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日本ユニセフ協会

プレスリリース

東京栄養サミット2021が終了
世界的な栄養不良と食料危機に対して 270億米ドル以上の支援を約束

2021年12月8日東京

12月7~8日に開催された『東京栄養サミット2021』において、世界的な栄養不良と食料危機に対処するため、政府および民間セクターのドナーは270億米ドル以上の資金を拠出することを表明しました。

栄養への取り組みを優先

カンダハールにあるクリニックで、上腕計測メジャーを使って栄養状態のチェックを受ける子ども。(アフガニスタン、2021年11月15日撮影)

© UNICEF/UN0562578/Romenzi
カンダハールにあるクリニックで、上腕計測メジャーを使って栄養状態のチェックを受ける子ども。(アフガニスタン、2021年11月15日撮影)

サミットでは、深刻な栄養不良に苦しむ45カ国と多くのドナーが、栄養不良の根絶に向けた新たな政策と資金上のコミットメントを表明しました。長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、各国の財政を圧迫し栄養不良を拡大させる危機的状況において、これらのコミットメントは、各国のリーダーシップと栄養への取り組みを優先する姿勢を明らかにしました。

日本の岸田文雄首相は「1億4,000万人以上の子どもたちが発育阻害に苦しんでおり、5歳未満児の死亡の半数近くが栄養不足に起因すると考えられています。加えて、COVID-19が人々の栄養状態に深刻な影響を与えています。このパンデミックによって、さらに1,360万人もの子どもたちが消耗症に陥る可能性があります。2030年までに、飢餓をなくし、食料の安全保障を実現し、栄養状態を改善し、持続可能な農業を推進するという、持続可能な開発目標(SDGs)を思い起こしてください。今こそ、行動を起こす時です。誰ひとり取り残されてはなりません」と述べました。

このサミットで、日本は栄養関連の海外援助として28億米ドル以上の支援を約束しました。この日本の投資は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジにおける栄養の達成や、より持続可能で栄養価の高い食料システムの構築に貢献します。

各国内計画の強化を表明

ツォポ州にある総合病院で、ユニセフの治療用ミルクを飲む重度の栄養不良の子どもたち。(コンゴ民主共和国、2021年11月3日撮影)

© UNICEF/UN0549823/Dubourthoumieu
ツォポ州にある総合病院で、ユニセフの治療用ミルクを飲む重度の栄養不良の子どもたち。(コンゴ民主共和国、2021年11月3日撮影)

今回のサミットでは、ドナーによる支援表明に加えて、深刻な栄養不良に苦しむ国々が中心となって、国内計画の強化や、栄養不良を改善するための政策やプログラムの拡充を約束しました。例えば、バングラデシュのシェイク・ハシナ首相は、今後5年間で貧血の割合を3分の1、子どもの発育阻害の割合を5分の1、子どもの消耗症の割合を4分の1減少させることを約束しました。

インドネシア政府は、栄養不良との闘い、特に発育阻害の減少に向けた取り組みを全国的に加速することを約束しました。適切な乳幼児の食事の推進、女の子と妊婦への栄養補給、重度の栄養不良の子どもへの栄養補給と支援など、母子の栄養状態の改善に財源が充てられます。

5歳未満児死亡の半数近くが栄養不良に起因するものであるにも関わらず、世界の海外援助額のうち栄養分野に費やされているのは1%にも満たないのが現状です。このギャップを埋めるため、多数のドナー国政府および多国間機関が、合計270億米ドル以上の支援を表明しました。欧州連合(EU)は3年間で28億米ドル、米国は3年間で110億米ドル、アフリカ開発銀行は6年間で13.5億米ドルの拠出を約束しています。

栄養不良予防プログラムを提供

栄養治療食の摂取を含む栄養支援プログラムの一環で、体重を計測する3歳の男の子。(ミャンマー、2021年11月12日撮影)

© UNICEF/UN0556775/Htet
栄養治療食の摂取を含む栄養支援プログラムの一環で、体重を計測する3歳の男の子。(ミャンマー、2021年11月12日撮影)

