衛生的な環境 (トイレ)
2024年時点、世界では34億人が安全に管理された衛生施設(トイレ)を使用できません。このうち、3億5,400万人は、家や近所に利用できるトイレがなく、道端や草むらなどの屋外で用を足す、屋外排泄をしています。
トイレは、人々の健康を保ち、感染症の拡大を予防し、尊厳をもった暮らしをする上で、重要な役割を果たしています。2000年以降、トイレへのアクセスは改善されてはいるものの、都市部と農村部との格差は大きく、屋外排泄をしている人々の10人中9人はが農村部で暮らしています。
ユニセフは、世界各地の農村部や、自然災害の被災地、難民キャンプなどで、人々が衛生的な生活が送れるようトイレを設置したり、女の子が学校に通い続けられるように校内に女子トイレをつくる活動をしています。
そして、SDGs(持続可能な開発目標)では、 2030年までに世界が達成すべき目標の一つとして、すべての人が平等に衛生施設を利用でき、屋外排泄をなくすことが掲げられています。
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- SDGs 6.2
- 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
すべての人に、安全な衛生施設(トイレ)を
私たちの身近にある衛生施設、トイレ。
下のグラフは、世界の人々がどのようなトイレを使っているのかを示したグラフです。

出典:
トイレがあるだけでは、十分ではありません。排泄物が安全に処理されていなければ、細菌たちがさまざまな所から体内に侵入し、それらが原因で、特に免疫力の弱い子どもたちは下痢を発症してしまいます。世界では、年間およそ52万5,000人の5歳未満の子どもたちが、下痢によって命を落としています。
SDGsが採択された2015年、それまでにはなかった「安全に管理された衛生施設(トイレ)」という定義が誕生しました。単にトイレの設備があるということだけでなく、排泄物が衛生的に管理・処理されているかどうか、さらには、他の世帯と共有されているかどうかが条件に加わり、より厳格な基準となりました。
衛生施設(トイレ)に関するデータの定義について
- 安全に管理された衛生施設(トイレ)(Safely managed):
排泄物が他と接触しないように分けられている、あるいは、別の場所に運ばれて安全で衛生的に処理される設備を備えており、他の世帯と共有していない、改善された衛生施設(トイレ)。 - 基本的な衛生施設(トイレ)(Basic):
他の世帯と共有していない、改善された衛生施設(トイレ)。 - 限定的な衛生施設(トイレ)(Limited):
他の世帯と共有している、改善された衛生施設(トイレ)。 - 改善された衛生施設(トイレ)(Improved):
人間が排泄物と接触しないよう、衛生的に設計された衛生施設(トイレ)。例えば、下水あるいは浄化槽につながっている水洗トイレ(水を汲んで流す方式、換気式トイレを含む)、足場付ピットトイレ、コンポストイレなど。 - 改善されていない衛生施設(トイレ)(Unimproved):
足場がないピット式トイレ、バケツに排せつし外に捨てる方式のトイレ(Bucket latrine)、池や川の上に設置され排泄物がそのまま落ちる方式のトイレ(Hanging latrine )など。 - 屋外排泄(open defecation):
道端、野原、森、やぶ、水域、海岸、その他の屋外で排せつすること。
出典:
| 人間が排泄物と接触しない設計である | 排泄物が他と接触しないように分けられている、または、別の場所に運ばれ安全で衛生的に処理される | 他の世帯と共有していない | |
|---|---|---|---|
| 安全に管理された衛生施設(トイレ) | ○ | ○ | ○ |
| 基本的な衛生施設(トイレ) | ○ | × | ○ |
| 限定的な衛生施設(トイレ) | ○ | × | × |
| 改善されていない衛生施設(トイレ) | × | ― | ― |
世界の人々の衛生施設(トイレ)へのアクセス状況
2015年から2024年にかけての成果
世界で安全に管理された衛生施設(トイレ)を利用できる人の割合は、48%(2015年)から58%(2024年)まで改善しています。

出典:
主要データ
2024年、世界では・・・
- 34億人が、安全に管理された衛生施設(トイレ)を使用できない。このうち、3億5,400万人は、家や近所に利用できるトイレがなく、道端や草むらなどの屋外で用を足す、屋外排泄をしている。
- 世界人口の58%にあたる48億人が安全に管理された衛生施設(トイレ)を、24%にあたる19億人が基本的な衛生施設(トイレ)を利用できている。
- 2015年から2024年までの間に、新たに12億人が安全に管理された衛生施設(トイレ)を使用できるようになった。
下記の地図は、安全に管理された衛生施設(トイレ)を利用できる人の割合(2024年)を各国毎に色で示しています。

出典:
(2025年8月更新)
アフガニスタン
カマルディンさんのストーリー
「トイレができた今、子どもたちは病気にもかからず、元気に育っています」と、カマルディンさんは嬉しそうに話します。自宅にトイレができる前は、姪っ子のアスラちゃんはよく体調を崩し、下痢に苦しんでいました。
©UNICEF/UNI408873/Neikrawa
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