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日本ユニセフ協会

ストーリー

紛争下のイエメン
子どもたちをポリオから守る
予防接種キャンペーン

2022年4月14日イエメン

4/24~4/30は「世界予防接種週間」。子どもたちの命と健康を守る予防接種の重要性について認識を高める一週間です。

サヌア州でのポリオ予防接種キャンペーンで、戸別訪問した保健員からポリオの予防接種を受けるシュムークちゃん(4歳)

©UNICEF/Yemen/2021/Salman Al Eyan
サヌア州でのポリオ予防接種キャンペーンで、戸別訪問した保健員からポリオの予防接種を受けるシュムークちゃん(4歳)

一日144人、ワクチンで予防可能な感染症で命を奪われる

子どもたちへのワクチン接種のため、ライマ県で家々を一軒一軒回る保健員たち。

©UNICEF/Yemen/2021/Salman Al Eyan
子どもたちへのワクチン接種のため、ライマ県で家々を一軒一軒回る保健員たち。

2015年から紛争が続くイエメンでは、幼い子どもたちが予防接種の機会を奪われています。ワクチンを接種していれば予防できた感染症にかかり命を落としてしまう子どもは、平均で一日144人(10分に1人の割合)にのぼると推計されます。

そこでユニセフはWHOなどと協力して移動式保健チームを編成し、イエメンの14の州において、子どもたちに命を守る予防接種とビタミンAのサプリメントを戸別訪問で届ける、予防接種キャンペーンを行っています。

昨年5月に行ったポリオの予防接種キャンペーンでは、3日間で5歳未満の子ども約380万人が、ポリオワクチンを接種することができました。このうち、1歳未満の子どもは20%(72万人)です。また、300万人以上の5歳未満児がビタミンAのサプリメントを受け取ったほか、ポリオの予防接種に加えて1万1,607人がはしかの予防接種を受けることができました。

イエメンでは、貧困の蔓延、長期化する紛争に加え、移民の人々がサウジアラビアなどの湾岸諸国へ向かうルート上に位置するという立地条件が重なり、感染症がとくに蔓延しやすい状況になっていると、アルマハウィット州保健所長のアミーン・ホベイシュ医師は言います。

「アフリカからの移民がイエメンを経由して湾岸諸国へ移動することによって、ポリオの感染が拡大する可能性が高まります。こうした状況が、ポリオの流行が発生しやすい要因のひとつになっています」とホベイシュ医師はかたり、今回のポリオ予防接種キャンペーンは、近隣諸国でポリオが流行していることを踏まえ、専門家の推奨に従い、予防策として実施されたものだと説明します。

予防接種の啓発とコミュニティの協力が不可欠

アルマハウィット州で、ワクチン接種を受けた子どもの名前を記録する保健員。

©UNICEF/Yemen/2021/Salman Al Eyan
アルマハウィット州で、ワクチン接種を受けた子どもの名前を記録する保健員。

「イエメンにおける予防接種事業は何十年も前に始まり、予防接種を受けた人たちは多くの病気から守られてきました。このことは、予防接種が安全であること、命を脅かす感染症から子どもを守るために、予防接種を避けるべきことはないということを、示しているのです」とホベイシュ医師は強調します。

ホベイシュ医師は、子どもの予防接種の安全性を疑問視する根も葉もない噂に耳を傾けないよう、子どもの保護者に注意を呼びかけています。

「そういった噂は、子どもたちの健康と命を奪うことにもつながります。子どもたちが感染症にかかると、生涯にわたる障がい、ひいては死の危険にさらされることもあります。予防接種と適切なケアによってのみ、私たちは病気を予防し、子どもたちや将来生まれてくる世代の安全と健康的な暮らしを守ることができるのです。このような否定的な噂は、実際の証拠や科学的根拠に基づくものではありません。それらは、単なるデマなのです」

子どもたちへのポリオ予防接種キャンペーンでは、地域コミュニティへの啓発を通じて協力を得ることが欠かせません。今回のキャンペーンでは、訪問した家庭の大半が子どもへの予防接種を希望しました。ホベイシュ医師は、「人々は協力的で、子どもに予防接種を受けさせることの重要性を理解しています。予防接種で予防できる病気によって、自分の子どもに障がいが残ったり命を落とすことを望む親などいないのです」と話します。

ポリオの予防接種を受けたマナールちゃん(4歳・左)とシャイマちゃん(5歳・中央)、そして父親のワエルさん。

©UNICEF/Yemen/2021/Salman Al Eyan
ポリオの予防接種を受けたマナールちゃん(4歳・左)とシャイマちゃん(5歳・中央)、そして父親のワーエルさん。

アルマハウィット州でおこなわれた予防接種キャンペーンで、4歳のマナールちゃんと5歳のシャイマーちゃん姉妹もポリオの予防接種を受けました。父親のワーエル・アル・シュワイフさんは、「予防接種に関する否定的な噂は真実ではありません。私の子どもたちは予防接種を受けましたが、みんな問題ありませんでした」と語ります。

ポリオは予防接種によってのみ予防することが可能であり、予防接種プログラムは、このような深刻な子どもの病気を減らすのに有効であると証明されています。

父親のオスマンさんと娘カマルちゃん(3歳)。

©UNICEF/Yemen/2021/Salman Al Eyan
父親のオスマンさんと娘カマルちゃん(3歳)。

アルマハウィットに住むオスマン・アルヌジリさんは、2人の子どもの父親です。「私たち親は子どもに予防接種を受けさせる責任があります。予防接種は命を脅かす病気を防ぐために不可欠です。子どもたちが予防接種を受けてから、心配する必要がなくなりました」と話します。

オスマンさんは、自身も子どもの頃に予防接種を受けたと言い、予防接種を信頼していると言います。「そして今は、巷に流れる根拠のない噂を信じずに、恐れることなく、自分の子どもにも必ずワクチンを接種させるようにしています。ポリオウイルスに対する免疫力を高めるために、予防接種チームが子どもたちにワクチンを届けてくれたことに感激しています」

定期的な予防接種で、子どもの健やかな成長を支える

ポリオウイルスは、予防接種を受けていない5歳未満の子どもにとって深刻な脅威となります。このような一時的な予防接種キャンペーンは、特定の病気から子どもを守ることはできますが、保健施設で行われる定期的な予防接種に取って代わることがあってはなりません。

4人の子どもの父親であるワーエル・アリ・アルシュワイさんは、「ポリオの予防接種は重要であり、私の子どもたちも予防接種チームによって接種を受けました。子どもに適切な予防接種を受けさせることは、親にとっての宗教的、道徳的、人道的義務です」と話します。

アルシュワイさんは、今回の予防接種キャンペーンでのポリオワクチン接種だけでなく、他の病気からも子どもたちが守られるよう、地元の保健施設で定期的に予防接種を受けさせていると言います。「子どもに定期的な予防接種を受けさせることを、迷いなく決断すべきです。予防接種が効果的であることは、データで証明されています。親は決して子どもの予防接種を怠ってはならないのです」

子どもたちに命を守るワクチンを届ける、ユニセフの予防接種キャンペーンは、子どもたちの健やかな成長を支えるために欠かせないものです。2021年1月から2月の間に、イエメンでは1歳未満の子ども13万人以上が11種の予防接種で防げる感染症のワクチンを接種し、11万人以上がはしかと風疹のワクチンを接種しました。

ポリオワクチン接種を受けた生後15日のジャナットちゃんを抱っこするお兄ちゃん。

©UNICEF/Yemen/2021/Salman Al Eyan
ポリオワクチン接種を受けた生後15日のジャナットちゃんを抱っこするお兄ちゃん。

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