世界銀行と非営利コンサルティング企業のResults for Developmentが主導した2015年の「栄養への投資枠組み」では、主に保健セクターを通じて広く行われる根拠に基づく支援を実現していくために、10年間で7,000億米ドル以上の栄養に関する財源の不足があるとされました。今回のサミットでのコミットメントは重要な前進ではありますが、栄養不良を根絶するにはまだ程遠い状況です。

また、国連各機関も今回のサミットで新たなコミットメントを表明しました。ユニセフは、2025年までに、発育阻害、消耗症、微量栄養素不足、過体重、肥満を予防するための栄養不良予防プログラムを、年間少なくとも5億人以上の子ども、若者、女性に提供することを目指します。世界保健機関(WHO)は、女性と子どもの貧血を予防し、2030年までに生殖年齢にある女性の貧血を半減させる取り組みを加速させるため、「グローバル・アクション・プラン」を策定することを約束しました。国連世界食糧計画は、支援プログラムの受益者のうち、健康的な食事をとっている人の割合を、2020年の40%から2025年には80%に引き上げることを約束しました。

今後3年間で悪化と予測

北ジャカルタのスラム街で、スナックを食べる生後11カ月のサルサビラちゃん。(インドネシア、2021年4月撮影)

© UNICEF/UN0459345/Wilander
北ジャカルタのスラム街で、スナックを食べる生後11カ月のサルサビラちゃん。(インドネシア、2021年4月撮影)

さらに、26カ国の44の市民社会団体が、栄養ケアサービスの改善、食事の改善、社会保護サービスの強化を通じて、主に厳しい状況にある人々の栄養不良の割合を減少させることを主な目的とした、資金面およびプログラム面でのさまざまなコミットメントを表明しました。こうしたステークホルダーは、優先度の高い支援策に約10億米ドルを投資することを約束しました。

サミットでは、多くの民間企業も約束を表明しました。食品企業は、製品の栄養価を高めることを約束し、より持続可能な食料システムへ貢献し、従業員の食生活の質の向上をはかることを掲げました。食品以外の企業は、従業員への健康的で持続可能な食事の提供と、関連するグローバル・アライアンスへの参加を通して、農業生産工程の改善と従業員の食生活の質の向上をサポートすることを約束しました。

乳幼児期の発育阻害や消耗症などの特に深刻な栄養不良については減少がみられていたものの、COVID-19の流行以前から、栄養不良という世界的課題は大きな懸念事項であり続けています。COVID-19によって引き起こされた栄養不良により、今後3年間でさらに28万3,000人の5歳未満児が死亡し、1,360万人以上が消耗症になり、360万人以上が発育阻害に陥り、480万人の女性が貧血に苦しむと予測されています。

次回はフランスが主催

スリア州で行われた栄養状態の検診で提供された、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする1歳のヘススちゃん。(ベネズエラ、2021年6月撮影)

© UNICEF/UN0497049/Crespo
スリア州で行われた栄養状態の検診で提供された、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする1歳のヘススちゃん。(ベネズエラ、2021年6月撮影)

このたびの「東京栄養サミット2021」では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現、食料システムの変革、脆弱な国や紛争の影響を受けている国におけるレジリエンス(回復力)の強化を通じて、栄養面における成果を向上させることに焦点があてられました。また、プログラムの策定、実施、説明責任を強化するためには、資金調達と強力なデータシステムが不可欠であることが強調されました。このサミットは、各国政府、ドナー、企業、国連機関が一堂に会し、栄養不良に対する取り組みを加速するための「成長のための栄養:行動の年(Nutrition for Growth Year of Action)」の集大成でもあります。

閉会式では、フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン欧州・外務大臣が、2024年のパリオリンピックに合わせ、次回の「成長のための栄養サミット」をフランスが主催することを表明しました。次のサミットは、東京で発表されたコミットメントの進捗状況と説明責任について評価し、持続可能な開発目標の達成に向けた最後の5年間で、栄養不良と闘うための新たなコミットメントを打ち出す場となるでしょう。

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