長、ギリシャ子どもの権利オンブズパーソン)
・ブルース・アダムソン(スコットランド子ども若者コミッショナー)

1:35:48 パネルディスカッション: 子どもの権利を基盤とする子ども施策を実現するために
■モデレーター:奥山眞紀子(日本子ども虐待防止学会理事長)
■パネリスト:
・山田太郎(自由民主党参議院議員・デジタル大臣政務官兼内閣府大臣政務官)
・古屋範子(公明党衆議院議員・公明党副代表)
・岡本あき子(立憲民主党衆議院議員)
・大谷美紀子(国連子どもの権利委員会委員長・弁護士)
・ブルース・アダムソン(スコットランド子ども若者コミッショナー)
2:58:39 閉会挨拶:高須幸雄(日本ユニセフ協会副会長)

イベントに寄せられた子どもたちの声

イベントに先立ち、登壇する国会議員の方々などに届けるため、オンラインで子どもたちから意見を募集しました(11/2~11/20、18歳未満からの回答数141 ※2021年11月19日時点集計)。

子どもをめぐる課題への関心度合いを尋ねたところ、以下のような結果でした。

イベントに寄せられた子どもたちの声

©日本ユニセフ協会/2021

 

また、「あなたやあなたと同年代の人たちの生活を改善するために、日本のリーダーにひとつだけ頼めるとしたら何を頼みますか?または、あなたが国のリーダーになったら何をしますか?」という質問に、多くの声が集まりました。以下にその一部を紹介します(回答は自由記述。以下は便宜的にカテゴリー分けしたもの)。

 

~子どもの参加等~

~いじめ、虐待等~

~学校、教育関係~

~貧困、ヤングケアラー、ほか~

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